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淡い恋が飽和する。

#7


「あんたのせい、あんたのせいで[下線][打消し][太字]彩良[/太字][/打消し][/下線]は!!」

「あいつのせい」

「アイツのせいだ」

視線が怖い。

視線が痛い。

責任が、怖い…。

現実は、私を深い穴へ押し込めた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「−−、次、栗花落。67ページを読め」


ハッとして私は我に返る。

そして、口を開く。

「ーーが、ーーに対抗する力を得るためーーー」


今日はやけに自分の声がひどいように感じた。




彩良。私の唯一無二の親友であり、初めての死を目の当たりにすることになった人物だ。




彩良は優しかった。


私が持ってないものを持ってた。

甘い夢でも見てるような、そんな幸せな気持ちにしてくれた。


でも、ある日突然彩良は病に倒れた。


日に日に悪くなっていく彩良の容体。


何故か私が彩良になにかしたと噂される毎日。

噂に尻尾がついていき、いつの間にかいじめられるようになってた。



中学になってもそれは続いてた。でも、彩良が私のために怒ってくれた。


嬉しかった。


素直に。



ある冬の日、彩良の容態が急変したと連絡が来た。



やっとの思いでたどり着いた病室には、目も当てられないほど痩せ細った彩良がいて。


泣きじゃくって、泣きじゃくっても。


神様は理不尽だね、彩良はお空にいっちゃった。



享年15歳。


あまりにも若すぎた。


まだ、話したいこととか、遊びたいところとかあったのに。




彩良が死んでから、いじめはもっとエスカレートした。



タヒにたくなった。



なったけど、彩良が最後に残してくれた言葉が。


『私の分まで生きて。私は、ずっと憐華のこと大好きだし、空から、見てる、からね』



息も絶え絶えのときなのに、私に伝えてくれた言葉で、耐えることができた。


高校は中学の人たちと別れたから、今は何もない。



だけど。




いつか、この平和が。


この、平穏な毎日が崩されるかもしれない。



そんなことを、心の何処かで思ってしまう自分がいる。







[中央寄せ]+++[/中央寄せ]

「なぁ」


唐突に、翠が口を開いた。


「なんで憐華は医者になりたいんだ?」


不意に、彩良の顔が浮かんだ気がした。


「親友に恩返しするため、かな」



空は晴天。

眩しいぐらいの蒼が広がっていた。

作者メッセージ

憐華の過去がわかりましたね。

2024/12/07 17:40

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