何かが始まりそうで何も始まらなかった日常
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[太字]何かが始まりそうで何も始まらなかった日常①[/太字]
夕方の17時。私は三日ぶりのアルバイトに来ているところだ。この売店での仕事も、もはや半年。慣れたものだ。商品整理やレジ打ち、イートインスペースの清掃やごみ捨て。一見マルチタスクで大変そうにも聞こえる作業の山達だが、慣れとは凄まじいものだ。どうってことなく1人でこなせているのだから。そんな下らないことを考えながら私はお客さんから見えない位置でスマホをこっそりとつついている。
ふと、1人の男性がやってくるのが視界の端で見えた。お客さんだろう。私はスマホをつつくのをやめ、「いらっしゃいませ」と力の入っていない声で挨拶をした。男性客に目をやると、手には既に90円のチョコチップクッキーが握られていた。
(あ…。あれ、私も好きなやつ。趣味いいじゃん…)
そんなことを考えつつ、男性客の様子を見ていた。彼は、ドリンクコーナーで訝しげにカルピスと睨めっこをしていた。しばらく眺めていると、彼はカルピスを手に取りチョコチップクッキーとともにレジへやって来た。
(あ…そのジュースも私がいつも飲んでるやつ…)
「ありがとうございます。商品お預かり致します。」
カルピスとチョコチップクッキーをレジへ通しお金を促す。彼はまごついた様子で財布から小銭を集めている。レジが終わると、20円のお釣りと購入したもの達を持ち、足早に店を後にした。
(あぁ…ねむたいなぁ…。)
私は気だるげな表情で片足に体重をかけ、次の客を待った。
夕方の17時。私は三日ぶりのアルバイトに来ているところだ。この売店での仕事も、もはや半年。慣れたものだ。商品整理やレジ打ち、イートインスペースの清掃やごみ捨て。一見マルチタスクで大変そうにも聞こえる作業の山達だが、慣れとは凄まじいものだ。どうってことなく1人でこなせているのだから。そんな下らないことを考えながら私はお客さんから見えない位置でスマホをこっそりとつついている。
ふと、1人の男性がやってくるのが視界の端で見えた。お客さんだろう。私はスマホをつつくのをやめ、「いらっしゃいませ」と力の入っていない声で挨拶をした。男性客に目をやると、手には既に90円のチョコチップクッキーが握られていた。
(あ…。あれ、私も好きなやつ。趣味いいじゃん…)
そんなことを考えつつ、男性客の様子を見ていた。彼は、ドリンクコーナーで訝しげにカルピスと睨めっこをしていた。しばらく眺めていると、彼はカルピスを手に取りチョコチップクッキーとともにレジへやって来た。
(あ…そのジュースも私がいつも飲んでるやつ…)
「ありがとうございます。商品お預かり致します。」
カルピスとチョコチップクッキーをレジへ通しお金を促す。彼はまごついた様子で財布から小銭を集めている。レジが終わると、20円のお釣りと購入したもの達を持ち、足早に店を後にした。
(あぁ…ねむたいなぁ…。)
私は気だるげな表情で片足に体重をかけ、次の客を待った。
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