カリモトリブレは理解する
わざわざどうも…カリモトリブレだ。
突然だけど、キミは自分で運はあると思うかい?
僕はある方だと思っている。
じゃなきゃもうとっくに死んでいるはずだろう…
だけど、これからの話は、その運がどうでも良くなるほどのお話。
[水平線]
「はあ……」
今、アメリカだ、そしてとても疲れている。
何故かは前の話を聞いた人なら分かるだろう…[小文字]別に聞いてなくても楽しめるから無理に見なくてもいい[/小文字]
疲れたから、コーヒーでも飲もうとカフェに向かっている途中。
「[太字]そこのあなた…賭け事をしませんか?[/太字]」
カフェのテラス席から帽子を被った老人が声をかけてきた。
「いや…しない」
こう言おうとしたのだが…体が勝手に動く……まるで吸い込まれるように…
いつの間にか老人の向かい席に座ってしまった。
「座った…ということは賭け事をするんですね?」
しない、と言いたかったのだが…
「……もちろんやらせてもらおう」
僕だってこんなこと言いたくなかった…でも口が勝手に動くんだ。
「分かりました…契約完了です」
老人がそういった時、周りの世界が変わった。
暗闇に包まれて2人きりの状態。
「では始めましょう…」
老人はストローを口に咥える。
息を吹くと、ストローの先からシャボン玉が飛び出した。
それは手のひらぐらいの大きさとなって、机の真ん中に据えられる。
老人は、シャボン玉が真ん中に据えたのを確認すると、机に大量のストローをばらまいた。
「ストローを、シャボン玉に刺してください……もし割れたらあなたは何かを失う…私が割ってしまったら、あなたは何かを得る…」
こいつ…ヤバい……明らかに雰囲気が変わった……
何かを失うだって…………?
「…では、[漢字][太字]Start with you[/太字][/漢字][ふりがな]あなたから始めてください[/ふりがな]」
緊張感が周りに立ち込める。
でも緊張しているのは僕だけみたいだ…
僕はストローを手に取る。
そしてシャボン玉へ、ゆっくり、ゆっくりと刺した。
…よし、割れなかった。
次は老人のターン。
なんと老人は、ストローを手に取るとなんの躊躇もなく、シャボン玉へ刺し込んだ。
割れるんじゃないか、と思ったが割れていない……こいつ技術を持っている…
一筋縄ではいかないか…
次は僕の番。
ストローを掴む、そしてゆっくりと先をシャボン玉に向ける。
僕が手を震わせているのを見て、老人は言った。
「迷っているのか…?」
確かに迷っているかもしれない…先のことを心配しているからか……?
だけど、なんとか刺すことに成功させた。
老人の番。
やはりストローを掴むと乱雑に刺し込んだ。
流石におかしい…僕はゆっくり刺すだけでも一苦労なのに…あんなに危機を感じずにできるのはおかしすぎる…
もしかして、イカサマ…か?
「おい、イカサマ……してるんじゃないか? いくらなんでも躊躇がなさすぎるぞ…」
怪しく思い、聞いてみるも…
「賭け事は心理戦……私のことはどう思ってもらっても構わないが、自分の心配をしたほうが身のためだよ…」
どっちつかずな回答で返ってくる。
僕の番が回ってきた。
ストローを手に取り、刺していく。
だが刺している途中…
「……あ…」
悲劇にも割れてしまった。
「割れてしまいましたね…」
老人が静かに言う。
「残念ながら…あなたは何かを失います」
こう言われたような気がした。
気がしたんだ、何を言ってんだと思ってる人もいるだろう…
聞こえなくなっていたんだ…声も音も。
聴覚を失ったんだよ…
ヤバい…マジにヤバくなってきた…
このままじゃ終わる…
老人はまた新たなシャボン玉を作った。
「さあ…第二ラウンドです」
勝負が始まる。
僕の番からだそうだが、緊張で動きが止まってしまった。
負けたら…次は…視覚? 嗅覚? 代償が重すぎるぞ…!
苦しんでいるそのとき、突然頭の中から声が聞こえ始めた。
《迷ったならやるな…》
どこから聞こえてるか分からない、耳からではないことは確かだ。
迷いは、この戦いに不必要。
勝つためなら……どんなことでもやってやる……!
もう僕に『迷い』はない…!
危機一髪の覚悟を決めた時、見える世界が変わった。
あの老人、なにか指についている…液体だ。
あれがイカサマに使った道具だろう。
「アンタ、イカサマをやっているな? その指にある!」
一切の迷いを見せず、老人に問う。
「よく気付いた……指についていたのは洗濯のりだ」
洗濯のり…シャボン玉を割れにくくするのに必要なもの。
負けを認めた老人は自分の指でシャボン玉を割る。
「また会おう…面白い少年」
シャボン玉が割れた時、僕の聴覚が戻り、周りの世界がもとに戻る。
テラス席に座っていた老人はすでに消えていた。
[水平線]
あの老人が何者かは分からない…
頭の中から聞こえた声の主も分からない…
アメリカも中々、怪異まみれだ。
だが、もう二度とアメリカに行くつもりはない…
突然だけど、キミは自分で運はあると思うかい?
僕はある方だと思っている。
じゃなきゃもうとっくに死んでいるはずだろう…
だけど、これからの話は、その運がどうでも良くなるほどのお話。
[水平線]
「はあ……」
今、アメリカだ、そしてとても疲れている。
何故かは前の話を聞いた人なら分かるだろう…[小文字]別に聞いてなくても楽しめるから無理に見なくてもいい[/小文字]
疲れたから、コーヒーでも飲もうとカフェに向かっている途中。
「[太字]そこのあなた…賭け事をしませんか?[/太字]」
カフェのテラス席から帽子を被った老人が声をかけてきた。
「いや…しない」
こう言おうとしたのだが…体が勝手に動く……まるで吸い込まれるように…
いつの間にか老人の向かい席に座ってしまった。
「座った…ということは賭け事をするんですね?」
しない、と言いたかったのだが…
「……もちろんやらせてもらおう」
僕だってこんなこと言いたくなかった…でも口が勝手に動くんだ。
「分かりました…契約完了です」
老人がそういった時、周りの世界が変わった。
暗闇に包まれて2人きりの状態。
「では始めましょう…」
老人はストローを口に咥える。
息を吹くと、ストローの先からシャボン玉が飛び出した。
それは手のひらぐらいの大きさとなって、机の真ん中に据えられる。
老人は、シャボン玉が真ん中に据えたのを確認すると、机に大量のストローをばらまいた。
「ストローを、シャボン玉に刺してください……もし割れたらあなたは何かを失う…私が割ってしまったら、あなたは何かを得る…」
こいつ…ヤバい……明らかに雰囲気が変わった……
何かを失うだって…………?
「…では、[漢字][太字]Start with you[/太字][/漢字][ふりがな]あなたから始めてください[/ふりがな]」
緊張感が周りに立ち込める。
でも緊張しているのは僕だけみたいだ…
僕はストローを手に取る。
そしてシャボン玉へ、ゆっくり、ゆっくりと刺した。
…よし、割れなかった。
次は老人のターン。
なんと老人は、ストローを手に取るとなんの躊躇もなく、シャボン玉へ刺し込んだ。
割れるんじゃないか、と思ったが割れていない……こいつ技術を持っている…
一筋縄ではいかないか…
次は僕の番。
ストローを掴む、そしてゆっくりと先をシャボン玉に向ける。
僕が手を震わせているのを見て、老人は言った。
「迷っているのか…?」
確かに迷っているかもしれない…先のことを心配しているからか……?
だけど、なんとか刺すことに成功させた。
老人の番。
やはりストローを掴むと乱雑に刺し込んだ。
流石におかしい…僕はゆっくり刺すだけでも一苦労なのに…あんなに危機を感じずにできるのはおかしすぎる…
もしかして、イカサマ…か?
「おい、イカサマ……してるんじゃないか? いくらなんでも躊躇がなさすぎるぞ…」
怪しく思い、聞いてみるも…
「賭け事は心理戦……私のことはどう思ってもらっても構わないが、自分の心配をしたほうが身のためだよ…」
どっちつかずな回答で返ってくる。
僕の番が回ってきた。
ストローを手に取り、刺していく。
だが刺している途中…
「……あ…」
悲劇にも割れてしまった。
「割れてしまいましたね…」
老人が静かに言う。
「残念ながら…あなたは何かを失います」
こう言われたような気がした。
気がしたんだ、何を言ってんだと思ってる人もいるだろう…
聞こえなくなっていたんだ…声も音も。
聴覚を失ったんだよ…
ヤバい…マジにヤバくなってきた…
このままじゃ終わる…
老人はまた新たなシャボン玉を作った。
「さあ…第二ラウンドです」
勝負が始まる。
僕の番からだそうだが、緊張で動きが止まってしまった。
負けたら…次は…視覚? 嗅覚? 代償が重すぎるぞ…!
苦しんでいるそのとき、突然頭の中から声が聞こえ始めた。
《迷ったならやるな…》
どこから聞こえてるか分からない、耳からではないことは確かだ。
迷いは、この戦いに不必要。
勝つためなら……どんなことでもやってやる……!
もう僕に『迷い』はない…!
危機一髪の覚悟を決めた時、見える世界が変わった。
あの老人、なにか指についている…液体だ。
あれがイカサマに使った道具だろう。
「アンタ、イカサマをやっているな? その指にある!」
一切の迷いを見せず、老人に問う。
「よく気付いた……指についていたのは洗濯のりだ」
洗濯のり…シャボン玉を割れにくくするのに必要なもの。
負けを認めた老人は自分の指でシャボン玉を割る。
「また会おう…面白い少年」
シャボン玉が割れた時、僕の聴覚が戻り、周りの世界がもとに戻る。
テラス席に座っていた老人はすでに消えていた。
[水平線]
あの老人が何者かは分からない…
頭の中から聞こえた声の主も分からない…
アメリカも中々、怪異まみれだ。
だが、もう二度とアメリカに行くつもりはない…
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