雨宮詩音の、100楽曲。
ふふふっ。
今、私は自分の思いつきが素晴らしすぎて最高の気分になっているのであります。
なぜって、私が思いついたのは!
「部長、忙しい時にごめんなさい! コンテストの曲、思いついたんです!」
そう言うと、大量の紙を整理していた部長が顔を上げた。
その紙は…、楽譜?
ああ、ボツになったやつか。
よく見たら、部長の目の下にクマができてる。
かわいそうに、部長…。
「ええっ、思いついたの⁉︎ 教えて! 私も必死で考えてるけど全部河原町にダメ出しされちゃって…」
「あー部長音楽センスゼロですもんね…」
「さらっとひどいこと言うな」
「あーえーでー、曲っていうのはー、」
すると隣の雨宮くんが、私にこそっとささやく。
[小文字]「ほんとに、僕の曲なんかでいいの?」
「なんかじゃないよあれは! 私ファンなんだからねっ」
「…ありがと」[/小文字]
そんな会話をこっそりして、私はカバンをゴソゴソいじる。
「これなんですけど」
私はスマホを出して「雨」のページを開いた。
「え、ちょいちょい、スマホ⁉︎ いいの?」
「教師が働かないのが悪いんですから。それにこれ以外には使いませんよ」
ポチッと再生。
途端に曲が流れ出した。
やっぱり、いい曲だ。
毎日聴いてるはずなのに、やっぱりうっとりしちゃう。
部長も…いつの間にか河原町さんまで来て聴いてる。
等の本人、雨宮くんは、ずっと顔を赤くして恥ずかしそうにしているのだけど。
曲が終わって、
「…すごい。これはすごいよ」
部長が感嘆の声を漏らした。
「ですよねっ⁉︎ 私の推しなんですっ!」
ちなみに雨宮くんの曲だということは秘密だ。本人の希望により。
「ね、河原町、いいよね? 楽譜も下にちゃんと載せてあるし」
「オーケーです。幸鈴さんの方が全然センスいいですね」
「んぎぎっ」
お、オーケーもらえたっ!
[小文字]「よかったね雨宮くん」
「…」[/小文字]
「じゃあ今日から練習ね。本当にありがとう」
「どういたしましてっ!」
「ごめん…なんだけどこれ、たぬき先生に届けてきてくれないかな?」
もちろんです、と元気よく返事をして、私は職員室へ向かった。
たぬき先生とは、合唱部の顧問である。本名、[漢字]讃岐本三郎[/漢字][ふりがな]さぬきほんざぶろう[/ふりがな]。太っているせいもあってみんなからたぬきぽん三郎先生と呼ばれている。全然顧問の仕事しない。
「嬉しいなぁ。雨宮くんの曲をコンテストで歌えるなんて」
「…恐縮だよ」
私、もうハッピーハッピーハッピーだ。(なんだそれ)
「雨宮くんは謙虚過ぎると思うんだ。もっと自信持っていいんだよ」
──全部、僕のせいだったから──
「?」
そんな声が聞こえた気がして、私は雨宮くんに首を向ける。
「なんか言った?」
「? 何も」
気のせい、か。
夕焼け空がオレンジ色に光って、なんだか切ない雰囲気だ。
私はどうしてだか話すことがなくなっちゃって、二人で黙って歩いた。
今、私は自分の思いつきが素晴らしすぎて最高の気分になっているのであります。
なぜって、私が思いついたのは!
「部長、忙しい時にごめんなさい! コンテストの曲、思いついたんです!」
そう言うと、大量の紙を整理していた部長が顔を上げた。
その紙は…、楽譜?
ああ、ボツになったやつか。
よく見たら、部長の目の下にクマができてる。
かわいそうに、部長…。
「ええっ、思いついたの⁉︎ 教えて! 私も必死で考えてるけど全部河原町にダメ出しされちゃって…」
「あー部長音楽センスゼロですもんね…」
「さらっとひどいこと言うな」
「あーえーでー、曲っていうのはー、」
すると隣の雨宮くんが、私にこそっとささやく。
[小文字]「ほんとに、僕の曲なんかでいいの?」
「なんかじゃないよあれは! 私ファンなんだからねっ」
「…ありがと」[/小文字]
そんな会話をこっそりして、私はカバンをゴソゴソいじる。
「これなんですけど」
私はスマホを出して「雨」のページを開いた。
「え、ちょいちょい、スマホ⁉︎ いいの?」
「教師が働かないのが悪いんですから。それにこれ以外には使いませんよ」
ポチッと再生。
途端に曲が流れ出した。
やっぱり、いい曲だ。
毎日聴いてるはずなのに、やっぱりうっとりしちゃう。
部長も…いつの間にか河原町さんまで来て聴いてる。
等の本人、雨宮くんは、ずっと顔を赤くして恥ずかしそうにしているのだけど。
曲が終わって、
「…すごい。これはすごいよ」
部長が感嘆の声を漏らした。
「ですよねっ⁉︎ 私の推しなんですっ!」
ちなみに雨宮くんの曲だということは秘密だ。本人の希望により。
「ね、河原町、いいよね? 楽譜も下にちゃんと載せてあるし」
「オーケーです。幸鈴さんの方が全然センスいいですね」
「んぎぎっ」
お、オーケーもらえたっ!
[小文字]「よかったね雨宮くん」
「…」[/小文字]
「じゃあ今日から練習ね。本当にありがとう」
「どういたしましてっ!」
「ごめん…なんだけどこれ、たぬき先生に届けてきてくれないかな?」
もちろんです、と元気よく返事をして、私は職員室へ向かった。
たぬき先生とは、合唱部の顧問である。本名、[漢字]讃岐本三郎[/漢字][ふりがな]さぬきほんざぶろう[/ふりがな]。太っているせいもあってみんなからたぬきぽん三郎先生と呼ばれている。全然顧問の仕事しない。
「嬉しいなぁ。雨宮くんの曲をコンテストで歌えるなんて」
「…恐縮だよ」
私、もうハッピーハッピーハッピーだ。(なんだそれ)
「雨宮くんは謙虚過ぎると思うんだ。もっと自信持っていいんだよ」
──全部、僕のせいだったから──
「?」
そんな声が聞こえた気がして、私は雨宮くんに首を向ける。
「なんか言った?」
「? 何も」
気のせい、か。
夕焼け空がオレンジ色に光って、なんだか切ない雰囲気だ。
私はどうしてだか話すことがなくなっちゃって、二人で黙って歩いた。