地上の遺構へ。
翌朝。宿の一室で目を覚まし、大きく伸びをする商人の部屋に飛び込んできた人影があった。
『おはようございますっ!商人さん、出来ました!出来ましたよ!この子は多分こんな用途で……!』
商人の動きが少し止まる。朝から飛び込んでくる事は予想していなかったらしく、動揺の色が見られた。その後すぐ、あわててまだはっきりと回らない口調で、返事を返す。
「あ、あぁ…なるほどありがとう…ところでちょっと待ってくれ、身支度するから…」
しばらくして、今度は商人の方からフィー達の部屋を訪ねた。今度はしっかりとした口調で、いつもの服装だ。寝起きと言った感じではない。
「んで、何が分かったって?」
『昨日の細工ですよ!いやぁ、凄い代物でした…まず歯車の機構から……!』
すかさずヘルが流れ出るフィーの言葉を遮る。
「つまりは昨日の細工の用途が……」
「ほう?して、その用途は?」
いつものような軽い感じではなく、少し変わって少し真面目な声色になる。若干身を乗り出すところを見るに、本人は相当気になっていたようだ。その反応には目を向けずに、ヘルは説明を続ける。
「これ自体に用途はありません。過去の匠が作った…暇つぶし、もしくは憧憬から作った機械仕掛けの箱庭のようなものです。」
「他に説明は?」
「ないです。本当にそれだけなので。」
そんな淡々としたやり取りを横目にフィーがとてもとても名残惜しそうに口を挟むが、特段気に掛けられない。
「よくそこまで調べてくれたね……ちゃんと睡眠はとっているかい?」
「取らなくてもいいことくらいわかっているでしょうに」
話が終わって、報酬の話になろうとした時。ついにフィーが割り込んだ。
『その細工、いくらで買えますか!』
あっけに取られるヘル。その様子を傍目に、商人は楽しそうに嗤う。
「えぇとねぇ…大体このくらいの品だったら10000ロックは下らない」
「だ、ダメですよ!?また会えるかもしれませんし、少なくとも今は…っ!今は!」
予想通りと言った反応を楽しむ商人は、そのヘルの説得の言葉を遮る。
「しかーしっ!報酬がまだだったな?今回の依頼の」
「…本当にこの値段で良かったのでしょうか?」
(ほら!ほら、ここ、ここ!歯車が見えます!すごく滑らかに動いて……!誤差がほとんど……!!)
宿からの帰り道、人気の少ない岩の道。はしゃぐ旅人と悩めるヘルパーロボットの姿があった。
(まさか、1000までまけてくれるとは)
「まさかあの人が」
穏やかな帰り道、仕事を終えた二人はまた旅に出る。今度は金雀も連れて。
まけてくれた商人の真意は、本人しか分からない。
『おはようございますっ!商人さん、出来ました!出来ましたよ!この子は多分こんな用途で……!』
商人の動きが少し止まる。朝から飛び込んでくる事は予想していなかったらしく、動揺の色が見られた。その後すぐ、あわててまだはっきりと回らない口調で、返事を返す。
「あ、あぁ…なるほどありがとう…ところでちょっと待ってくれ、身支度するから…」
しばらくして、今度は商人の方からフィー達の部屋を訪ねた。今度はしっかりとした口調で、いつもの服装だ。寝起きと言った感じではない。
「んで、何が分かったって?」
『昨日の細工ですよ!いやぁ、凄い代物でした…まず歯車の機構から……!』
すかさずヘルが流れ出るフィーの言葉を遮る。
「つまりは昨日の細工の用途が……」
「ほう?して、その用途は?」
いつものような軽い感じではなく、少し変わって少し真面目な声色になる。若干身を乗り出すところを見るに、本人は相当気になっていたようだ。その反応には目を向けずに、ヘルは説明を続ける。
「これ自体に用途はありません。過去の匠が作った…暇つぶし、もしくは憧憬から作った機械仕掛けの箱庭のようなものです。」
「他に説明は?」
「ないです。本当にそれだけなので。」
そんな淡々としたやり取りを横目にフィーがとてもとても名残惜しそうに口を挟むが、特段気に掛けられない。
「よくそこまで調べてくれたね……ちゃんと睡眠はとっているかい?」
「取らなくてもいいことくらいわかっているでしょうに」
話が終わって、報酬の話になろうとした時。ついにフィーが割り込んだ。
『その細工、いくらで買えますか!』
あっけに取られるヘル。その様子を傍目に、商人は楽しそうに嗤う。
「えぇとねぇ…大体このくらいの品だったら10000ロックは下らない」
「だ、ダメですよ!?また会えるかもしれませんし、少なくとも今は…っ!今は!」
予想通りと言った反応を楽しむ商人は、そのヘルの説得の言葉を遮る。
「しかーしっ!報酬がまだだったな?今回の依頼の」
「…本当にこの値段で良かったのでしょうか?」
(ほら!ほら、ここ、ここ!歯車が見えます!すごく滑らかに動いて……!誤差がほとんど……!!)
宿からの帰り道、人気の少ない岩の道。はしゃぐ旅人と悩めるヘルパーロボットの姿があった。
(まさか、1000までまけてくれるとは)
「まさかあの人が」
穏やかな帰り道、仕事を終えた二人はまた旅に出る。今度は金雀も連れて。
まけてくれた商人の真意は、本人しか分からない。