ここは魔法世界と呼ばれる【ラグナレク】。
そして、この世界では誰もが大なり小なり魔法が使える。
そんな世界の中でも、一番の魔法都市として注目を浴びている【大都市フルトアラ】はたくさんの優秀な魔法使いが集まっている。
その中でも一人で大都市一つを壊滅させることができると言われる魔法使い何名かが集まった【大都市フルトアラ】の治安を守る[太字]探偵事務所[/太字]がある。
「それが我々、『八目探偵事務所』というわけだ！」
[小文字]「また語り始めましたね、[漢字]平樺[/漢字][ふりがな]いらかば[/ふりがな]さん…」
「放って置いてやろうや…突っ込むほうが可哀想やわ」[/小文字]
「誰が可哀想だと!?だいたいお前たちが会議の途中で遊んだり寝たりするから、探偵事務所の人間としての意志の持ちようを教えてやっていたんだぞ!?」
そう、ここ『八目探偵事務所』は5人の優秀な魔法使いから構成されている。
しかも、全員の年が13〜15歳ほど。若いのに大人を超える魔法使いの集団。
だから【大都市フルトアラ】から多大な寄付を受けている。
先ほど平樺と呼ばれた少年は[漢字]平樺 琉生[/漢字][ふりがな]いらかばるい[/ふりがな]。
『八目探偵事務所』の所長的な立場に立つ、いわゆるトップの人間だ。
「語り始めた」と呟いた少女は[漢字]二三月 羽凪[/漢字][ふりがな]ふみつきはな[/ふりがな]。
平樺に憐れみの目を向けたいわゆる関西訛りの少年は[漢字]細郷 弥琴[/漢字][ふりがな]さいごうみこと[/ふりがな]。
「そもそも、長ったらしく説明とかするから悪いんですよ」
「俺なんて入所試験、半分寝とったで」
[大文字]「寝るな！[/大文字]まあいい、本題に戻るぞ」
平樺はデスクの上においてあった書類を読み上げる。
「我々『八目探偵事務所』を潰そうとしている対魔法組織がいるらしい。その名前は[漢字]『龍亭峰』[/漢字][ふりがな]りゅうていほう[/ふりがな]」
「なッ!」
思わず驚きの声を上げたのは[漢字]泡沫 ひより[/漢字][ふりがな]うたかたひより　[/ふりがな]。
彼女はこの事務所の名称の由来となった情報収集系の魔法が得意だ。だから『龍亭峰』の情報を知っていたのだろう。
「なんで【[漢字]安羅宇香[/漢字][ふりがな]アンラオコウ[/ふりがな]】最大勢力の暗黒組織がなぜ我々に?」
「わからない。だが…現時点で第三幹部と第四幹部二人を派遣することを見ると、本気でこちらを潰しにかかってきているのだろう」
先程までやんわりと和んでいた空気が一気にピリピリとしたものになる。
「全員、防御態勢を固めておけ。それと…ひよりは魔法を使って向こうの情報収集をしろ。この際しばらく他の団体の情報収集は控えていい」
「「「了解」」」
「龍亭峰…」
（多分、防御態勢を固めても恐らく追い返す程度しかできないかもしれない。しかも幹部二人…）
「向こうは何を考えているんだ？」
平樺の呟きに答える人はいなかった。