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死/神が見つけた燕の骸

#1


_泣き出しそうな帰り道、興味本位で"出る"と言われている[漢字]燕湊霊園[/漢字][ふりがな]つばめみなとれいえん[/ふりがな]へ足を運んだ。夕暮れの霊園ということもあり、やはり雰囲気こそあるが特に無いので帰ろうとすると知らない人に目を隠されてしまう。
「貴方一ヶ月後に死んじゃうかもね」
視界を奪われている上に、誰でもすぐ分かるような嘘をつかれて混乱したくなった。
「初めまして、貴方の名前は?」
「あぁ...秋浦です」
「そう、またおいで」
やっとの思いで解放された視界の先には、嫌なほどに伸び切る黒髪を後ろで結んだセーラー服の小柄な女の子が笑いながら控えめに手を振っていた。決心がつかないが受け入れる事にし、それから再び霊園に訪れることに。
「いらっしゃい、今日はどうしたの?」
「いや、貴方に会いたくて」
「本当?けど残念、貴方嘘が下手すぎるわ」
「あれ、バレましたか...ハハ」
こんな事で毎日笑いながら彼女に会いに行くだけの生活を続けていると、いつの間にか本当に彼女に会いに行きたいと思っているようになっていた七月七日のこと。
「良かった、もう終わっちゃうよ?」
「最後の晩餐でも買いに行きますか?」
何かお礼をと言う事で、駄目元で誘ってみる。
「死ぬわけじゃ無いのに?...まぁ早く行こう」
意外と興味を持ってくれたらしく、誘ったはずの俺が手を引っ張られていた。それからスーパーに着きカゴを手に取った途端に、短冊コーナーとやらが目に入ってしまう。
「ねぇ、あれ書かない?」「七夕ですもんね」
予想外の設置物に興味を引かれてしまい本来の目的を忘れて夢中になってしまった数分後、お互い短冊を壁に貼り付けつつ見せ合う。
「来年こそは涼しい夏になりますように」
「またこの一ヶ月を過ごせますように」
正反対な願いを見た彼女が、思わず吹き出す。
「貴方は現実主義なのね」
予想外の答えに思いつく限りの言葉で空気を壊してしまわないようにしながら、もう少しだけ一緒に居れないかな。なんて身勝手な願いで頭が沢山になっていた所で、あっという間に別れ際になってしまい彼女はいつまでも手を振っていた。
「晩餐忘れちゃったね」
それから翌月結局彼女が何者か分からないまま霊園に向かい、深閑としている光景を見て寂しく思っていると視界が眩んだ。次の瞬間には柔らかな光が瞼の裏を刺激してきたので目を開けてみると、俺は何故か果てしない白詰草畑の中に居る彼女の隣で寝込んでいた。そして俺が目を覚ましたのを見ると花冠を編む手を止め「[漢字]終夜美黎[/漢字][ふりがな]よすがら みれい[/ふりがな]、死神。自己紹介遅れてごめんね?」そう呟いて、花冠を俺に被せた。

作者メッセージ

夕陽丘紅晴、普段は短カフェに居る人。

上手く出来てるか、今かなり不安です。

2024/12/05 15:54

試しに他サイトから再掲してみる ID:≫ 64Qa4y3eLKIt.
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