二次創作
【参加型】つまりそれって、冒涜的なサークル活動【HQホラー】
聖が美術棟で雅と再会した同時刻に、結衣は目的地に到着していた。
校舎よりも離れた場所にあるこの広場は、あまり手入れがされておらず、茶色くなった桜花びらが地面にこびりついているのはあまり風情がない。
まぁ、地面にめを向けなければ満開の桜が美しいといえば美しいけど。
一旦離れたところから、噂の噴水を含めた全体の写真をスマホでパシャっと取る。そしてオームが写ってないかや心霊写真になって確認。
高校時代にナッちゃんによってありとあらゆるオカルトスポットに連れ回される中でナッちゃん先輩から教えて貰ったものである。
効果はナッちゃんのことなのでそんなに信用していない。それでもやるのは、気はやすまるからだ。
好きな男子を思い浮かべながら消しゴム鉛筆の芯を刺すのと同じ、いわゆるおまじないみたいなものだ。
まぁそんな可愛らしいものではないが。
写真を確認したら、今度こそ壊れた噴水に近づく。
事務員さんに確認した話では、ポンプが壊れていてノズルから水は出ることはないらしい。
ドス黒く濁った水面に無数のスイレンが浮いていて、茎の間に目を凝らせば鯉が泳いでいるのが見えた。
「幽霊が出るとかじゃなくて水中になんか潜んでる、って方が信憑性高そうね………」
ブラックバスとかアメリカザリガニとか居そう……。
パシャパシャっと、角度を変えて噴水の写真を取る。こんなに近づいてもイケメン幽霊は現れないし、やっぱりあの噂は嘘だったのかな?
でも火のないところに煙は立たないというし、他の七不思議を見るに噂の元になる出来事を探そうか。
そう思って歩きだそうとしたその時、
「ねぇ、岩ちゃんがどこに居るのか知らない?」
よく通る、声。
男性としてはやや高い気もするが、しっかりと男の人の声だった。
ほぼ反射で声の方に顔を向ければ見えたのは目も覚めるようなうつくしい顔があった。
ブルネットの髪、通った鼻筋、綺麗な二重瞼。
テレビでみるイケメン俳優も真っ青な顔をした美しい顔。
そしてそのセリフを結衣は知っている。
ナッちゃん先輩から貰ったプリントに書いてあった七不思議が7番、噴水の幽霊。心霊関係に興味はない結衣でも分かる。
この男は____コレは、本物だ。
咄嗟に思い浮かんだのはプリントの「話しかけられても黙って、その場を去ることを推奨する。」という文だった。
確か、この幽霊は恋人を探しているんだっけ。結衣は正直いままで幽霊なんて信じてなかったし、このイケメン幽霊の恋人については一切、全くこれっぽっちも存じ上げない。
だからあのプリント通りに何も返事をせずにここから去るのが正しいだろう。
そう思って男から距離を取る為に一歩後ろに引こうとしたが、それは出来なかった。だってその男が結衣を押し倒したから。
「いや、知ってるよね。絶対」
人当たりの良さそうな笑顔を浮かべたまま、真っ黒な瞳でこっちを覗き込んでくるのが怖くて目を逸らしたいが、その男の顔は結衣の鼻先まできていた。これぞマジでキスする5秒まえ。なんてふざけてる場合でもないが。
さっき押し倒されたときに頭は背中を丸めて衝撃は受けなかったが、後ろに倒れた結衣に馬乗りになってしっかりマウントポジションを押さえられたので押し返して逃げることもできない。はっきり言って、女子にやることではない。
だけども男は人でなしだ。人の常識とは全く関係ない位置にいる人外。
逃げたいと。
だけど、出来ない。
ぶつけた背中がジンジンと熱を持っていたのに、いつの間にか気持ち悪い汗が背中を冷やしていた。
「だって、君からは岩ちゃんの気配がするもん。」
頬、顎……っと、順番に冷たい指先が滑り、首で止まってぐっと力が籠った。
「気配の濃さからして、ついさっきまで岩ちゃんの近くに居たよね。あーあと、ケモノの匂いもするし若干カビ臭い。随分といろんなところで色んなモノに会ってるみたいだね」
ケモノの匂いとか、カビ臭いだとか。
乙女として気になることを散々言われているけど、今はそれどころではない。
首、もしくは人体の急所。
または人体の機能を司る重要な器官が詰まった箇所。
そこを圧迫されているのは大変不味い。
気管が塞がれて、息は吐き出すことも吸うことも出来ない。結衣の顔からは血の気が引いたと思えば、たちまち猩猩色にむくれていった。
だがそれでも、結衣は言葉を紡ごうと、口を開けて舌を動かす。
「…ぁ…、………っは、ぁ……、」
「んー?」
何か言おうとしている結衣を見て、何か情報が得られると思ったのか一瞬だけ首を絞める手は緩んだ。
「恋人探して欲しいなら、普通に頼め!!」
「うわっ!」
その一瞬で自分の主張を叫んで、意地と腹筋で幽霊に頭突きをした。
顎を引いただけの頭突きではなく、頭を胴体と一体化させた本気で相手を攻撃するタイプのやつ。
まぁ避けられたんだけど。
だけど避けられたおかげでその男の幽霊は結衣から離れた。
その隙に結衣は草の間にある大きめの石を一つ掴んで、鈍器よろしく幽霊目掛けてぶん投げる
自分の首を絞めれたことと頭突きを避けたことから、幽霊に物理攻撃が有効であると結衣は仮説を立て、それなら殴り続けていればいつか死ぬ!と思い、ヤケクソで検証ついでに殺しにかかっていた
「いや、ちょっと待って。今とてもじゃないけど、聞き捨てならないことを言われた気がするんだけど。ねぇ!?」
幽霊はなにか言いながら投げた石を当然のように避けた。
それはそれでムカつくけど、結衣の本当の狙いはそこではない。
首を絞めらて死にかけたし、今も足元がフラフラしていている。私をこんなのにしたコイツはぜってぇ殴りたいし、意趣返ししたい。
だけど今は人ではないものと、人との差をありありと見せつけられたところ。ここは一旦引かないといけない。
だから結衣の本気の狙いはこの広場の出口を確保すること。
幽霊がしっかり後ろについているのを確認してから、酸素不足のせいで覚束ない足で噴水を一周ぐるりと回る。
そして広場から大学に続く一本道へ、踏み出そうとしたら捕まってしまった。混乱してドキドキするけど、思考と口から出る言葉は思いの外冷静だった。
「離して。私、貴方の恋人さんについては本当に何も知らないから」
「待ってまって、どこで何を勘違いしてるのか知らないけど、岩ちゃんは恋人じゃないから」
「えっ?」
「岩ちゃんは親友!なんなら男!」
身振り手振りで「岩ちゃん」というのは親友だと主張する男の霊。
結衣はその話を聴きながらも自分の手首を掴む掌を剥がそうとしたが、剥がそうとしても力は逆に強まった。だが、それで大人しくしている雨晴 結衣ではない。
「だから?その岩ちゃんが恋人だろが親友だろうが、私は貴方とは関係ないし知ったこっちゃない。そもそも私が岩ちゃんとやらの情報を知っていたとして、一度殺されかけてる相手に素直に教えるほど単純でもなければ安くもないの」
相手を睨みつけて、正論パンチを喰らわした。
「そうだね。今までの人間みたいに恐怖に負けて従順なるのとは違うって分かるよ。だけどね、俺は岩ちゃんを探さないといけないんだ。そのためなら負けん気の強い女の子でも、岩ちゃんについて何か手掛かりを持っているならボコボコに叩いて叩いて情報を搾り取らないといけないんだ」
男の幽霊は食えない笑みを浮かべたまま、自論パンチを放った。
両者どっちも引かない拮抗状態。
しばらく睨み合いの時間が続いて、先に動いたのは________
校舎よりも離れた場所にあるこの広場は、あまり手入れがされておらず、茶色くなった桜花びらが地面にこびりついているのはあまり風情がない。
まぁ、地面にめを向けなければ満開の桜が美しいといえば美しいけど。
一旦離れたところから、噂の噴水を含めた全体の写真をスマホでパシャっと取る。そしてオームが写ってないかや心霊写真になって確認。
高校時代にナッちゃんによってありとあらゆるオカルトスポットに連れ回される中でナッちゃん先輩から教えて貰ったものである。
効果はナッちゃんのことなのでそんなに信用していない。それでもやるのは、気はやすまるからだ。
好きな男子を思い浮かべながら消しゴム鉛筆の芯を刺すのと同じ、いわゆるおまじないみたいなものだ。
まぁそんな可愛らしいものではないが。
写真を確認したら、今度こそ壊れた噴水に近づく。
事務員さんに確認した話では、ポンプが壊れていてノズルから水は出ることはないらしい。
ドス黒く濁った水面に無数のスイレンが浮いていて、茎の間に目を凝らせば鯉が泳いでいるのが見えた。
「幽霊が出るとかじゃなくて水中になんか潜んでる、って方が信憑性高そうね………」
ブラックバスとかアメリカザリガニとか居そう……。
パシャパシャっと、角度を変えて噴水の写真を取る。こんなに近づいてもイケメン幽霊は現れないし、やっぱりあの噂は嘘だったのかな?
でも火のないところに煙は立たないというし、他の七不思議を見るに噂の元になる出来事を探そうか。
そう思って歩きだそうとしたその時、
「ねぇ、岩ちゃんがどこに居るのか知らない?」
よく通る、声。
男性としてはやや高い気もするが、しっかりと男の人の声だった。
ほぼ反射で声の方に顔を向ければ見えたのは目も覚めるようなうつくしい顔があった。
ブルネットの髪、通った鼻筋、綺麗な二重瞼。
テレビでみるイケメン俳優も真っ青な顔をした美しい顔。
そしてそのセリフを結衣は知っている。
ナッちゃん先輩から貰ったプリントに書いてあった七不思議が7番、噴水の幽霊。心霊関係に興味はない結衣でも分かる。
この男は____コレは、本物だ。
咄嗟に思い浮かんだのはプリントの「話しかけられても黙って、その場を去ることを推奨する。」という文だった。
確か、この幽霊は恋人を探しているんだっけ。結衣は正直いままで幽霊なんて信じてなかったし、このイケメン幽霊の恋人については一切、全くこれっぽっちも存じ上げない。
だからあのプリント通りに何も返事をせずにここから去るのが正しいだろう。
そう思って男から距離を取る為に一歩後ろに引こうとしたが、それは出来なかった。だってその男が結衣を押し倒したから。
「いや、知ってるよね。絶対」
人当たりの良さそうな笑顔を浮かべたまま、真っ黒な瞳でこっちを覗き込んでくるのが怖くて目を逸らしたいが、その男の顔は結衣の鼻先まできていた。これぞマジでキスする5秒まえ。なんてふざけてる場合でもないが。
さっき押し倒されたときに頭は背中を丸めて衝撃は受けなかったが、後ろに倒れた結衣に馬乗りになってしっかりマウントポジションを押さえられたので押し返して逃げることもできない。はっきり言って、女子にやることではない。
だけども男は人でなしだ。人の常識とは全く関係ない位置にいる人外。
逃げたいと。
だけど、出来ない。
ぶつけた背中がジンジンと熱を持っていたのに、いつの間にか気持ち悪い汗が背中を冷やしていた。
「だって、君からは岩ちゃんの気配がするもん。」
頬、顎……っと、順番に冷たい指先が滑り、首で止まってぐっと力が籠った。
「気配の濃さからして、ついさっきまで岩ちゃんの近くに居たよね。あーあと、ケモノの匂いもするし若干カビ臭い。随分といろんなところで色んなモノに会ってるみたいだね」
ケモノの匂いとか、カビ臭いだとか。
乙女として気になることを散々言われているけど、今はそれどころではない。
首、もしくは人体の急所。
または人体の機能を司る重要な器官が詰まった箇所。
そこを圧迫されているのは大変不味い。
気管が塞がれて、息は吐き出すことも吸うことも出来ない。結衣の顔からは血の気が引いたと思えば、たちまち猩猩色にむくれていった。
だがそれでも、結衣は言葉を紡ごうと、口を開けて舌を動かす。
「…ぁ…、………っは、ぁ……、」
「んー?」
何か言おうとしている結衣を見て、何か情報が得られると思ったのか一瞬だけ首を絞める手は緩んだ。
「恋人探して欲しいなら、普通に頼め!!」
「うわっ!」
その一瞬で自分の主張を叫んで、意地と腹筋で幽霊に頭突きをした。
顎を引いただけの頭突きではなく、頭を胴体と一体化させた本気で相手を攻撃するタイプのやつ。
まぁ避けられたんだけど。
だけど避けられたおかげでその男の幽霊は結衣から離れた。
その隙に結衣は草の間にある大きめの石を一つ掴んで、鈍器よろしく幽霊目掛けてぶん投げる
自分の首を絞めれたことと頭突きを避けたことから、幽霊に物理攻撃が有効であると結衣は仮説を立て、それなら殴り続けていればいつか死ぬ!と思い、ヤケクソで検証ついでに殺しにかかっていた
「いや、ちょっと待って。今とてもじゃないけど、聞き捨てならないことを言われた気がするんだけど。ねぇ!?」
幽霊はなにか言いながら投げた石を当然のように避けた。
それはそれでムカつくけど、結衣の本当の狙いはそこではない。
首を絞めらて死にかけたし、今も足元がフラフラしていている。私をこんなのにしたコイツはぜってぇ殴りたいし、意趣返ししたい。
だけど今は人ではないものと、人との差をありありと見せつけられたところ。ここは一旦引かないといけない。
だから結衣の本気の狙いはこの広場の出口を確保すること。
幽霊がしっかり後ろについているのを確認してから、酸素不足のせいで覚束ない足で噴水を一周ぐるりと回る。
そして広場から大学に続く一本道へ、踏み出そうとしたら捕まってしまった。混乱してドキドキするけど、思考と口から出る言葉は思いの外冷静だった。
「離して。私、貴方の恋人さんについては本当に何も知らないから」
「待ってまって、どこで何を勘違いしてるのか知らないけど、岩ちゃんは恋人じゃないから」
「えっ?」
「岩ちゃんは親友!なんなら男!」
身振り手振りで「岩ちゃん」というのは親友だと主張する男の霊。
結衣はその話を聴きながらも自分の手首を掴む掌を剥がそうとしたが、剥がそうとしても力は逆に強まった。だが、それで大人しくしている雨晴 結衣ではない。
「だから?その岩ちゃんが恋人だろが親友だろうが、私は貴方とは関係ないし知ったこっちゃない。そもそも私が岩ちゃんとやらの情報を知っていたとして、一度殺されかけてる相手に素直に教えるほど単純でもなければ安くもないの」
相手を睨みつけて、正論パンチを喰らわした。
「そうだね。今までの人間みたいに恐怖に負けて従順なるのとは違うって分かるよ。だけどね、俺は岩ちゃんを探さないといけないんだ。そのためなら負けん気の強い女の子でも、岩ちゃんについて何か手掛かりを持っているならボコボコに叩いて叩いて情報を搾り取らないといけないんだ」
男の幽霊は食えない笑みを浮かべたまま、自論パンチを放った。
両者どっちも引かない拮抗状態。
しばらく睨み合いの時間が続いて、先に動いたのは________