「僕はね....君を買い取ったんだ。」
一瞬、何を言われているのかわからなかった。

「.......って言われても混乱するだけだよね」
え......？ちょ、ちょっと待って。
私がこの人に、買われた....？買う、ってことは売られてた、ってこと...？
え、ど、どうして！？
「てことでー。こっちきて？」
相手の、多分私と同い年くらいの男の子が玄関よりも外側のところで手招きをしている。今思ったけど、髪の毛ほこり...？
え...い、いやいや。話戻すけど、行くわけ無いでしょ...
私が玄関のドアを閉めようとしたとき

「来ないなら〜、力づくだね。」　
私が閉めようとするドアをガッ、とつかみ、無理やりこじ開ける。
それと同時に
ﾋｮｲｯ
「ふぇっ！？」
「だって、来てくれないもん。ほら、動くよ？」
その人は、私をお姫様抱っこ...？した。
「ちょ、お、おろしてください！すぐ近くなんですよね！？歩けます！」
私が必死に抵抗しても
「逃げられたら僕たちが困る」　ﾎﾞｿｯ
その人は、さっきみたいなカワボじゃなくて、低音でポツリ、とつぶやいた。
まぁ、ばっちり聞こえてるけど...。
そこまで言われてさすがに抵抗する気になれないので、大人しくしておくことにした。

私はてっきりどこかの家へ連れて行かれるのかと思ったけど、どうやら車だったらしい。
「あ、なろきゅーん！遅かったですね。」
金髪の人がそう言った。.......な、なろきゅん...？
「んー、ちょっと手こずってね。....てか、ドア開けて？」
「忘れてましたwはい、どーぞ」
ウィーン、と音を立てて車のドアが開く。
「あの....。流石に降りさせてもらいたいんですけど...」
私がそう言うと、
「あ、そうだったね。ほいっ」
私はようやくおろしてもらえた。
「はよ乗って〜」
運転席から聞こえてきた声は、関西弁だった。え.....グレーの人と金髪の人だけじゃないの....？
というか、この人はどうして私を買ってくれたのだろう。

「え？そらちゃんバカなの？ｗ」
「は？かもめさんこそ、バカなの？」
そんな声が後ろから聞こえてきた。うわ、こっちにも人....

てか、全員男の子じゃないっ！？

「もういい？全員乗った？」
「乗ったよー、翔くん」
じゃあ行くでー、と青髪の人が言い、車がエンジン音を立てて発車する。

「あの.....そろそろちゃんと話してほしいんですけど....」
私がそう言うと、グレーの人はすぐに返事をした。

「そっか、ちゃんと話してなかったね。じゃ、話そっか＿＿＿＿＿＿