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名前は未定

#1


「よぉ、会いに来たぞ。」
俺は親友が居るという病室に入った。そこには俺の知ってる親友じゃないような、弱った顔だった。
「おい、知らない間にこんなんなっちまったのかよwてか、これ持ってきたから。食べれるもん食べとけよー。」
「あ、ありがとう……助かる…」
「本当に弱ってるんだな、お前。」
「……。迷惑掛けてごめん。でもあと3日くらいで退院できるって」
「それはよかっ…」
ほっとしたのも束の間だった。
「おま……これ…!?」
俺は、血まみれのティッシュを見て言葉を詰まらせた。
「お前、なんでこんなに血まみれなんだ!?怪我したのか!?それとも吐いたのか!?」
俺は親友に目をやった。傷は無い。だが、唇に赤い物が付いている。更に、錆び付いた臭いが鼻を付いた。
「あれ……?証拠隠滅失敗?(笑)」
「なんでそんなに笑えるんだよ、さっさとナースコール押せよ!」
「もう助からないし、3日で退院も嘘……エイプリルフール…w」
馬鹿なのか?こいつは。自分が今どれだけ死にそうなの、分かってるのか…!?
「もっと…遊びたかったなぁ……」
そんなの知るかよ、だったら分かった時から言ってくれよ…!
「病気は治って欲しいが、まずは嘘つく癖を直して欲しいな」
「なんだよ、嫌味か?(笑)でももう死ぬから、直さなくてもいいじゃーんw」
「そういう事じゃねぇ!なんでお前はこんな状況なのに平然として居られるんだよ!」
「死ぬ時ってどんなんかなーって思ってさw……」
親友は急に黙り込んでしまった。言い過ぎたのか?でもそんなはずない。親友はこんなもんで凹むアホじゃない。
「死ぬのか……呆気ないな」
「なぁ、死ぬのって、怖いか?」
「正直言ってめちゃくちゃ怖ぇぞ?肉食動物に噛み殺されるよりもずっと」
「……そうかよ」
こいつが死んじまうって思うと、めちゃくちゃ胸が締め付けられるような気がして、もっと早く気付いていれば良かったって、後悔しちまうの、なんなんだよ。
「思い返せば、色々あったな」
「今思い出しても、遅い気がする…………」
「まだ助かるかも知んねぇだろ、馬鹿野郎」
「でもそれ、死ぬ前提で言ってるでしょ………w」
「うっせー…w」
「でも、楽しか……った……」
急に途切れ途切れになり、慌てて心電図を見たが、安定している。多分寝るんだろうな。
「俺も楽しかったよ、親友。お前が寝てる間、思い返して見るよ」




10年前。
「あっははwおらっ、当たれっ!」
「やめてよ!おらおら!」
俺と親友は、迎えが来るまで一緒に遊んでいた。
石を投げたり、用水路に行って小魚を取ったり。
いつも親には怒られていた。危ないからやめろと。
でも俺らは辞めなかった。だって楽しいから。
時には先生にも怒られてしまった。皆の前で言われ、めちゃくちゃ恥ずかしかったけど、辞めなかった。
先生にバレないように、離れた場所に行こうとしたら、
「優、何回言ったら分かるの!?それに空も!全く、懲りないわね!」
当然見つかり、案の定怒られた。
でも、俺らは楽しかった。冒険みたいで、宝を探してるみたいで。
空も楽しそうだった。よくあったのが、将来の夢とかを言い合って、馬鹿にして、喧嘩して。
でも、そんな俺らが馬鹿らしくなって、笑っちまったな。
小学校に入学して、俺らは別のクラスになっちまった。
当然イライラした。でも、休み時間にはそんな事忘れて、新しく遊べる遊具で遊びまくった。
勉強は嫌いだ。体育もあんまり好きじゃないし、唯一好きだったのは家庭科。
ご飯とか作ったし、どっちが上手く出来たかを言い合った。
修学旅行は一緒の部屋を選んだし、就寝時間が10時なのに、午前2時くらいまで起きてトランプとか他の部屋に凸ったり。
本当に楽しかった。本当に。
中学校入学してから、すぐテストがあった。
俺らは春休みの間に猛勉強したから大丈夫だと思った。テストが返され、点数を見ると、赤点ギリギリ回避くらいの点数で、ガチビビったわw
空は平均50点くらいで微妙なライン。
だが、何故かマウント取ってきて、言い合いになった。
結局は空が勉強を教えるという事に落ち着いた。
部活は絵を描くのが好きだったから美術部に入った。もちろん空も。
美術部は楽で、めっちゃ話してた。顧問も入ってきて、最終的にパーティーしたという。思い出したら笑いが止まらない話wパーティー中に職員室の先生を全員連れてこようみたいな事になって、ケーキで吊ろうとしたら、教頭が誕生日で、誕生日ケーキと勘違いしてその場で食べたって話w後々気付いて笑ってたけど、最高だったなぁw
そして、高校受験の時。
俺と空は一緒の高校を選び、見事合格。
合格って分かった時、嬉しかったけど、祝いで金を使いすぎたからテンションだだ下がり…かと思えば、祝い金が親から出て2万程復活してその後また使ってしまったという馬鹿伝説が残ってるw
高等学校入学。
クラス分けは初めて空と同じクラスになった。
スマホを買ってもらい、授業中は空とずっと連絡を取りあった。
教師にバレないように教科書の下にスマホを置くのが俺らの技。
意外とバレなくて、調子に乗ったら見つかり没収されちったw


でも、楽しかったのは続かなかった。
授業中、シャーペンで絵を教科書に描いていた。
いつも通り、授業を受けていたはずだった。
ガタッと教科書が落ちる音がして、音がした方へ目を向けると、空がうつ伏せになっていた。
ただ単に寝ているだけだと思っていた。
だけど、赤い物がどんどん他の教科書に染み込んでいる。
俺は、目を疑った。
さっきまであんなに楽しそうだったあいつが、今、大変な事が起きているから。
俺は手が震えていた。怖かったからだ。毎日一緒に居た親友が、今ここで死んでしまうのかと思ったから、手が震えた。
俺は空の所に行った。近づくに連れて、錆びた臭いがする。
嫌な予感がした。これは現実じゃないと、自分に言い聞かせた。
けど、頬をつねったら痛い。夢じゃない。現実だ。
俺は心配になり、声を掛けた。
「空?空…?空……!?」
反応が無い。俺は信じたくない現実を目の前にして、動けなかった。
ただ、教師を呼ぶしか出来なかった。
だんだん気付いてザワザワし始める教室内。
血を見て、悲鳴を上げる人も居た。
「空!空ぁ!?」
起き上がらない。重たい。手が冷たい。
ゲホッと血の塊を吐いた。見られなかった。こんな姿を見たくなかった。
空は緊急搬送された。
一命は取り留めたが、余命があった。
長くて3年。たったの3年。
でも、病状が悪化していったら、あと1年持たないそうだ。
苦しい。辛い。代わりに死にたい。生きたくない。友達はお前だけだったから、学校にも行きたくない。
生きる価値が、無い。
あぁ、そうか。結局はお前が居なきゃ駄目なんだよな。俺は、お前が居ないと辛いんだな。苦しいんだな。
人生って、こんなにも呆気なく終わってしまうのか。
空が死ぬくらいじゃ、俺が死んだ方がいい。
頭も良いし、仲間思いだし、皆から頼られてる。
俺とは真逆だ。俺は頭も良くない。頼られていない。
仲間思い……空にだけ、仲間思いだった。
空の家に行っても、居ない。
いつもの声が聞こえない。
そこから、俺の人生は砂漠の様だった。



「思い出したら、なんか泣けてくるな…」
「おはよ、今日が最後のおはようかもな」
「馬鹿、そんな軽々しく言うな」
「なんで泣いてんの?思い出し泣き?」
「うるせぇ、どうだっていいだろ……」
「どうだって良くないもーん。最期くらい聞かせてよ」
「…………。だって、泣くだろ。一番の親友が死んじまうって、苦しいだろ。俺が死にたいくらい、辛くなるだろ……」
「優、ごめん。もっと遊びたかったけど、もう無理みたいだ…」
「空……!?やめろ、そんな冗談…………空!?心電図が──」
「……俺の人生、終わっちゃうかぁ…楽しかったなぁ、短かったけど」
だんだん手が冷たくなっていく。腕が重い。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!お前が死んだら、俺はどうやって……!!
「空……やめてくれ……死んじまったら、俺が生きる意味が無くなっちまうだろ……!嫌だよ、死ぬなよ…!最期くらい、足掻けよ!」
「ごめん、期待に応えられなくて……でも、お前が親友で良かったわ!」
「空……?空…!?」
「ありがとう、優。お前、世界一の親友だから!w………………」
「空……俺も、お前が親友で良かった。ありがとう、空……」
心電図が、ピーと音を立て、その心電図が動く事は無かった。
死んでしまった。親友が。
「人が死ぬって、こんなにも残酷なのか…………」
「俺は、お前の世界一の親友なんだよな?だったら、俺が死んだ時、いつもみたいに話そうぜ。天国でも、地獄でも。会いに行くから」


葬式は、家族葬で行われた。
だけど、俺は特別に行ける事になった。
花をそっと、置いた時、泣いてしまった。
「この馬鹿。一人で死にやがって…泣かせんな……」
「最後に一つ、何か言いたい事がある人はいますか?」
俺は、ここで言えなかった。もうあんな顔を見たくなかったから。
言えば良かったのに…俺の馬鹿。



10年後

「空、会いに来たぞ」
俺は、墓参りに来ていた。
「てかメモ見たけど、死んだら高級店のケーキが食べたいって、贅沢過ぎw俺金欠なるってwあ、でも、最終的には俺が食べるのか。頂きます!」
水で洗い、花を置く。
「あー、そーいや、言えなかった事あるなー…なんだっけ?思い出せねぇ」
やっぱりあの時言っとけば良かったのに……ほんと俺っていつも馬鹿だな。
「あ、思い出した……えっと……」
「俺、お前の分まで生きるわ!w」
「そうすりゃ満足だろ?金取り野郎(笑)これからはビールしか持ってこないからな!ノンアル?それとも焼酎?普通の?あ、子供ビール持ってこよっか?(笑)って、絶対死んだ時怒られるな……でも、お前の分まで生きるし怒る必要無くないか?ま、どうでもいっか。楽しけりゃいいし」
「じゃ、また来るよ、親友。いくつになっても、車椅子に乗ってでも。」





80年後
「空……会いに来たぞ……」
「お陰で俺はガンを持っちまってな。余命があと3日らしい。無理してでもここに来たから、死んだら褒めてくれよ」
「優さん、もう帰りましょうか」
「ちょっと待ってくれ」
「俺はお前の分まで生きれたか?会ったら言ってくれ……」
「優さん、もういいですか?」
「あぁ、ありがとう」
「ちゃんと、生きたからな。馬鹿野郎。」












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2025/04/03 16:34

まかろんぬ ID:≫ 05Px3dbS7eO8A
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