[小文字]※乱歩さんsideです[/小文字]

「........」

なんだか少し不吉な雨だと思っていた。

機構が最近不安定だったけど、小雨が続いている。

僕は任務の終わりで急いで探偵社に帰ろうとしていた。

だけどそんな僕を呼び止めたのは。

「赤ちゃんの......声？」

鳴き声が聞こえた気がした。不安そうに泣く、赤ちゃんの声が。

「こっちから......聞こえたよね？」

暗い道に入り込むと、すぐに赤ちゃんの居場所はわかった。

段ボールが置いてあり、その中から鳴き声がしていた。

近づいてみると、可愛らしい服に身を包まれている赤ちゃんを発見した。

僕が段ボールを覗き込むと赤ちゃんは一瞬きょとんとしたような顔をしたけれど、

母親が迎えに来たと勘違いしたのか、ニッコリと笑った。

そして届きもしないのに、小さな手を僕に振り上げた。

子どもが特別好きなわけじゃない。特別嫌いでもない。

だけど、この赤ちゃんだけは可愛いと、愛らしいと思った。