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柚夏の読切小説集

#7

思い出──最後の司会

「忘れない〜」
私は歌いながら傘を差し、歩く。
 今日は地域の祭り。私はボランティアとして参加をする。
二月頃から募集が始まり、私はすぐに参加すると担当の人に言った。
 私はボランティア活動が大好きだ。やっていて楽しい。
だけど、今日は雨。前日にてるてるぼうずを作ったが、効果がなかったようだ。
 やっと集合場所に着いた。
時間は八時八分。集合時間は三十分だ。
「早く来すぎちゃったかな……」
 数分後、ぞろぞろとボランティアに参加する人たちが入ってきた。それと同時に友達が来た。
「おはよー」と私は挨拶をした。
 ボランティアの内容は、祭りに来て、遊ぶこどもの補助と、司会。
司会は何度もやっているので、特に不安は無かった。だが、問題なのはこどもの補助だ。私はこどもが嫌いだ。なぜなら、うるさいし、私を煽ってくるからだ。

「そろそろ司会始まるよ」と友達が教えてくれた。
私たちは急いで司会場所に行った。

 ふぅーっと深呼吸をする。
私たちは気合が入っている。
今日、この行事が最後のボランティアだ。
簡単に言えばこの祭りが終わればもうボランティア活動はないということだ。
だから気合が入っているんだ。
 担当の人がオーケーサインを出す。
すぅーっと友達は息を吸い、「みなさん、こんにちは!」と言った。
その友達の姿はきらきらしていた。
「[漢字]貴志[/漢字][ふりがな]きし[/ふりがな]と〇〇と〇〇です。よろしくお願いします!」
 私も、友達を見習い、笑顔で喋った。
──やっぱり楽しい! 司会は。
だけどこれが最後。そう思うと悲しくなる。
 開会式が終わり、担当ごとに分かれた。
私と友達二人は担当場所が同じだった。
内容は“おもちゃ作り”だ。
おもちゃ作りは“必ず”こどもと関わる。
私は嫌だったが、半日だけだからいいや、と思った。
 すると、どんどん人が来た。
「こうやって、こうするんだよ」
最初はあまり乗り気ではなかった。
その時、ある子が私に向かって「ありがとう」と言ってくれた。
私は思わず微笑み、「どういたしまして」と言った。
──あれ? なんか嬉しい。
そう、私の考えが変わったのだ。嫌いだったが、あの子のおかげで、少し好きになれたんだ。
すると、係の人に、「宣伝お願いしてもいい?」と言われた。
私は元々声が大きく、他の女子よりも低い声だったので、自信があった。
「おもちゃ作りどうですかぁぁーー!」
──あれ? 声が出ない!
私ははっとした。
そうだ。そうだった。私は小学六年生以来、大きな声を出していない。つまり、三年間、小さい声を出していたので、声があまり出なくなっていたのだ。
「どうですかーー! 百円ですよー! 自分だけのオリジナルおもちゃが作れまーす!」
声が掠れても私は宣伝し続けた。
──雨の中、傘を差して。
すると、「ぼく、やろっかな」と私の目の前で小学校低学年くらいの子が言ってきた。
私はまた、嬉しくなり、「じゃあ、向こうに行ってね!」と言った。

 もう、終わり。
閉会式になった。そして、ついに、最後の司会のフレーズが出てきた。
本当に、これが最後なんだな、と思いながらマイクを握りしめた。
「交通事故に合わないよう──」

 終わったしまった。
私たちは片付けに取り掛かった。人が少なくなり、急に静かになった。
泣きたかった。だけど、泣けなかった。今、ここで泣いたら周りに迷惑をかけるから。私はどうにか堪えた。

 そして、解散。

 それから、青空が見えてきて、やがて、晴れた。
その日の夕焼けは綺麗だった。

作者メッセージ

休憩時間あったんだけど、小学生らしき男子三人組の一人にぶつかったんだけど、「運命の出会い」って言われて、ちらちら見てきて。

ここで言います。
好きな人いるんだぜ?
運命の出会いって言ってるけど、約二年前、マジで出会ったんだからね!
推し様に!
なつm……
察してね


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制限おち

2025/05/10 23:00

貴志柚夏 ID:≫ 19ZQABSFMiPlU
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