柚夏の読切小説集
「頑張って」そう家族に背中を押される。
ばさっと傘を開き、「いってきます」と震えながら小声で言い、歩いていく。
今日は英検の一次試験を受ける日。何故か天気は雨だ。かなり強めの。
晴れが良かったな、と思う自分もいるが、晴れても気持ちは晴れていないから雨でもいいという自分でも言っていることがよく分からない気持ちになっていた。
一歩一歩強く踏み歩く。
傘を持つ手は震えている。
相当緊張していることが分かる。
迷ったらどうしよう。初めての本会場だからどのように行動すればいいのだろう。忘れ物大丈夫かな。という心配ばかりで英語という頭はなかった。いや、それどころではなかった。
中に入る。試験会場は学校だ。
学校の下見ができる。ほら、メリット見つかった。
そう自分を落ち着かせようとする。
少し落ち着いたが、トラブルが発生する。
「あれ?なんで?」
スマホの電源が切れなかったのだ。
ロックボタンを長押ししても電子決済アプリが開くだけだ。
開く度に“残高230円”と表示される。
ネットで調べている暇はない。
「えっと……できませんでした……」
目を合わせずにうつむきながら小声で言う。
迷惑かけて申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。
それからスマホを預け、会場である教室に向かう。
「ふぅ。間に合った。」
ため息を漏らしながら言う。
席に座り、険しい表情をした自分が映る写真を貼り付けた紙を横に置きながら待った。
──試験開始。
難しい。
問題を解いている時も心臓の音が聞こえる。
緊張しすぎて記憶が曖昧だ。
──試験終了。
ふぅーっと長いため息を漏らす。
教室を出てから「あ、そうだ。スマホ。」と思い出す。
なんとか室と言ってくれたが広すぎて分からない。
「すみません。預けたスマホって……えっと……どこに取りにいけばいいんですか……?」
コミュ障が丸出し。
コミュ障を治したいけれど治らない。
「あそこです。」と関係者さんは指を差しながら言った。
「ありがとうございます。」
どうやったら治せるのだろう。
コミュ障のせいで友達ができない。
話せてもすぐに会話が終わり、沈黙が続くだけだ。
これでもまあ自分の中で頑張ったほうだ。
無事にスマホが返ってき、会場を後にした。
まだ雨が降っている。
傘を差した拍子に、表面に付いていた水がきらきらと飛ぶ。
「受かるかなぁ」
そう誰にともなく呟いた。
ばさっと傘を開き、「いってきます」と震えながら小声で言い、歩いていく。
今日は英検の一次試験を受ける日。何故か天気は雨だ。かなり強めの。
晴れが良かったな、と思う自分もいるが、晴れても気持ちは晴れていないから雨でもいいという自分でも言っていることがよく分からない気持ちになっていた。
一歩一歩強く踏み歩く。
傘を持つ手は震えている。
相当緊張していることが分かる。
迷ったらどうしよう。初めての本会場だからどのように行動すればいいのだろう。忘れ物大丈夫かな。という心配ばかりで英語という頭はなかった。いや、それどころではなかった。
中に入る。試験会場は学校だ。
学校の下見ができる。ほら、メリット見つかった。
そう自分を落ち着かせようとする。
少し落ち着いたが、トラブルが発生する。
「あれ?なんで?」
スマホの電源が切れなかったのだ。
ロックボタンを長押ししても電子決済アプリが開くだけだ。
開く度に“残高230円”と表示される。
ネットで調べている暇はない。
「えっと……できませんでした……」
目を合わせずにうつむきながら小声で言う。
迷惑かけて申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。
それからスマホを預け、会場である教室に向かう。
「ふぅ。間に合った。」
ため息を漏らしながら言う。
席に座り、険しい表情をした自分が映る写真を貼り付けた紙を横に置きながら待った。
──試験開始。
難しい。
問題を解いている時も心臓の音が聞こえる。
緊張しすぎて記憶が曖昧だ。
──試験終了。
ふぅーっと長いため息を漏らす。
教室を出てから「あ、そうだ。スマホ。」と思い出す。
なんとか室と言ってくれたが広すぎて分からない。
「すみません。預けたスマホって……えっと……どこに取りにいけばいいんですか……?」
コミュ障が丸出し。
コミュ障を治したいけれど治らない。
「あそこです。」と関係者さんは指を差しながら言った。
「ありがとうございます。」
どうやったら治せるのだろう。
コミュ障のせいで友達ができない。
話せてもすぐに会話が終わり、沈黙が続くだけだ。
これでもまあ自分の中で頑張ったほうだ。
無事にスマホが返ってき、会場を後にした。
まだ雨が降っている。
傘を差した拍子に、表面に付いていた水がきらきらと飛ぶ。
「受かるかなぁ」
そう誰にともなく呟いた。