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祈りと悪魔の塔

#2

親友

失敗は成功のもと、と言い聞かせ物事をやったことがあるだろうか。
実際にその失敗をしてしまうと同じ過ちを繰り返ささないために努力するのが尚更当たり前であり日常であった。そんな日常の中で、生きたい!と日々実感しながら生きている方は少ない、というか日常に生きて私は少なくともそう思うことはなかった。

そうして悪魔の言われた通り人を殺さなければならないようだった。
悪魔を裏切るわけにもいかない。

「生きてるだけで素晴らしいとも言われるが、逃げでしかありません。
人間達の過ちは繰り返してはならないことであり、粛清される時であります。」

そう不穏なことを告げられ、悲しみに染まってしまった空を見上げて言う
「親友、俺は人間なのだろうか。」

そう、私には親友がいた。「[漢字]将星[/漢字][ふりがな]しょうせい[/ふりがな]」という、腐れ縁と言っても間違いではないほど長い間を一緒に過ごしたのであった。そんなある日親友は別のクラスになって、そのまま時が過ぎて行ってしまう。親友として、話す機会すら減ってしまった私にはしだいに話す回数ですら薄れていってしまった。

「なーにボーっとしてるんだ?」
将星の声が聞こえ、冷や汗が止まらなくなった。自然に流れるようにスマホを見ると[大文字]親友を殺せ、[/大文字]と書いてあるのである。

「いや、少しね。」
悪魔からの囁きが聞こえる。
 「戸惑うくらいなら殺して忘れろ。」
という声を聞き、どことなく恐怖を感じていた。

 「そうか、じゃあとりあえずあまり機嫌がすぐれないのならいっつものカツ屋に行ってでも話そーぜ」
親友は優しい、改めて実感させられた。だが、そんな親友を殺さなければならない。

「僕、君を殺さなきゃいけないんだ。」
張り切って言ってみた。親友なら受けてもらえると勝手な偏見と共に悲しみの涙が頬を伝う。
苦しかった。言いたくなかった。つらい。そんな事を考えていたら親友が口を苦笑いするかのように口角を上げた。
 
「その、嫌な冗談は流石によせって。」
親友は僕の放った現実味がない言葉に疑心暗鬼になってるようであった。
僕は黙り込んだ。辛いから?いや知りたくもなかった現実に目を背けたかった。
今さっきの言葉に続けて言う。

「なぁ、もしその言葉が本当だったとして俺が助けれると思うか?俺が最近話してなかったお前に不意に話しかけたのはそうしなきゃいけない気がしたから。そうして結局俺が死ななきゃいけないんだ?」
まったくのその通りである。私には親友を裏切るだけの精神があるだろうか。
悪魔よ、私の心に住む悪魔よ。黙らないでくれ。

「脅されてやってるんだったら俺に言え、それ以外聞くつもりもねぇ。脅してる奴らに俺は歯向かうぐらいしかできねぇからな。」
親友は優しかった。君を裏切ろうとした僕にですら優しさを与えてくれたのであった。

作者メッセージ

書き溜めしていってる新シリーズです、結末をお楽しみに

2024/12/08 15:02

こっきー(kokkiEX) ID:≫.pvbEp4T5Tg0o
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