アリスと魔法の国
私達は団子屋を離れ街を歩いていた。
「そう言えば、神威さん。蘭閣さんが用意してくれた刀ってどんなのですか?」
確かに見てすらいなかった。
「あぁ、それでござるか」
神威はそう言うと手を前に出す。すると、神威の手に風が集まり、やがて、刀の形となった。
その風がバァッと四方へと飛ぶと、そこには刀が出てきていた。
「すごいでござろう?こういう妖術が組み込まれてるらしいでござる」
神威は自慢げに言う。
その刀を見て鈴はすごいものを見たような顔になり、口を開く。
「それって...神刀・[漢字]蛇龍七星[/漢字][ふりがな]じゃりゅうしちせい[/ふりがな]、だよね?」
「確かそんな名前だった気がするでござる」
神威は刀に興味津々で蘭閣の話を全然聞いてなかったのだろう。
「その刀はね、華楽の‹神龍殺し›と呼ばれた男が使っていた刀でね、それで...」
鈴は言うべきか迷うように口をゴニョらせる。
「それで、何でござるか?」
「その刀は七星の加護と新龍の呪を受けた刀で、神刀であり、妖刀でもあるんだ...だから...」
鈴は心配そうだったけど、何で神威がそんな大層なもん持ってるの?
「大丈夫でござるよ。拙者なら扱えると霊幻殿も蘭閣殿も言っておられたでござるから」
なら、大丈夫か?
「まぁ、試しにどっかで使ったほうがいいよ?」
「そうするでござる」
そう話していると急に鈴の後ろに黒い魔力の塊、いや、人?が立っていた。
「鈴!!」
私は鈴に向かって叫んだ。
だが、気づくのが遅く鈴は連れ去られた。
鈴...。
一体誰の仕業だ?ジェスターか?それとも、他のウロボロス教団?確か隠者は物を隠せる魔法とか言ってた気がするし...。それとも、神威を狙う帝一族か?
何にせよ疑うものが多すぎる。
「アリス!!いつの間にかルクスもいないでござる」
え!!
「何でルクスと鈴なの!?」
「連れ去るなら拙者とアリスであろうでござるしな」
すると私達のもとに一匹の鳥がやってきた。
その鳥の足には紙が括られていた。
その紙を神威はほどき、中を見る。
「犯人がわかったでござる。これを見るでござる」
[下線]拝啓、突然の手紙、申し訳ありません。
まず、お兄様おかえりなさい。外の旅はどうでしたか?私がいなくて寂しかったですか?お兄様は私をめっぽう溺愛してくれてましたので寂しかったでしょう。そういう私も、お兄様にずっと会えずに寂しい思いをしてきました。なので、お兄様にちょっとしたイタズラとテストを仕掛けてみました。でもですよ?ずっと帰ってこなかったお兄様が悪いんですよ。お兄様のためなら、帝一派など紫月家と紅桜家が協力し滅ぼしたしょうに。でも、過ぎたことを言っても仕方がありません。なので、お仲間お二人を人質に取り、お兄様に遊んでもらおうと思いました。お兄様は今、こう思ってるでしょう?なぜ、自分だけを残さないのか、と。それはですね、私の密偵の調査によりますとその女がお兄様の想い人で、その上、その女もお兄様に好意を寄せているだとか。なので、その女が兄様にふさわしいかを見極めるためにも残していたのです。他にも今回の遊びは兄様一人では大変という理由もありますが、そういう事ですので、準備ができましたら紫月家の屋敷にどうぞ侵入して、攻略してくださいまし。
お兄様が溺愛する妹より[/下線]
ここまで読んで思う。この子、ブラコンすぎない?まぁ、神威の本当の妹ではないだろう。昔からの馴染ってだけで。
それにしても、なんか釈然としない。
もやもやが残る。
「そう言えば、神威さん。蘭閣さんが用意してくれた刀ってどんなのですか?」
確かに見てすらいなかった。
「あぁ、それでござるか」
神威はそう言うと手を前に出す。すると、神威の手に風が集まり、やがて、刀の形となった。
その風がバァッと四方へと飛ぶと、そこには刀が出てきていた。
「すごいでござろう?こういう妖術が組み込まれてるらしいでござる」
神威は自慢げに言う。
その刀を見て鈴はすごいものを見たような顔になり、口を開く。
「それって...神刀・[漢字]蛇龍七星[/漢字][ふりがな]じゃりゅうしちせい[/ふりがな]、だよね?」
「確かそんな名前だった気がするでござる」
神威は刀に興味津々で蘭閣の話を全然聞いてなかったのだろう。
「その刀はね、華楽の‹神龍殺し›と呼ばれた男が使っていた刀でね、それで...」
鈴は言うべきか迷うように口をゴニョらせる。
「それで、何でござるか?」
「その刀は七星の加護と新龍の呪を受けた刀で、神刀であり、妖刀でもあるんだ...だから...」
鈴は心配そうだったけど、何で神威がそんな大層なもん持ってるの?
「大丈夫でござるよ。拙者なら扱えると霊幻殿も蘭閣殿も言っておられたでござるから」
なら、大丈夫か?
「まぁ、試しにどっかで使ったほうがいいよ?」
「そうするでござる」
そう話していると急に鈴の後ろに黒い魔力の塊、いや、人?が立っていた。
「鈴!!」
私は鈴に向かって叫んだ。
だが、気づくのが遅く鈴は連れ去られた。
鈴...。
一体誰の仕業だ?ジェスターか?それとも、他のウロボロス教団?確か隠者は物を隠せる魔法とか言ってた気がするし...。それとも、神威を狙う帝一族か?
何にせよ疑うものが多すぎる。
「アリス!!いつの間にかルクスもいないでござる」
え!!
「何でルクスと鈴なの!?」
「連れ去るなら拙者とアリスであろうでござるしな」
すると私達のもとに一匹の鳥がやってきた。
その鳥の足には紙が括られていた。
その紙を神威はほどき、中を見る。
「犯人がわかったでござる。これを見るでござる」
[下線]拝啓、突然の手紙、申し訳ありません。
まず、お兄様おかえりなさい。外の旅はどうでしたか?私がいなくて寂しかったですか?お兄様は私をめっぽう溺愛してくれてましたので寂しかったでしょう。そういう私も、お兄様にずっと会えずに寂しい思いをしてきました。なので、お兄様にちょっとしたイタズラとテストを仕掛けてみました。でもですよ?ずっと帰ってこなかったお兄様が悪いんですよ。お兄様のためなら、帝一派など紫月家と紅桜家が協力し滅ぼしたしょうに。でも、過ぎたことを言っても仕方がありません。なので、お仲間お二人を人質に取り、お兄様に遊んでもらおうと思いました。お兄様は今、こう思ってるでしょう?なぜ、自分だけを残さないのか、と。それはですね、私の密偵の調査によりますとその女がお兄様の想い人で、その上、その女もお兄様に好意を寄せているだとか。なので、その女が兄様にふさわしいかを見極めるためにも残していたのです。他にも今回の遊びは兄様一人では大変という理由もありますが、そういう事ですので、準備ができましたら紫月家の屋敷にどうぞ侵入して、攻略してくださいまし。
お兄様が溺愛する妹より[/下線]
ここまで読んで思う。この子、ブラコンすぎない?まぁ、神威の本当の妹ではないだろう。昔からの馴染ってだけで。
それにしても、なんか釈然としない。
もやもやが残る。