アリスと魔法の国
私達は無事に炎鳥会へと帰った。
だが、炎鳥会は重々しい空気であった。
「霊幻さんが封印された」
蘭閣のその一言によって。
「おじいちゃんは無事なの?」
今にも泣きそうな鈴が、声を震わして聞いた。
「無事ではあるが、薄い膜に囚われていて魔法を無効化している」
「おじいちゃんに合うことはできる?」
「えぇ、それならこちらに」
蘭閣は鈴を連れ部屋を出た。
「霊幻さん、封印されちゃったんだ」
あんなにも強い人が封印されてしまうだなんて...。
「そうでござるな...」
「話によれば女帝の魔法を受けた膜であるそうです」
私の魔法ではどうすることもできなさそうだけど、でも。
「それはどういった能力なの?ルクス」
「魔法を受け止める、包み込む。そういった感じで威力をなくすのだとか」
魔法の威力をなくす...。
「それには限界があるよね?」
「あるでしょうが命をかけた魔法はそんなやわじゃありませんし、何よりあの人が壊せれなかったのですから...」
霊幻の魔法は圧倒的な力というものではない。それよりも分析して数の暴力で攻めるといったとこだ。
「あの人の力は圧倒的じゃない。だから、レス師匠なら壊せるかも...」
「いや、多分無理でござろうな。命をとして作った妖術はそんなもんじゃござらん」
神威は命をかけた魔法を見たことがあるのだろう。それに、神威もあの人の弟子だ。神威がそういうならそうなのだろう。
そう言えばルクスが魔法無効化の手錠をアホーなんちゃらとかいう盗賊に使ってた気が...。
「ルクス、魔法無効化の武器とか出せる?」
「その手がありましたか。魔法なのだから魔法を無効にすれば意味がない」
そうならば善は急げだ。
私達は部屋を勢い良いよく出た。
「そう言えばどの部屋か知ってるでござるか?」
私とルクスは首を横に振る。
「どうしよっか?」
「手当たり次第に探すしかないでござるな」
私達が近くの部屋に行こうとしたその時、背後から声をかけられた。
「お前たち、何をしている?」
恐る恐る後ろを見ると、蘭閣が怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
「もしかしたら封印が解けるかと思って部屋を探してたでござる」
「それは本当か?いや、少しでも可能性があるならいい。こっちへ来い」
私達は小走りに歩く蘭閣へとついて行った。
本当に焦ったぁ。後ろにいるのは怖いよぉ。
「失礼します」
私達が部屋に入るとシャボンのような物の中で鈴を見ている霊幻と、それに寄りかかる鈴がいた。
「どうしたの?」
鈴がこちらを振り返り聞く。
鈴の頬には涙の跡が見えた。
「もしかしたらその膜、壊せるかもしれません」
「ホント?ルクス」
鈴の顔は明るくなる。
「確証はありませんが、やってみる価値はあると思います」
「いいよ、やって。少しでも可能性があるなら」
「では、‹メタトロン・契約・破魔の槍›」
出てきた槍は禍々しく、それでいて神々しい。だが、強烈なまでの死を連想させる。
ルクスはやりを持つとそれを膜へと刺す。
膜の魔力は槍を反発していた。
でも、少しずつ槍が膜へと近づいていく。
そして、膜は破れた。
「ふう、やっと出れたか。礼を言う、ルクス」
「私からもありがと、ルクス」
霊幻と鈴はルクスの手を握る。
「聖職者として当然の事をしたまでです」
ルクスは傲らない良き人であった。
だが、炎鳥会は重々しい空気であった。
「霊幻さんが封印された」
蘭閣のその一言によって。
「おじいちゃんは無事なの?」
今にも泣きそうな鈴が、声を震わして聞いた。
「無事ではあるが、薄い膜に囚われていて魔法を無効化している」
「おじいちゃんに合うことはできる?」
「えぇ、それならこちらに」
蘭閣は鈴を連れ部屋を出た。
「霊幻さん、封印されちゃったんだ」
あんなにも強い人が封印されてしまうだなんて...。
「そうでござるな...」
「話によれば女帝の魔法を受けた膜であるそうです」
私の魔法ではどうすることもできなさそうだけど、でも。
「それはどういった能力なの?ルクス」
「魔法を受け止める、包み込む。そういった感じで威力をなくすのだとか」
魔法の威力をなくす...。
「それには限界があるよね?」
「あるでしょうが命をかけた魔法はそんなやわじゃありませんし、何よりあの人が壊せれなかったのですから...」
霊幻の魔法は圧倒的な力というものではない。それよりも分析して数の暴力で攻めるといったとこだ。
「あの人の力は圧倒的じゃない。だから、レス師匠なら壊せるかも...」
「いや、多分無理でござろうな。命をとして作った妖術はそんなもんじゃござらん」
神威は命をかけた魔法を見たことがあるのだろう。それに、神威もあの人の弟子だ。神威がそういうならそうなのだろう。
そう言えばルクスが魔法無効化の手錠をアホーなんちゃらとかいう盗賊に使ってた気が...。
「ルクス、魔法無効化の武器とか出せる?」
「その手がありましたか。魔法なのだから魔法を無効にすれば意味がない」
そうならば善は急げだ。
私達は部屋を勢い良いよく出た。
「そう言えばどの部屋か知ってるでござるか?」
私とルクスは首を横に振る。
「どうしよっか?」
「手当たり次第に探すしかないでござるな」
私達が近くの部屋に行こうとしたその時、背後から声をかけられた。
「お前たち、何をしている?」
恐る恐る後ろを見ると、蘭閣が怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
「もしかしたら封印が解けるかと思って部屋を探してたでござる」
「それは本当か?いや、少しでも可能性があるならいい。こっちへ来い」
私達は小走りに歩く蘭閣へとついて行った。
本当に焦ったぁ。後ろにいるのは怖いよぉ。
「失礼します」
私達が部屋に入るとシャボンのような物の中で鈴を見ている霊幻と、それに寄りかかる鈴がいた。
「どうしたの?」
鈴がこちらを振り返り聞く。
鈴の頬には涙の跡が見えた。
「もしかしたらその膜、壊せるかもしれません」
「ホント?ルクス」
鈴の顔は明るくなる。
「確証はありませんが、やってみる価値はあると思います」
「いいよ、やって。少しでも可能性があるなら」
「では、‹メタトロン・契約・破魔の槍›」
出てきた槍は禍々しく、それでいて神々しい。だが、強烈なまでの死を連想させる。
ルクスはやりを持つとそれを膜へと刺す。
膜の魔力は槍を反発していた。
でも、少しずつ槍が膜へと近づいていく。
そして、膜は破れた。
「ふう、やっと出れたか。礼を言う、ルクス」
「私からもありがと、ルクス」
霊幻と鈴はルクスの手を握る。
「聖職者として当然の事をしたまでです」
ルクスは傲らない良き人であった。