アリスと魔法の国
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閉じていた視界が開いていく。
だが、見える景色がさっきとは違う。
ここはまるで私の世界‹不思議な世界›のような場所であった。
周りを見渡すと足元に一匹の真っ白な兎がいた。
真っ白な兎の真っ赤な目が私の目と合うと兎は喋り始めた。
「やぁ、久しぶりだね。アリス」
兎が喋るのを見たのは初めてではないが...なんというか、まだなれない。
でも、この兎がいて、私の世界に似た空間ってことは、ここはきっと私の意識の中なのだろう。
「そう、ここは君の意識の中」
兎は私の思考を読んだかのように答える。
「読んだようにじゃなくてね、ここは君の意識の中なんだよ?僕は君の思考の一部。君を覚醒させるための一部。そして、使い魔でもある」
私、使い魔契約なんてした記憶ないんだけど...。
「この魔法に覚醒したから自動で契約しただけだよ。深く考えないで」
まぁ、それはいいとして。私と神威は大丈夫なの?
「君の方は数直前に目が看破して光魔法を無意識に発動したけど...神威くんは今頃、瘴気に侵されているだろうね。あと、30分ぐらいで命の危険がある」
なら、早く返して。
「それは無理だ。君も今、危険な状態にある。神威程ではないとは言え、対処しなければ二人共死ぬよ」
なら、ならどうしたいいていうんだよ。
私には光魔法で進行をを遅らせるぐらいしかできない。
「だから、僕がいるの。付いてきて」
そう言うと兎は走り始める。
私もそれに付いていくしかない。他にどうすればいいかもわからない。
私は神に縋る気持ちでうさぎを追いかけた。
兎が急に止まるとそこには真っ白なお城があった。
正直、綺麗だと思った。
「見惚れるのはいいけど。時間がないんだろ?早く」
私は兎の言葉で我に戻り場内に入っていった。
兎は付いてはこない。なぜだろうか?
「僕の役目はここまでだ。幸運を祈るよ、アリス」
私は城に入り長い廊下を歩いた。
ここは内装まで真っ白であった。
すると一番奥に多くな鏡があった。
私は鏡の前に行くとその鏡をよぉぅく見た。
なんだか懐かしいような、それでいて身近に感じた。
私はその鏡に触れる。
鏡に写っていた私は姿を変え母様へと変化した。
「アリス。あなたはやはりたどり着くのですね」
その声を聞いて私は胸を高鳴らせた。
「母様!!」
私がここに来て初めて発した言葉だった。
「アリス、残念ながら私はもう死んでます」
アリスの頬に冷たいものがツゥと通るのを感じた。
「ここにいる私は目に宿る残滓し過ぎません。ですができることがあります。それは...」
鏡から母様の手が出てくる。そして、その手は私の頬を優しく撫で右目の上にそっと手を乗せる。
「あなたに私の魔法を与えます」
目が熱い。目が変化していくのを感じる。
「少しの間、我慢してくださいね。できるまでに伝えときます。貴方にあげた目は、貴方を早く覚醒させ逃すためのピースに過ぎませんでした。でも、もし私が死んだ時、貴方を守るため魂の一部をこの目に宿したのです。」
私を守るために...。
「ありがとう。母様」
私は泣くのをこらえ眼の前の鏡を見つめる。
「アリス...もう、時間が..り.いの..です。最.ご..とつ.け、[漢字]世界[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]に..つけて」
そう言って母様は鏡の中からも消えた。
でも、母様は最後に笑っているように見えた。
死んだものと思っていたから、このような形でも会えたのは嬉しかった。けど、それでも別れは辛い。
私はそれでも泣くのをこらえ外へと出た。
そこにいるのは白兎。
「母親との別れはすましたかい?」
えぇ。貴方が言っていたのはこの目のことでしょ?
「あぁ、そうさ。じゃあ、あの悪魔を倒してきな」
私の視界は再び暗くなった。