あんな想定外の大群ラッシュが来たんだからもう終わりかと思うじゃん。なのになんでゴブリンロードが出るの。
　ゴブリンロードの見た目は私達よりも少しでかい。そして、禍々しいオーラを放っている。でも、もう魔力が全然ない。とっさに物陰に隠れたけど見つかるのは時間の問題だよ。
｢何でござるか?あの気持ちの悪いオーラをまとったゴブリンは｣
｢あれはゴブリンロードといってね。すごく多いゴブリンの群れのトップでゴブリンたちの中では、プラチナレベルのゴブリンだよ。倒すには、ゴールド冒険者の中でも強い人かゴールド冒険者2名以上と想定されているよ｣
｢ならいけるでござるな。拙者たち二人合わしてゴールド級でござる｣
　神威さんは得意げに言うが私は...
｢私は...あの上級魔法を使ったからもう魔力が2割程度しかないんだよ｣
｢そういえば拙者も妖力がすっからかんでござる｣
　万事急須だ。逃げるしかない。
｢隙を見て逃げよう｣
｢うむ。それが良い判断でござろうな。｣
　ゴブリンロードは何故か戻っていった。今がチャンスだと言わんばかりに私達は走って洞窟の外へ行った。
　でも、罠だった。
　ゴブリンロードは私達がいるのがわかっていた。だから罠にはめた。ゴブリンロードには、それほどの知性があった。
｢戦うしかないでござるな｣
｢そうだね｣
　ゴブリンロードへの攻撃手段として今の私で有効なのは、目くらましと、雷を一点に集中させて撃つことだけだ。神威さんはどうだろうか?
｢なにか攻撃方法はある?｣
｢刀一本と武士の心｣
｢十分すぎる答えだよ。私が目くらましするから斬って｣
｢承知｣
　私はゴブリンの目に風の魔法で砂を目に舞わせた。その隙に神威さんがゴブリンの体制を崩そうと脚を切ろうとしたが傷は入らない。
　私は絶望した。ふたりとも死ぬのか?母様が命がけで守ったこの命を捨てるのか?いや、醜くとも生にしがみついてやる。

<<アリスの中でアリスを縛る鎖が破壊された>>
　
｢あいつを殺して生き抜く｣
アリスぼ静かな息のような声だった

　たしかこの右目には母様の‹白雪姫›の魔法がかかっている。この目は真実を見せる。そして、私の無属性魔法。「無属性魔法は何かをきっかけに能が勝手に使い方を理解する」と言われている。が、これは当てにならない。だから圧縮した雷と光のナイフ、これがあいつを殺すための手段。
　まずは、魔力を少し目に注いで相手をよく見る。相手の攻撃や隙、弱点までもが丸わかりだ。
｢神威さん。ゴブリンロードの気を引いて｣
｢承知｣
　神威さんがゴブリンロードの気を引いてくれたおかげでいい道ができた。
　私はゴブリンへと走る。
｢ライトナイフ・極電｣
　このゴブリンの弱点の頭へと突き刺した。でも、このゴブリンの動きを鈍らせる程度で殺しはできなかったが鈍らせれた。
｢ぐらぁぁぁぁぁぁぁ!!｣
　ゴブリンロードは叫んだ。
｢grahekkkg｣
　私達人間には理解できないがゴブリンの魔法だろう。
　でも、わたしにはあたらない。目が最適解を教えてくれる。神威さんも刀で防いでる。一安心だ。
　でも、魔力が...もうない。後一発行けるぐらいだ。
　ゴブリンロードの攻撃が神威目指して飛んできた。もう神威は防げそうにない。私の右目が言っている。
　死なせたくない。もう、私の眼の前で大切な人を死なせたくない。
　　”あぁ時を戻してゴブリンロードへと攻撃が行けばいいのに。”
　ゴブリンロードの放った攻撃がゴブリンロードに戻っていった。そして急に巨大な魔力に耐えれなかったゴブリンの右手は吹き飛んだ。神威さんも私も驚いた。何が起こったかわからなかった。
　でも、絶好のチャンスだ。私は、残りのありったけの魔力をゴブリンへと叩きつけた。神威さんも同じ考えだったのだろう。炎の風をまとった龍がゴブリンロードへと飛んだ。
　私の雷も喰らい雷と炎の風がゴブリンの硬い皮膚もを超えゴブリンを焼き殺した。