アリスと魔法の国(毎週木曜日更新!!)
店の奥に迦具夜等も入る。
「残念なことに紅桜屋敷には帰れないでしょうね」
「拙者に家を捨てて逃げろと?」
その神威の一言には威圧があった。
「まぁ、言ってしまえばそうですかね」
「迦具夜、昔からの付き合いをいえど首をはねることは容易いでござろうよ」
神威は瞳孔を開き、迦具夜の首筋に刀を当てる。
それを止めようと獣也と蓮兎が止めに入ろうとするも、迦具夜が手で合図を出し、止める。
「貴方は彼らに残された希望なのです。それに、今は黄建家や九尾の巫女もいるそうではないですか。それに妖美姉様もいますし、そんな簡単に殺られるとは思えませんね。多分、天狗の隠れ里にでも逃げているでしょう」
その言葉を聞き、神威は押し黙る。
たしかにそうだろうという思い。でも、納得のいかないという思いが入り混じっているのだろう。
「頭は冷えましたか?」
「かたじけない」
神威は刀を鞘に納める。
「皆様は私達の屋敷にて匿います」
「かたじけない」
そうして私達はこの家の地下通路を通り紫月家の屋敷へと向かった。
ー数時間後の紫月家の屋敷内にて
「姫様、手紙が一通」
そう言って武士であろう男が手紙を渡す。
「どれどれ...これ兄様宛の手紙だね。はい兄様」
そう言いながら迦具夜は手紙を神威へと渡した。
「姉さんからでござるか」
そこにはこう書かれていた。
[下線]私達は無事に天狗がくれの里に逃げ込むことができました。
ですが、集まることは難しそうですので、度々カラスの使者を遣わすことにいたしました。
どうか無事を祈っています。
[右寄せ]紅桜 妖美[/右寄せ][/下線]
良かったと、安堵の息を漏らす。
「一つ、よろしいでしょうか?」
手を前で合わし、迦具夜は言う。
私達は無言で頷く。
「多分、一週間程度で戦争が始まります。今以上の兵力の入手はきっと困難になるものと思えます。今できることは個々人の力の増強を目指すことでしょうね。なので兄様達と月兎はコントゥラに訓練をつけてもらうこととしました」
「「「うげぇ」」」
不服そうな声が3つほど重なる。
「厳しいでしょうが頑張ってください!!」
「いやぁ、やりやすよ。やりやすけども...」
「俺、修行、怖い」
「あの人に頼れば確かに強くなれるでござろうが...!!」
三者三様に絶望の色が見て取れる。
どんな修行だよ。
「それはいいですが、明後日は外に出る用事があります」
「外は難しいですが、又何故?」
正直に放すべきか迷うがまぁ協力者はほしいところだ。
「明後日はウロボロス教団の愚者と会い、交渉を行います」
「それは認可しにくい内容ですね」
それもそうだ。敵との交渉。罠の可能性も十分にありえる。
「やつとの交渉はこの国を脅かすウロボロス教団の陰者と吊られた男の死。私達にも十分なメリットがあります」
それを聞き、うーんと考える雰囲気を放つと、ピンっと指を立てた。
「認識阻害の妖術を掛け、後ろに蓮兎を待機させます。それでもいいですか?」
「えぇ、ありがとうございます」
「いえいえ。あっそうだ、もうこの際ですし、敬語もさん付けもいいですよ」
「ではよろしく。迦具夜」
「えぇ、アリス」
こうして、戦争前の過酷な一週間が始まった。
「残念なことに紅桜屋敷には帰れないでしょうね」
「拙者に家を捨てて逃げろと?」
その神威の一言には威圧があった。
「まぁ、言ってしまえばそうですかね」
「迦具夜、昔からの付き合いをいえど首をはねることは容易いでござろうよ」
神威は瞳孔を開き、迦具夜の首筋に刀を当てる。
それを止めようと獣也と蓮兎が止めに入ろうとするも、迦具夜が手で合図を出し、止める。
「貴方は彼らに残された希望なのです。それに、今は黄建家や九尾の巫女もいるそうではないですか。それに妖美姉様もいますし、そんな簡単に殺られるとは思えませんね。多分、天狗の隠れ里にでも逃げているでしょう」
その言葉を聞き、神威は押し黙る。
たしかにそうだろうという思い。でも、納得のいかないという思いが入り混じっているのだろう。
「頭は冷えましたか?」
「かたじけない」
神威は刀を鞘に納める。
「皆様は私達の屋敷にて匿います」
「かたじけない」
そうして私達はこの家の地下通路を通り紫月家の屋敷へと向かった。
ー数時間後の紫月家の屋敷内にて
「姫様、手紙が一通」
そう言って武士であろう男が手紙を渡す。
「どれどれ...これ兄様宛の手紙だね。はい兄様」
そう言いながら迦具夜は手紙を神威へと渡した。
「姉さんからでござるか」
そこにはこう書かれていた。
[下線]私達は無事に天狗がくれの里に逃げ込むことができました。
ですが、集まることは難しそうですので、度々カラスの使者を遣わすことにいたしました。
どうか無事を祈っています。
[右寄せ]紅桜 妖美[/右寄せ][/下線]
良かったと、安堵の息を漏らす。
「一つ、よろしいでしょうか?」
手を前で合わし、迦具夜は言う。
私達は無言で頷く。
「多分、一週間程度で戦争が始まります。今以上の兵力の入手はきっと困難になるものと思えます。今できることは個々人の力の増強を目指すことでしょうね。なので兄様達と月兎はコントゥラに訓練をつけてもらうこととしました」
「「「うげぇ」」」
不服そうな声が3つほど重なる。
「厳しいでしょうが頑張ってください!!」
「いやぁ、やりやすよ。やりやすけども...」
「俺、修行、怖い」
「あの人に頼れば確かに強くなれるでござろうが...!!」
三者三様に絶望の色が見て取れる。
どんな修行だよ。
「それはいいですが、明後日は外に出る用事があります」
「外は難しいですが、又何故?」
正直に放すべきか迷うがまぁ協力者はほしいところだ。
「明後日はウロボロス教団の愚者と会い、交渉を行います」
「それは認可しにくい内容ですね」
それもそうだ。敵との交渉。罠の可能性も十分にありえる。
「やつとの交渉はこの国を脅かすウロボロス教団の陰者と吊られた男の死。私達にも十分なメリットがあります」
それを聞き、うーんと考える雰囲気を放つと、ピンっと指を立てた。
「認識阻害の妖術を掛け、後ろに蓮兎を待機させます。それでもいいですか?」
「えぇ、ありがとうございます」
「いえいえ。あっそうだ、もうこの際ですし、敬語もさん付けもいいですよ」
「ではよろしく。迦具夜」
「えぇ、アリス」
こうして、戦争前の過酷な一週間が始まった。