こちら二番線、異常なし
「僕は何も出来ないのに…何故…?」
「…まあ、混乱するのも仕方ないわ。もう一回説明したる。」
あ、もう一度さっきの様な、大事なところを全然言わずに省略しまくった説明をする気だ。
どうしよう、またあの説明を聞くのは時間の無駄だ。どうにか止めないと…と慌てる。
すると、隣に居た朔さんが唄音さんの頭を軽くはたいた。
「これ唄音、お前の不十分な説明で誰が理解出来ると言うのか?儂が説明してやるから座っておれ。」
「朔さん…!」
やっと真っ当な説明が聞ける!と、僕は目を輝かせて朔さんを見つめる。
僕は『二人に育ててもらった』と言ったが、正しくはそうではない。
朔さんは研究の第一人者、要は偉い人なため常に僕ら孤児を見ているわけにはいかない。基本的には唄音さんと過ごしていたんだ。
つまり、朔さんと関わる機会が少ないということ。
そんなわけで「頭が良い人」という事以外よく知らない。こうやって会話をするのも何年ぶりか……
「良いか律香、よく聞くのじゃ。」
「はい朔さん、聞いてます!」
[大文字]「まずは、実戦じゃ!」[/大文字]
[大文字]「…………え!?」[/大文字]
そう言って首根っこを掴まれた僕は、ニカっと笑った朔さんの顔を横目に窓の外へと放り投げられた。
「え……あ、え!?朔さん、唄音さ………っ」
ふわりと空を舞ったと思えば、そのまま急降下。
ひゅうっと冷たい風が頬を切っていく。
ここはエイリアンバスター総括処理場。要は事務所だ。
階数で言うと…十階程度。大体高さ三十メートルだから、下まで六秒で着いてしまう!
「うわぁあああ~~!!!!!!」
我ながら情けない最期だ。どうせなら、美味しいどら焼きが食べたかった…!
そう思ってぎゅっと目を瞑り、そろそろ訪れるであろう痛みに備える。
「………ん?」
なかなか衝撃が訪れず、戸惑う。
少し目を開けると、誰かの腕が見えた。良かった、受け止めてもらえたみたいだ。
安心して、そのままずるりと腕の中から落ちる。ふかふかの芝生だ。
「…なぁ、お前が[漢字]大山律香[/漢字][ふりがな]おおやま りつか[/ふりがな]か?」
大山律香。僕の名前だ。というか…え…ビルから落ちてきた僕のこと…受け止めた……え……!?
驚いて見つめてみると、かなり大きい。ゆうに百八十センチはありそうだ。
「律香くん、いま空飛んできたよなぁ!上で何があったん!?」
逆側から、とびきり元気な京都弁が聞こえた。くるりと顔をむけると、きゅるきゅるの黄色い瞳が覗いている。綺麗な瞳だ。
…いや、そうじゃなくて!
「え…っと、お二人は、なんで僕の名前を…?」
「何でってそりゃ…」
「私たちが律香くんの同期になるから、やで!」
「…まあ、混乱するのも仕方ないわ。もう一回説明したる。」
あ、もう一度さっきの様な、大事なところを全然言わずに省略しまくった説明をする気だ。
どうしよう、またあの説明を聞くのは時間の無駄だ。どうにか止めないと…と慌てる。
すると、隣に居た朔さんが唄音さんの頭を軽くはたいた。
「これ唄音、お前の不十分な説明で誰が理解出来ると言うのか?儂が説明してやるから座っておれ。」
「朔さん…!」
やっと真っ当な説明が聞ける!と、僕は目を輝かせて朔さんを見つめる。
僕は『二人に育ててもらった』と言ったが、正しくはそうではない。
朔さんは研究の第一人者、要は偉い人なため常に僕ら孤児を見ているわけにはいかない。基本的には唄音さんと過ごしていたんだ。
つまり、朔さんと関わる機会が少ないということ。
そんなわけで「頭が良い人」という事以外よく知らない。こうやって会話をするのも何年ぶりか……
「良いか律香、よく聞くのじゃ。」
「はい朔さん、聞いてます!」
[大文字]「まずは、実戦じゃ!」[/大文字]
[大文字]「…………え!?」[/大文字]
そう言って首根っこを掴まれた僕は、ニカっと笑った朔さんの顔を横目に窓の外へと放り投げられた。
「え……あ、え!?朔さん、唄音さ………っ」
ふわりと空を舞ったと思えば、そのまま急降下。
ひゅうっと冷たい風が頬を切っていく。
ここはエイリアンバスター総括処理場。要は事務所だ。
階数で言うと…十階程度。大体高さ三十メートルだから、下まで六秒で着いてしまう!
「うわぁあああ~~!!!!!!」
我ながら情けない最期だ。どうせなら、美味しいどら焼きが食べたかった…!
そう思ってぎゅっと目を瞑り、そろそろ訪れるであろう痛みに備える。
「………ん?」
なかなか衝撃が訪れず、戸惑う。
少し目を開けると、誰かの腕が見えた。良かった、受け止めてもらえたみたいだ。
安心して、そのままずるりと腕の中から落ちる。ふかふかの芝生だ。
「…なぁ、お前が[漢字]大山律香[/漢字][ふりがな]おおやま りつか[/ふりがな]か?」
大山律香。僕の名前だ。というか…え…ビルから落ちてきた僕のこと…受け止めた……え……!?
驚いて見つめてみると、かなり大きい。ゆうに百八十センチはありそうだ。
「律香くん、いま空飛んできたよなぁ!上で何があったん!?」
逆側から、とびきり元気な京都弁が聞こえた。くるりと顔をむけると、きゅるきゅるの黄色い瞳が覗いている。綺麗な瞳だ。
…いや、そうじゃなくて!
「え…っと、お二人は、なんで僕の名前を…?」
「何でってそりゃ…」
「私たちが律香くんの同期になるから、やで!」