無属性勇者はデタラメすぎる
属性を調べた後、僕たちはカイラル王の指示により休息を取ることにした。
なんだかんだ言って悪い人ではないことがわかった。カイラル王も世界のために動いているんだ。僕らも頑張らないと…
でも、ほんとにゲスイ王様とかじゃなくてよかった。こういう異世界系はだいたい主人公が王様に騙されるんだよ…
「休息って言っても…」
あたりを見渡すが、この部屋には僕しかいないんだよな…
「時間帯的にもう夜か…」
ご飯はさっき食べた。さすがこの国の最高権力者だ…ご飯がとても美味しかった。米はないけどパンはとても美味しい…
一番驚いたのはお風呂だ。大大浴場だよ…先輩と入ったけど2人には広すぎる。
「もう寝るか」
疲れた…なんだか身体というより精神的に疲れた。
「あれ?」
そういえば忘れていたけど、僕の指治ってる?結構血が出ていたはずだけど…まあいいか。
[水平線]
その頃、玉座にてーーー
「う〜むどうしたもんだ」
カイラル王は頭を抱えていた。勇者サトルのこれからについて。勇者カクトは風魔法を使えるということから、軍団長でもあり実の息子でもあるリアムに任せることにした。
「カイラル様、無属性となれば彼がいるのでは?」
マーシャの言葉にカイラル王が思い出したような顔をする。
「ああ、いるではないか!なぜ忘れていたのだ!私としたことが…」
マーシャのおかげで救われたカイラル王。
「明日の朝、勇者を連れて向かうことを伝えてくれるか」
「はい」
「あいつなら大丈夫だろう。それにどうせ暇だろう…これを機に、忘れかけていた感覚を取り戻してもらわなくては」
一体、カイラル王のいうあいつとは誰なのだろうか。
[水平線]
どうやら僕に訓練をしてくれる人が見つかったらしい。カイラル王によると、昔は冒険者をしていたとか。1人でドラゴンを討伐するような人だと…カイラル王はその人を軍団長として国に入れたのだけど3年前に引退したらしい。
「君と同じ無属性だったはず」
「無属性って僕だけじゃないんだ」
今僕たちはその人に会うため、城から数十キロ離れた山にきた。ちなみにだが、先輩は城の近くにある騎士たちを育てる訓練施設で訓練しているところだ。
ただでさえ遠いのに、山まで登らないといけないのかよ…一体どんなやつがいるんだ。
山を登った先にあったのは、少し大きめの平屋。周りの木を伐採して綺麗に整地してあった。
「ネオン!!いるか!」
カイラル王は平屋に向かって今から訓練をしてくれるであろうその人の名を呼んだ。
「カイラル、そんなデカい声出さなくても聞こえてるよ…」
中から出てきたのは、中年のおっさんだった。剃りきれていない髭に、明らかに寝不足だとわかる目の下にあるくま。くしゃくしゃになった茶色髪。
よく見ると、足は義足であった。僕らの世界でも義足はあるが、機械的なものというより木でできた簡素なもの。
「ネオン、手紙の通り勇者を連れてきた」
「勇者ねえ〜、でその子が?」
僕の目を見て、ニヤリと笑う。なに?え?怖い…すごい寒気を感じた。なんかこれからが不安になってきた…
「では、頼んだぞ」
「え?あの、カイラル様?」
「大丈夫、死にはしないから」
ん?どういうこと?あ、ちょまって!おい!置いてくな!お〜い!
「嘘だろ」
「さてと、俺はカーラル・ネオン。40歳のおっさんだ」
不適な笑みを浮かべるネオンに再び寒気が走る僕。
「ネオン!!みて!今日の獲物だよ!!!」
いきなり山の向こうから出てきた女の子は同い年だろうか。赤毛に犬歯、目はギラギラと光る金色…うわっ、すごい子が出てきた。
てか、何持ってんの?イノシシ?デカくね?片手で持てるのそれ。
「おお、おかえり。紹介しよう、彼女は俺の娘エリアだ。エリアは、俺の弟子でもある。エリア、今日から弟子になる勇者だ」
「どうも、シノノメ・サトルですよろしく」
「ふんっ」
エリアは、そっぽ向いてどこかにいってしまった。え?何それ…僕はなんかした?嫌われてる?
「すまない…エリアは人と関わるのが苦手というか…なんというか」
「いやいや、全然大丈夫です」
「そういえばシノノメ、お前は無属性と聞いたが」
「はい…どうやらそのようですね。」
「落ち込む必要ねえぞ。俺も無属性だからな」
「カイラル様から聞きました。ネオン…さんは無属性だけどべらぼうに強いと」
「ネオンでいい」
無属性って一体どうやって戦うのだろうか?てか戦えるのか?全く想像できない。
「無属性っていっても、魔力自体はあるんだ。まずはその魔力を感じるところからだな」
「魔力を感じる…」
「まあ、言葉では表現しにくい。俺の腹を触れてみろ」
「はい」
ネオンの腹に手を当てる。すると、なんだか温かいようなふわふわと感じる。これが魔力って奴なのか?
「どうだ?」
「なんだか、ふわってしますね。落ち着くようななんだか表現しにくいです」
「お前は今日一日、この魔力を体で感じるようになれ」
「はい」
ということで、僕は3時間ただただ目を瞑って座禅を組んでいた。わかったこととすれば魔力は全身に流れている。血液のように全身に流れている気がする…
『ドコオオオオオオオオオ』
「な、なんだ!?」
平屋の中で座禅を組んでいた僕の耳が張り裂けそうな轟音。慌てて音の方に向かう。
「いった…ネオン、もうちょっと手加減してよ!!」
「んだと…?お前からやろうって言ってきて、なんだそうの言い草は。たく生意気になりやがって」
ネオンとエリアの声が聞こえてくる。何やってんだ?
向かい会う2人、エリアは木剣を構える。木剣には炎が纏ってある。エリアは火属性の魔法か…まったく見た目通りって感じだな。いいな、僕もああゆうの使ってみたいよ…
対するネオンは、拳を構えている。でも何かがおかしい…この感じ魔力を纏っているのか?
「はあ!!」
エリアはネオン突っ込む。木剣を突き出すが避けられてネオンの顔スレスレを通る。エリアは左手に持っている剣とは別に右手で火の玉をネオンに向ける。
「はああ!」
ネオンは至近距離で放たれる火の玉を素手で受け流す。いや、おかしい。今火の玉と腕がぶつかってはなかった。火の玉と腕の間にわずかな隙間があった。
「どうなってるんだ」
ネオンはそのまま、エリアに張り手のように突き出し押し返した。勢いよく吹き飛ぶエリア…
「魔力を飛ばしたのか?」
だとすれば、さっきの火の玉を受け流したのも魔力を纏ってから見えない鎧のようにしたのか?多分そういうことか?
「お、シノノメ!今の見てたのか?」
「はい、短い組み手でしたがすごかったです」
「はは、おっさんでもまだまだ現役だな」
ネオンがべらぼうに強い理由がわかった気がする。というか規格外のつよさを持っていることがわかった。
なんだかんだ言って悪い人ではないことがわかった。カイラル王も世界のために動いているんだ。僕らも頑張らないと…
でも、ほんとにゲスイ王様とかじゃなくてよかった。こういう異世界系はだいたい主人公が王様に騙されるんだよ…
「休息って言っても…」
あたりを見渡すが、この部屋には僕しかいないんだよな…
「時間帯的にもう夜か…」
ご飯はさっき食べた。さすがこの国の最高権力者だ…ご飯がとても美味しかった。米はないけどパンはとても美味しい…
一番驚いたのはお風呂だ。大大浴場だよ…先輩と入ったけど2人には広すぎる。
「もう寝るか」
疲れた…なんだか身体というより精神的に疲れた。
「あれ?」
そういえば忘れていたけど、僕の指治ってる?結構血が出ていたはずだけど…まあいいか。
[水平線]
その頃、玉座にてーーー
「う〜むどうしたもんだ」
カイラル王は頭を抱えていた。勇者サトルのこれからについて。勇者カクトは風魔法を使えるということから、軍団長でもあり実の息子でもあるリアムに任せることにした。
「カイラル様、無属性となれば彼がいるのでは?」
マーシャの言葉にカイラル王が思い出したような顔をする。
「ああ、いるではないか!なぜ忘れていたのだ!私としたことが…」
マーシャのおかげで救われたカイラル王。
「明日の朝、勇者を連れて向かうことを伝えてくれるか」
「はい」
「あいつなら大丈夫だろう。それにどうせ暇だろう…これを機に、忘れかけていた感覚を取り戻してもらわなくては」
一体、カイラル王のいうあいつとは誰なのだろうか。
[水平線]
どうやら僕に訓練をしてくれる人が見つかったらしい。カイラル王によると、昔は冒険者をしていたとか。1人でドラゴンを討伐するような人だと…カイラル王はその人を軍団長として国に入れたのだけど3年前に引退したらしい。
「君と同じ無属性だったはず」
「無属性って僕だけじゃないんだ」
今僕たちはその人に会うため、城から数十キロ離れた山にきた。ちなみにだが、先輩は城の近くにある騎士たちを育てる訓練施設で訓練しているところだ。
ただでさえ遠いのに、山まで登らないといけないのかよ…一体どんなやつがいるんだ。
山を登った先にあったのは、少し大きめの平屋。周りの木を伐採して綺麗に整地してあった。
「ネオン!!いるか!」
カイラル王は平屋に向かって今から訓練をしてくれるであろうその人の名を呼んだ。
「カイラル、そんなデカい声出さなくても聞こえてるよ…」
中から出てきたのは、中年のおっさんだった。剃りきれていない髭に、明らかに寝不足だとわかる目の下にあるくま。くしゃくしゃになった茶色髪。
よく見ると、足は義足であった。僕らの世界でも義足はあるが、機械的なものというより木でできた簡素なもの。
「ネオン、手紙の通り勇者を連れてきた」
「勇者ねえ〜、でその子が?」
僕の目を見て、ニヤリと笑う。なに?え?怖い…すごい寒気を感じた。なんかこれからが不安になってきた…
「では、頼んだぞ」
「え?あの、カイラル様?」
「大丈夫、死にはしないから」
ん?どういうこと?あ、ちょまって!おい!置いてくな!お〜い!
「嘘だろ」
「さてと、俺はカーラル・ネオン。40歳のおっさんだ」
不適な笑みを浮かべるネオンに再び寒気が走る僕。
「ネオン!!みて!今日の獲物だよ!!!」
いきなり山の向こうから出てきた女の子は同い年だろうか。赤毛に犬歯、目はギラギラと光る金色…うわっ、すごい子が出てきた。
てか、何持ってんの?イノシシ?デカくね?片手で持てるのそれ。
「おお、おかえり。紹介しよう、彼女は俺の娘エリアだ。エリアは、俺の弟子でもある。エリア、今日から弟子になる勇者だ」
「どうも、シノノメ・サトルですよろしく」
「ふんっ」
エリアは、そっぽ向いてどこかにいってしまった。え?何それ…僕はなんかした?嫌われてる?
「すまない…エリアは人と関わるのが苦手というか…なんというか」
「いやいや、全然大丈夫です」
「そういえばシノノメ、お前は無属性と聞いたが」
「はい…どうやらそのようですね。」
「落ち込む必要ねえぞ。俺も無属性だからな」
「カイラル様から聞きました。ネオン…さんは無属性だけどべらぼうに強いと」
「ネオンでいい」
無属性って一体どうやって戦うのだろうか?てか戦えるのか?全く想像できない。
「無属性っていっても、魔力自体はあるんだ。まずはその魔力を感じるところからだな」
「魔力を感じる…」
「まあ、言葉では表現しにくい。俺の腹を触れてみろ」
「はい」
ネオンの腹に手を当てる。すると、なんだか温かいようなふわふわと感じる。これが魔力って奴なのか?
「どうだ?」
「なんだか、ふわってしますね。落ち着くようななんだか表現しにくいです」
「お前は今日一日、この魔力を体で感じるようになれ」
「はい」
ということで、僕は3時間ただただ目を瞑って座禅を組んでいた。わかったこととすれば魔力は全身に流れている。血液のように全身に流れている気がする…
『ドコオオオオオオオオオ』
「な、なんだ!?」
平屋の中で座禅を組んでいた僕の耳が張り裂けそうな轟音。慌てて音の方に向かう。
「いった…ネオン、もうちょっと手加減してよ!!」
「んだと…?お前からやろうって言ってきて、なんだそうの言い草は。たく生意気になりやがって」
ネオンとエリアの声が聞こえてくる。何やってんだ?
向かい会う2人、エリアは木剣を構える。木剣には炎が纏ってある。エリアは火属性の魔法か…まったく見た目通りって感じだな。いいな、僕もああゆうの使ってみたいよ…
対するネオンは、拳を構えている。でも何かがおかしい…この感じ魔力を纏っているのか?
「はあ!!」
エリアはネオン突っ込む。木剣を突き出すが避けられてネオンの顔スレスレを通る。エリアは左手に持っている剣とは別に右手で火の玉をネオンに向ける。
「はああ!」
ネオンは至近距離で放たれる火の玉を素手で受け流す。いや、おかしい。今火の玉と腕がぶつかってはなかった。火の玉と腕の間にわずかな隙間があった。
「どうなってるんだ」
ネオンはそのまま、エリアに張り手のように突き出し押し返した。勢いよく吹き飛ぶエリア…
「魔力を飛ばしたのか?」
だとすれば、さっきの火の玉を受け流したのも魔力を纏ってから見えない鎧のようにしたのか?多分そういうことか?
「お、シノノメ!今の見てたのか?」
「はい、短い組み手でしたがすごかったです」
「はは、おっさんでもまだまだ現役だな」
ネオンがべらぼうに強い理由がわかった気がする。というか規格外のつよさを持っていることがわかった。
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