二次創作
似ているようで、似ていない。
数日後。
ぼくは貧民街を一人で歩いていた。
ぼくだってやる時はやる。
盗んでいくとかじゃなくて、ねだったり、とかね。
………いつも失敗するけど。
でも今日は……というか少し前からは違うんだ。
…ぼく[漢字]に[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな](その場にいるのがぼくだけだから)恵んでくれる人が現れたの!
しかも、ぼくより二歳ぐらい上の男の子!
今日はその男の子のところに行くってわけ。
この事は誰にも云ってない。…龍や銀にだって。適当な理由で流してる。
……その男の子に云うな、と口止めされていたし、ぼくにとっても云いたくなかった。
龍や銀から見ればその男の子は赤の他人同然だもの。
「おっ、■■■じゃねェか!」
「[太字]中也君![/太字]」
と、ここで近くに来たのは橙色のくせっ毛が特徴の、[明朝体][太字][太字]中原中也[/太字][/太字]君[/明朝体]。
聞くところによると、彼はこの街のもう一つの貧民街の未成年組織――[太字]<羊>[/太字]の王なのらしい。
(尚、本人の前で『王』などと云うと重力に押し潰される)
…ぼくが捜していた、という男の子はこの男の子でもある。
ちなみに、彼に命令されて、年上だがタメ口で話している。
「久しぶりだなァ、元気にしてたか…って、」
中也君はぼくの様子をまじまじと見ると、
「―――こうしてあったつーことは食いモンかぁ?」
ジト目で云った。
「あはは…それだよ」
「はは、矢っ張りそうか。丁度俺もと思ッてたとこだし、いつもの[漢字]アレ[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]といこうじゃないか」
「うん」
――――中也君とブツブツ交換がはじまった。
中也君がぼくに食料を渡し、ぼくが中也君にぼくのいる街の情報を知っている限り教える。
対価の差がすごい気もするが、<羊>としては喉から手が出るほどの、欲しい他の街の奴らの情報らしい。
自分たちが治めている土地を守るために、なんだそう。
「…ぼくの街は一応薄氷の治安で貧民街の中では一番まともな貧民街として成り立っているままだよ。ただ、隠し方が粗いからいずれ少しでも街を揺るがすような事が起きれば最底辺のどん底まで墜ちるだろうね」
「武装した奴らが来たことは?」
「それは…未だ確認、してない。ごめん」
「否、大丈夫だ。他の奴らのことも大部知れたから、ありがとよ」
「ううん、こちらこそ全然。ぼくの情報は[漢字]食料[/漢字][ふりがな]これ[/ふりがな]と比べ物になんないから。」
「ふっ、そうかよ。少なくとも俺たちはそれで充分役立ってるがな」
「そうなの?それだったら何よりだよ。…あ、伝えてることは本当に誰にも云わないでね。知られちゃったら色々と拙いから…」
「んなもん、云ってねぇよ。寧ろ感謝しきれねぇくらいだ。………そんじゃ、俺は帰ることにするぜ。じゃあな!」
「うん、バイバーイ!」
――――ぼくは二度と中也君から貰った食料を龍と銀に渡すことは無かった。
ぼくは貧民街を一人で歩いていた。
ぼくだってやる時はやる。
盗んでいくとかじゃなくて、ねだったり、とかね。
………いつも失敗するけど。
でも今日は……というか少し前からは違うんだ。
…ぼく[漢字]に[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな](その場にいるのがぼくだけだから)恵んでくれる人が現れたの!
しかも、ぼくより二歳ぐらい上の男の子!
今日はその男の子のところに行くってわけ。
この事は誰にも云ってない。…龍や銀にだって。適当な理由で流してる。
……その男の子に云うな、と口止めされていたし、ぼくにとっても云いたくなかった。
龍や銀から見ればその男の子は赤の他人同然だもの。
「おっ、■■■じゃねェか!」
「[太字]中也君![/太字]」
と、ここで近くに来たのは橙色のくせっ毛が特徴の、[明朝体][太字][太字]中原中也[/太字][/太字]君[/明朝体]。
聞くところによると、彼はこの街のもう一つの貧民街の未成年組織――[太字]<羊>[/太字]の王なのらしい。
(尚、本人の前で『王』などと云うと重力に押し潰される)
…ぼくが捜していた、という男の子はこの男の子でもある。
ちなみに、彼に命令されて、年上だがタメ口で話している。
「久しぶりだなァ、元気にしてたか…って、」
中也君はぼくの様子をまじまじと見ると、
「―――こうしてあったつーことは食いモンかぁ?」
ジト目で云った。
「あはは…それだよ」
「はは、矢っ張りそうか。丁度俺もと思ッてたとこだし、いつもの[漢字]アレ[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]といこうじゃないか」
「うん」
――――中也君とブツブツ交換がはじまった。
中也君がぼくに食料を渡し、ぼくが中也君にぼくのいる街の情報を知っている限り教える。
対価の差がすごい気もするが、<羊>としては喉から手が出るほどの、欲しい他の街の奴らの情報らしい。
自分たちが治めている土地を守るために、なんだそう。
「…ぼくの街は一応薄氷の治安で貧民街の中では一番まともな貧民街として成り立っているままだよ。ただ、隠し方が粗いからいずれ少しでも街を揺るがすような事が起きれば最底辺のどん底まで墜ちるだろうね」
「武装した奴らが来たことは?」
「それは…未だ確認、してない。ごめん」
「否、大丈夫だ。他の奴らのことも大部知れたから、ありがとよ」
「ううん、こちらこそ全然。ぼくの情報は[漢字]食料[/漢字][ふりがな]これ[/ふりがな]と比べ物になんないから。」
「ふっ、そうかよ。少なくとも俺たちはそれで充分役立ってるがな」
「そうなの?それだったら何よりだよ。…あ、伝えてることは本当に誰にも云わないでね。知られちゃったら色々と拙いから…」
「んなもん、云ってねぇよ。寧ろ感謝しきれねぇくらいだ。………そんじゃ、俺は帰ることにするぜ。じゃあな!」
「うん、バイバーイ!」
――――ぼくは二度と中也君から貰った食料を龍と銀に渡すことは無かった。