二次創作
夜の逸話
#1
夜の橋に、笛の音が響きわたる。
「こんなところにボールなんていたのかな」
ルーマニア帝国は、橋の近くに降り立った。
目の前には、白と黒の縞模様のボールがいた。
「....?鎖国していたはずだが」
「笛の音が気になって」
「そうか....」
彼は大木に寄りかかった。
「名は、」
「ルーマニア帝国」
聞かれたので、返した。
「帝国...?」
「自分の国以外の領土を持っている国のこと」
「....国取り合戦が、世界ではおこっているのだな」
「合戦と言うより戦争かな」
「どっちにしろ安寧の世ではないのだな」
彼はため息をついた。
「平和なのですか?」
「今は危機に直面している」
「なら、なぜここで笛を?」
彼は少し考えていった。
「たまには疲れを癒すのも必要だろう」
「ところで、その危機とは?」
「倒幕だ。」
「とー、ばく?」
「幕府を倒すことだ」
『幕府』という言葉は聞きなれなかった。
ここは、少し遅れている気がした。
でも、一寸だけ平和、みたい。
なんだか、『安寧』の意味がわかってきた気がする。
青い光がさした。
真夜中に突入した。
「ところで、其方は、蝙蝠の羽が生えているが、病でも患っているのか?」
「いえ、生まれ(?)つきですよ。だから、夜にしか行動できない。昼は、傘を差さないと」
「ほう。」
彼の目は、遠くを見ているようだった。
空に目をうつした。
星空が綺麗だった。
煙なんて、無縁の空だった。
きっと、昼はもっと綺麗なのだろう。
なんて考えている自分が不思議だった。
それに、翼のことをからかわないでくれた。
なんだか、彼が特別なボールだと感じるようになった。
「また、来るか」
「ここで笛を吹けば、来ますよ。」
「そうか。」
「滅ぼされないようにしてくださいよ。」
「滅ぼされても消えるわけではない」
其のとき、光が指した。
「朝だ」
「ごめんなさい。帰らなきゃ」
「そうか。また会おう」
「待ってください」
「なんだ」
「名前は?」
彼は、少し間を開けていった。
「江戸幕府だ。」
「ありがとうございます。それでは。」
そのまま、去ることにした。
朝日がきれいだった。
----------------------
今日もいつもの笛が聞こえる。
でも、ルーマニア帝国は、現れなかった。
江戸幕府は、初めて寂しさを感じた。
これは、約200年後の今の話であった。
ルーマニア帝国は、植民地がなくなった。
もう、『帝国』と名乗ることはできない。
でも、
でも、
彼の本当の姿は、そこまで変わらなかった。
今でも、二人の話し声が聞こえる。
fin
「こんなところにボールなんていたのかな」
ルーマニア帝国は、橋の近くに降り立った。
目の前には、白と黒の縞模様のボールがいた。
「....?鎖国していたはずだが」
「笛の音が気になって」
「そうか....」
彼は大木に寄りかかった。
「名は、」
「ルーマニア帝国」
聞かれたので、返した。
「帝国...?」
「自分の国以外の領土を持っている国のこと」
「....国取り合戦が、世界ではおこっているのだな」
「合戦と言うより戦争かな」
「どっちにしろ安寧の世ではないのだな」
彼はため息をついた。
「平和なのですか?」
「今は危機に直面している」
「なら、なぜここで笛を?」
彼は少し考えていった。
「たまには疲れを癒すのも必要だろう」
「ところで、その危機とは?」
「倒幕だ。」
「とー、ばく?」
「幕府を倒すことだ」
『幕府』という言葉は聞きなれなかった。
ここは、少し遅れている気がした。
でも、一寸だけ平和、みたい。
なんだか、『安寧』の意味がわかってきた気がする。
青い光がさした。
真夜中に突入した。
「ところで、其方は、蝙蝠の羽が生えているが、病でも患っているのか?」
「いえ、生まれ(?)つきですよ。だから、夜にしか行動できない。昼は、傘を差さないと」
「ほう。」
彼の目は、遠くを見ているようだった。
空に目をうつした。
星空が綺麗だった。
煙なんて、無縁の空だった。
きっと、昼はもっと綺麗なのだろう。
なんて考えている自分が不思議だった。
それに、翼のことをからかわないでくれた。
なんだか、彼が特別なボールだと感じるようになった。
「また、来るか」
「ここで笛を吹けば、来ますよ。」
「そうか。」
「滅ぼされないようにしてくださいよ。」
「滅ぼされても消えるわけではない」
其のとき、光が指した。
「朝だ」
「ごめんなさい。帰らなきゃ」
「そうか。また会おう」
「待ってください」
「なんだ」
「名前は?」
彼は、少し間を開けていった。
「江戸幕府だ。」
「ありがとうございます。それでは。」
そのまま、去ることにした。
朝日がきれいだった。
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今日もいつもの笛が聞こえる。
でも、ルーマニア帝国は、現れなかった。
江戸幕府は、初めて寂しさを感じた。
これは、約200年後の今の話であった。
ルーマニア帝国は、植民地がなくなった。
もう、『帝国』と名乗ることはできない。
でも、
でも、
彼の本当の姿は、そこまで変わらなかった。
今でも、二人の話し声が聞こえる。
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