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用済み英雄と便利屋さん

#8


「はい!?」

一拍置いて思わず大きな声で叫んでしまった。
い、今なんて…??

「じゃっで、わ、私ん彼氏になって欲しゅうて…」
(だから…わ、私の彼氏になって欲しくて…)

聞き間違いかと自分の耳を疑ったが、間違いじゃ無かった。すがるような目で、隣の悠さんを見る。

けれど悠さんは、何処か面白そうな目つきで僕を見ていた。口の端が上がっている。

「えっと、な、何でストーカーひがっ、被害で彼氏になっ、なるんですか?」

気が動転して舌が上手く回らない。

「新しか彼氏が出来たや、元カレも諦むっち思うて。あっ、ほんのこて彼氏にならじだいじょっじゃ!」
(新しい彼氏が出来たら、元カレも諦めると思って。あっ、ホントに彼氏にならなくて大丈夫です!)

その言葉を聞いて、ホッと安心し脱力した。

あくまで彼氏の[太字]ふり[/太字]をすれば大丈夫なのだ。ここは悠さんに任せて貰おう。チラリと横を見る。

あれ……?

悠さんの目がキラキラと光るようにして見ている。

「すまないヒロト君。私は生憎女性の扱いには慣れていなくてね。」

え……?

「いやいやいやいや!?僕なんかのモブよりイケメンの方が彼氏になった方が良いですよ!?」

「いやだなぁ。ヒロト君。イケメンだなんてもしかして私の事かい?」

手を顎に押し当て、決めポーズを決める悠さん。このまま押せばいけるか、と思った淡い思いは次の言葉で一刀両断された。

「でも今回はすまないね。私も他に依頼が入っているんだ。」

「えっ…」
そんなの聞いていない、と言う前に終わったらまた事務所に戻ってきてね。と言われ、出て行ってしまった。

どうしよう。僕は思わず頭を抱える。今まで魔王を倒す事だけに集中していた僕は、女性に免疫すら無いのだ。

残されたのは僕とリリィさん2人。リリィさんは心配そうに僕の方を見ている。

このままじゃ彼女を傷つけてしまう。女性への免疫がない僕でも分かる。何か、何か言わなくちゃ。

「良かったらしょっ…商店街とか行きませんか!?」

デートと言われ、連想されるのはショッピングモールや映画館。が、異世界の世界にそんなモノがあるわけでも無いため、必死に考えた結果、町の中央にある商店街だった。

「い、良かと!?」
(い、良いんですか!?)

途端ぱあっと顔色が明るくなる。にこやかな笑顔を見て僕は安心した。とりあえず、悠さんには帰ってきた瞬間文句の一つや二つを言ってやろう。

ぎゅ、と拳を握り締めた後、彼女を連れて外に出た。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

イケメンは全員女性の扱いが上手いという偏見を持っている作者なつめですが、実際はどうなんでしょうかね。そんな考えから生まれた初めての依頼の物語です。ここまで読んで下さってありがとうございます!

2024/12/03 23:06

なつめ ID:≫9tvY7vP3G1jVg
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