用済み英雄と便利屋さん
今から聞くことは、重すぎる話かもしれない。
もしかしたら自分の手では負えないほどの大きくて、暗くいモノかも知れない。
今さっきまでおちゃらけていた人がこんなに変わるんだ。きっと相当なモノに違いない。怖い。
でも……。でもあの時自害しようかと考えていた僕を助けてくれたマージさんを、この人を。今度は僕が助けたい。いや、助けるんだ。
「約束します!」
未だに声は少し震えていた。怖い、と言う感情を押さえ込み、マージさんの目を見つめる。
「そうか。分かった」
フッと微笑むと、マージさんは語り始めた。
「この話をするのはもう少し先だと思っていたんだがね。単刀直入に言おう、私も君と同じ転生者なんだ。」
は?
この人が言っている意味が分からなかった。勇者として転生されたのは、僕だけじゃ無かったのか?
「大体この見た目で察しがつくと思うがね。地球という惑星の日本……まぁ言わなくても分かるか。」
僕と同じ[大文字]黒目黒髪[/大文字]……黒?日本人特有の…異世界では珍しい……髪色。
はっとした。何で今まで気付かなかったんだろう。
見上げると、マージさんは困ったような、笑うようなよく分からないくしゃっとした表情をして立っていた。
それから数十分ほど、マージさんはぽつ、ぽつと語った。
彼の本当の名前は五十嵐悠(いがらしゆう)
僕と同じように王様によって転生された。
転生する前は公務員で、安定した収入を貰って生活していたとか。
24歳の頃に異世界転生。丁度飲み会の帰りだったらしい。転生されて見た光景は、僕と同じように、王様とお妃様が座っていた。
「貴様には魔王を倒して貰う」
「何これ、なんかの映画のセット?凝ってるねぇ」
その日は少し飲み過ぎたらしく、転生されたと言う出来事は全て[太字]夢[/太字]だと思っていたらしい。また、飲み過ぎによる特有の気持ち悪さでイライラしてたとか。
「無礼な、王様の御膳であるぞ!」
衛兵の怒鳴り声が響いた瞬間、悠は
「そんなに怒鳴んないでよ。君は私の部長かい?」
と、衛兵を羽交い締めにして黙らせたとか。
いやいやいや、なんで羽交い締めにしてんの?普通謝るところじゃない?てか衛兵を黙らすって何?
と、言う質問をしようとした前に口を開かれた。
「お前っ…!ふざけるのも大概にしろ!」
隣にいたもう一人の衛兵が取り押さえようとしたとき
[大文字]「静粛に!!!!」[/大文字]
王様の大声が王室に響いた。
衛兵は肩をびくりと震わすが、悠はケロリとしているだけでなく酔った勢いでもう1人の衛兵に関節技をキメたらしい。
いやだからなんでだよ。
と王様の静止を振り切って散々暴れた結果
「貴様はもういい、何処にでも行け!二度と私の城の敷地に踏み込むな!!」
乱暴にお金を渡され、追い出されたとか。
その際衛兵に
「その金をやる代わりに今日起きたこと、王様が貴様を召喚した事を口外するな。名誉に関わる。」
と、言われたらしい。また、
「貴様のような転生したやつの名前は珍しい。ただでさえその髪色でも目立つんだ。ジョンでもボブでもダニエルでも適当に仮名つけとけよ。」
と言われたとか。
酔った勢いで衛兵を羽交い締め、口止め料に貰ったお金は内装に殆ど使った。
僕も転生された時の気持ちは辛くてよく分かる。分かるけど。けども……
やっぱこの人馬鹿だ。大翔はそう思った。
「変に身構えて損した……」
「私は幽霊とか信じないタイプだから!!この世界のことも夢だって思ったんだって!!」
むにむにと僕の頬を突っつきながら弁解するマージ……もとい悠さん。今さっきと同じようにバトりそうな予感がした、そんな時だった。ばん、と扉が開いたかと思うと大声で
「ここが金払えば依頼受けてくるっ便利屋か!?急いで依頼しよごたっじゃ!!」
もしかしたら自分の手では負えないほどの大きくて、暗くいモノかも知れない。
今さっきまでおちゃらけていた人がこんなに変わるんだ。きっと相当なモノに違いない。怖い。
でも……。でもあの時自害しようかと考えていた僕を助けてくれたマージさんを、この人を。今度は僕が助けたい。いや、助けるんだ。
「約束します!」
未だに声は少し震えていた。怖い、と言う感情を押さえ込み、マージさんの目を見つめる。
「そうか。分かった」
フッと微笑むと、マージさんは語り始めた。
「この話をするのはもう少し先だと思っていたんだがね。単刀直入に言おう、私も君と同じ転生者なんだ。」
は?
この人が言っている意味が分からなかった。勇者として転生されたのは、僕だけじゃ無かったのか?
「大体この見た目で察しがつくと思うがね。地球という惑星の日本……まぁ言わなくても分かるか。」
僕と同じ[大文字]黒目黒髪[/大文字]……黒?日本人特有の…異世界では珍しい……髪色。
はっとした。何で今まで気付かなかったんだろう。
見上げると、マージさんは困ったような、笑うようなよく分からないくしゃっとした表情をして立っていた。
それから数十分ほど、マージさんはぽつ、ぽつと語った。
彼の本当の名前は五十嵐悠(いがらしゆう)
僕と同じように王様によって転生された。
転生する前は公務員で、安定した収入を貰って生活していたとか。
24歳の頃に異世界転生。丁度飲み会の帰りだったらしい。転生されて見た光景は、僕と同じように、王様とお妃様が座っていた。
「貴様には魔王を倒して貰う」
「何これ、なんかの映画のセット?凝ってるねぇ」
その日は少し飲み過ぎたらしく、転生されたと言う出来事は全て[太字]夢[/太字]だと思っていたらしい。また、飲み過ぎによる特有の気持ち悪さでイライラしてたとか。
「無礼な、王様の御膳であるぞ!」
衛兵の怒鳴り声が響いた瞬間、悠は
「そんなに怒鳴んないでよ。君は私の部長かい?」
と、衛兵を羽交い締めにして黙らせたとか。
いやいやいや、なんで羽交い締めにしてんの?普通謝るところじゃない?てか衛兵を黙らすって何?
と、言う質問をしようとした前に口を開かれた。
「お前っ…!ふざけるのも大概にしろ!」
隣にいたもう一人の衛兵が取り押さえようとしたとき
[大文字]「静粛に!!!!」[/大文字]
王様の大声が王室に響いた。
衛兵は肩をびくりと震わすが、悠はケロリとしているだけでなく酔った勢いでもう1人の衛兵に関節技をキメたらしい。
いやだからなんでだよ。
と王様の静止を振り切って散々暴れた結果
「貴様はもういい、何処にでも行け!二度と私の城の敷地に踏み込むな!!」
乱暴にお金を渡され、追い出されたとか。
その際衛兵に
「その金をやる代わりに今日起きたこと、王様が貴様を召喚した事を口外するな。名誉に関わる。」
と、言われたらしい。また、
「貴様のような転生したやつの名前は珍しい。ただでさえその髪色でも目立つんだ。ジョンでもボブでもダニエルでも適当に仮名つけとけよ。」
と言われたとか。
酔った勢いで衛兵を羽交い締め、口止め料に貰ったお金は内装に殆ど使った。
僕も転生された時の気持ちは辛くてよく分かる。分かるけど。けども……
やっぱこの人馬鹿だ。大翔はそう思った。
「変に身構えて損した……」
「私は幽霊とか信じないタイプだから!!この世界のことも夢だって思ったんだって!!」
むにむにと僕の頬を突っつきながら弁解するマージ……もとい悠さん。今さっきと同じようにバトりそうな予感がした、そんな時だった。ばん、と扉が開いたかと思うと大声で
「ここが金払えば依頼受けてくるっ便利屋か!?急いで依頼しよごたっじゃ!!」
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