用済み英雄と便利屋さん
言い合いを初めて数分後…‥‥‥
一段落ついた二人はソファに寝転がるようにして突っ伏していた。
「…そういえば、自己紹介がまだでしたね。僕は相羽大翔って言います」
「相羽大翔?」
ヒロト、ヒロトと男性は名前の響きを確かめるように口の中で何度か名前を呟くと
「うん、良い名前だね。」
にこりと微笑んだ。
「私の名前は……マージ……うん、そう呼んでくれ。」
引っかかりながらも自己紹介をした男性…マージさん。その様子に僕は少し違和感を抱いた。
「あ、えっとマージさん?それって本当の名前なんですか?」
しまった、と僕は慌てて口をつぐむ。やたらと面倒事に首を突っ込んでしまうのは僕の悪い癖だ。それは前の職業柄、そういう癖がついてしまったとも言えるのだが。
「すいませんっ!僕変なこと聞いちゃって」
慌てて謝罪の言葉を口にする
「君は変なところで鋭いね。」
ポツリと呟いた彼の言葉はいつものおちゃらけた雰囲気とは打って変わって真面目で、冷たい物だった。
「えっ?」
間の抜けた声があたりに響く
「こっちは私が[下線]異世界[/下線]用で使っている名前だ。」
異世界用?え、どういう事?
マージさんの言っている意味が分からず、頭に「?」が沢山浮かぶ。
「おっとすまない喋りすぎた。ヒロト君、この話はもう終わr「教えて下さい。マージさん」
声が震える。聞いてしまった。自分で話を振っといて。もう戻れない。断ったら、うん。マージさんが断ったらこの話はもう終わりにしよう。それで何事もなかったように普通に接するんだ。
ぎゅ、と拳を握り、彼をしっかりと見つめる。
放っておけなかったのだ。「マージ」と言う言葉を言った瞬間、その前その後の数秒の沈黙。整った眉の間にシワが寄ったのだ。まるで酷い悪夢を思い出すような、そんな苦しい顔を僕は見逃せなかったのだ。手のひらに爪先が食い込み、白くなっている。ぎゅ、と口を真一門に結び、彼の口が開かれるのを待った。
「少年、いやヒロト君。誰にも口外しないという約束を守ってくれるなら話そうか。」
そう言ったマージさんの顔はまだ言おうかどうか迷っている、という表情をしていた。
一段落ついた二人はソファに寝転がるようにして突っ伏していた。
「…そういえば、自己紹介がまだでしたね。僕は相羽大翔って言います」
「相羽大翔?」
ヒロト、ヒロトと男性は名前の響きを確かめるように口の中で何度か名前を呟くと
「うん、良い名前だね。」
にこりと微笑んだ。
「私の名前は……マージ……うん、そう呼んでくれ。」
引っかかりながらも自己紹介をした男性…マージさん。その様子に僕は少し違和感を抱いた。
「あ、えっとマージさん?それって本当の名前なんですか?」
しまった、と僕は慌てて口をつぐむ。やたらと面倒事に首を突っ込んでしまうのは僕の悪い癖だ。それは前の職業柄、そういう癖がついてしまったとも言えるのだが。
「すいませんっ!僕変なこと聞いちゃって」
慌てて謝罪の言葉を口にする
「君は変なところで鋭いね。」
ポツリと呟いた彼の言葉はいつものおちゃらけた雰囲気とは打って変わって真面目で、冷たい物だった。
「えっ?」
間の抜けた声があたりに響く
「こっちは私が[下線]異世界[/下線]用で使っている名前だ。」
異世界用?え、どういう事?
マージさんの言っている意味が分からず、頭に「?」が沢山浮かぶ。
「おっとすまない喋りすぎた。ヒロト君、この話はもう終わr「教えて下さい。マージさん」
声が震える。聞いてしまった。自分で話を振っといて。もう戻れない。断ったら、うん。マージさんが断ったらこの話はもう終わりにしよう。それで何事もなかったように普通に接するんだ。
ぎゅ、と拳を握り、彼をしっかりと見つめる。
放っておけなかったのだ。「マージ」と言う言葉を言った瞬間、その前その後の数秒の沈黙。整った眉の間にシワが寄ったのだ。まるで酷い悪夢を思い出すような、そんな苦しい顔を僕は見逃せなかったのだ。手のひらに爪先が食い込み、白くなっている。ぎゅ、と口を真一門に結び、彼の口が開かれるのを待った。
「少年、いやヒロト君。誰にも口外しないという約束を守ってくれるなら話そうか。」
そう言ったマージさんの顔はまだ言おうかどうか迷っている、という表情をしていた。
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