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用済み英雄と便利屋さん

#4


これから行く場所はその人曰く、

「便利屋の事務所」だそうだ。

だが実際に来てみれば事務所、と言うには古すぎる……と言うか汚すぎる外装をした建物だった。

壁に塗られた薄茶色のペンキは所々剥げており、剥げた場所にはあちこちに落書きがあった。

「は……?これが事務所?」

自分の理想とはあまりにもかけ離れている外装に驚きと不安が隠せずにいた。

「そうだよ~。もともと建てられてた小さい廃病院を破格のお値段で買い取って改装したモノだからね。」

不安がっている僕とは反対に、楽しそうに話している男の人を見て絶句した。

僕はこのままこの人と一緒に仕事して大丈夫なのか?マズくないか?不安がどんどん募っていく。

そんな様子の僕を察したのか、男の人はこう言った。

「まぁまぁ、外観はちょーっと古いけど中は綺麗だからさ。」

いやちょっとどころじゃねーよ!!!
と言いかけた大翔をぐいぐいと押し込んでくる

「あっ、ちょっ!押さないで下さっ…!!」

ぐいぐいと押し込まれ、ばん、と突然勢い良く開いたドアに反応が遅れ、そのまま重力の法則に従いながら床にダイブする。

いてて…、と呟きながら腰を上げようとするも中々上がらず「?」が頭の上を飛ぶ。見ると押し込んだ張本人も一緒に、上に覆いかぶさるようにして倒れていた。

「ちょっ、何でアンタも一緒に倒れてるんすか!?」

「すまない少年、こんなつもりじゃ無かったんだけどな」

よいしょと男性と一緒に腰を上げる。

思わず「貴方」を「アンタ」と言ってしまったのはもうこの際気にしない。

改めて中を見ると、あの外観とは桁違いの、小洒落た内装だった。目の前には大きなデスクにソファ、フローリングの床。

うわ、なんか凄い良いな。

壁には高そうな陶器も飾られており、豪奢だが趣味の悪さを感じさせない、絶妙な配置だった。

後ろを振り返ると、何故か誇らしそうにえへんと胸を張る男の人。

「いや、なんか凄いですね。これ全部貴方が?」

「もちろんさっ!」

「や、凄く綺麗ですね。」

「ふっふん、そうだろう?少年もそう思うだろう?」

隠すこと無くドヤァ、とドヤ顔を決める男の人。
そんな彼の様子に一つの疑問が湧く。

「中こんなに綺麗なのに何で外があんなに汚いんですか?」

その質問をした途端、その男性の表情がドヤ顔のまま固まる。……途端男性の顔が青くなり始めた。

「いやぁ……内装にお金かけ過ぎて外周り気にする暇なくて。」

先程の様子とは違って小さな声でボソボソと喋る男性。

「馬鹿なの!?ねぇアンタ馬鹿なの!?」

「男の子は外面より内面が良い方がモテるって言うでしょぉーがっ!」
それと同じだよ少年!と、訳の分からない理屈をこじつける男性。

そのまま数十分ほどやいのやいの、と言い合う2人であった。

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2024/11/28 22:30

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