用済み英雄と異世界便利屋さん
『異世界転生』
この言葉を聞いたら誰でも、特に黒歴史製造期の中学2年生が聞いたら必ずと言っていいほど興奮するであろう憧れの展開。
皆、1度はこの展開を妄想したり、俺が作った最強のキャラなどをノートの端っこにつづったりしなかっただろうか。
否、自分もそう言う類の人間だったわけで。
[水平線]
相羽大翔(あいばひろと)。中学3年生の頃、自室でネトゲをしてた最中に異世界転生された。
転生されて初めて見た光景は、髭をたっぷりと蓄えた王様らしき人物と、その王に寄り添うように座っているお妃様のような人が僕を見下ろしている状態だった。
「良かった、成功したぞ!」
「このお方が勇者様……?」
「流石王様だ」
周りにいる傭兵の喜ぶ声が聞こえる中、僕1人はその状況が飲み込めずにわたわたと焦っていた。
「お主には魔王を倒してもらう」
静かに口を開いて王様が僕に放った言葉。
これが物事の全ての始まりだった―――。
お約束の設定。お約束の言葉。お約束のキャラ達。
全てが異世界モノの王道展開だった。
でも僕は、剣を一生懸命に振った。
うじゃうじゃと出てくる魔物をなぎ倒し、魔王軍に支配されていた村を救い、王様に言われた使命を全うした。勇者として、1国の希望の光として。
そして魔王城での1戦のとき―――
つば競り合いの最中、魔王が作ったほんの僅かの隙を見逃さず、剣で胸元を1突き。
この世の者とは思えないほどの叫び声を残して魔王は塵と化した。
僕は、僕は遂に魔王をやっつけたんだ。
僕は世界を救ったんだ。
[水平線]
魔王を倒したという報告をすると、国民や王様は声を上げて喜んだ。
王様はその日を「英雄の日」と定め、盛大なパーティーをして魔王討伐を祝った。
そんな日から数年後――
勇者は、役立たずと成り果てた。
魔王軍が壊滅し、魔物すら現れなくなった今、勇者
はもはや用済みとなってしまったのだ。
転職をしようかと何回も悩んだが、今まで剣しか振るって来なかった大翔は他のことは何も出来なかった。
国民の態度も180度変わってしまった。
「あ、びんぼーゆうしゃさんだ」
「っ、え?」
まだ10歳にも満たしていない男の子が僕に向けて放った言葉。
「あのね、おかーさんが…」
その言葉を遮るかのようにその子の母親の手が男の子の口を塞いだ。
「……ごめんなさいね」
そう一言言い残し、そそくさと離れていく親子。
その様子を見て、僕は1人悟った。
そっか。もう用済みなんだ。国民にも、王様にも誰からにも必要とされてないんだ。
魔王を倒して平和になったこの国に勇者という役割は必要ない。
こんなことなら、魔王を倒すんじゃ無かった。
勝手に召喚されて自尊心を傷つけられ、煙たがられて。こんな有り様酷くないか。
「――って、馬鹿か。魔王生きてたら今頃町は……いやでも…」
自分の中で正義と欲望が渦を巻いて肥大化する。
「……行き遅れの勇者、用済みの英雄か。」
つ、とひとしずくの水が頬を伝う。
1度流れた水は止めどなく流れ続け、相羽の頬を何度も濡らした。
もう終わりにしようかな、何もかも。ぽろぽろと涙をこぼしながら自害しようかと考えていたそんな時。
ふと、頭の上から声がした。
「退屈かい?少年。」
この言葉を聞いたら誰でも、特に黒歴史製造期の中学2年生が聞いたら必ずと言っていいほど興奮するであろう憧れの展開。
皆、1度はこの展開を妄想したり、俺が作った最強のキャラなどをノートの端っこにつづったりしなかっただろうか。
否、自分もそう言う類の人間だったわけで。
[水平線]
相羽大翔(あいばひろと)。中学3年生の頃、自室でネトゲをしてた最中に異世界転生された。
転生されて初めて見た光景は、髭をたっぷりと蓄えた王様らしき人物と、その王に寄り添うように座っているお妃様のような人が僕を見下ろしている状態だった。
「良かった、成功したぞ!」
「このお方が勇者様……?」
「流石王様だ」
周りにいる傭兵の喜ぶ声が聞こえる中、僕1人はその状況が飲み込めずにわたわたと焦っていた。
「お主には魔王を倒してもらう」
静かに口を開いて王様が僕に放った言葉。
これが物事の全ての始まりだった―――。
お約束の設定。お約束の言葉。お約束のキャラ達。
全てが異世界モノの王道展開だった。
でも僕は、剣を一生懸命に振った。
うじゃうじゃと出てくる魔物をなぎ倒し、魔王軍に支配されていた村を救い、王様に言われた使命を全うした。勇者として、1国の希望の光として。
そして魔王城での1戦のとき―――
つば競り合いの最中、魔王が作ったほんの僅かの隙を見逃さず、剣で胸元を1突き。
この世の者とは思えないほどの叫び声を残して魔王は塵と化した。
僕は、僕は遂に魔王をやっつけたんだ。
僕は世界を救ったんだ。
[水平線]
魔王を倒したという報告をすると、国民や王様は声を上げて喜んだ。
王様はその日を「英雄の日」と定め、盛大なパーティーをして魔王討伐を祝った。
そんな日から数年後――
勇者は、役立たずと成り果てた。
魔王軍が壊滅し、魔物すら現れなくなった今、勇者
はもはや用済みとなってしまったのだ。
転職をしようかと何回も悩んだが、今まで剣しか振るって来なかった大翔は他のことは何も出来なかった。
国民の態度も180度変わってしまった。
「あ、びんぼーゆうしゃさんだ」
「っ、え?」
まだ10歳にも満たしていない男の子が僕に向けて放った言葉。
「あのね、おかーさんが…」
その言葉を遮るかのようにその子の母親の手が男の子の口を塞いだ。
「……ごめんなさいね」
そう一言言い残し、そそくさと離れていく親子。
その様子を見て、僕は1人悟った。
そっか。もう用済みなんだ。国民にも、王様にも誰からにも必要とされてないんだ。
魔王を倒して平和になったこの国に勇者という役割は必要ない。
こんなことなら、魔王を倒すんじゃ無かった。
勝手に召喚されて自尊心を傷つけられ、煙たがられて。こんな有り様酷くないか。
「――って、馬鹿か。魔王生きてたら今頃町は……いやでも…」
自分の中で正義と欲望が渦を巻いて肥大化する。
「……行き遅れの勇者、用済みの英雄か。」
つ、とひとしずくの水が頬を伝う。
1度流れた水は止めどなく流れ続け、相羽の頬を何度も濡らした。
もう終わりにしようかな、何もかも。ぽろぽろと涙をこぼしながら自害しようかと考えていたそんな時。
ふと、頭の上から声がした。
「退屈かい?少年。」