- 閲覧前にご確認ください -

今作は第1部「能力者たちの詩編歌」、第2部「希望に満てる知識欲」
の続編です。
まだそれらを見ていない人は、先にそちらをご覧いただけると話がわかりやすいと思います。
第1部→https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=1969&no=1
第2部→https://novelcake.net/works/lite/?mode=view&log=2089&no=1

⚠6話に薬表現があります。苦手な方は逃げてね((

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誠と偽りの狂情曲【コメントください】

#12

本当の”救いと幸せ”

アルト「…お!」

黄夏「あ、アルトさんたち!」

ソプラノ「合流できたな、ラッキーだ」

レイル「…そう、ですね」

神威「…レイルさん、顔色が悪いですよ?」
レイル「あ…なんでもないの、大丈夫よ」

アカツキ「…」

[水平線]

しばらく歩いていると、一際壮観な造りの扉が現れた。
ソプラノ「ここ…重要そうだね」
シエル「あたしたちだけで開くかなぁ」
黄夏「みんなで押してみましょっか」

神威「せーーの!!」

ゴゴゴゴゴ…

アルト「っ!!!」
ソプラノ「意外にすぐ開いたな」
黄夏「…ん?あの人…」

紫色に妖しく光る提灯。
フリルのカーテンが飾る窓の外は夕暮れ。
そんな大広間に、
夕暮れをただ見つめている女性の姿があった。

「…来たのね」

女性はゆっくり振り返える。…綺麗な顔立ち、しかし下半身は…
[太字]恐ろしい大蛇だ。[/太字]

「私は、[太字]ジリス・ディーテ・サクヤヒメ[/太字]。
…この楽園に、救いを与える者です。」

シエル「ジ、ジリス…?」
ディーテ「ディーテ、とお呼びくださいな。」
アルト「…っ、ディーテ…って…」

ディーテ。忘れもしないこの名前。

…[太字]天音家が信仰する、女神だ。[/太字]

…もし、こいつがいなかったら…

天音家はもっと普通の名家で。

…オレはあんな目に逢わなかったんだ。

ディーテ「可哀想な、住む場所を無くし行き場のない子供たち。」

ディーテ「…もしこの子たちの思想を変えて、人間に存在する情けない己を消し去ることができたら」

ディーテ「きっと救われ、苦しいことも悲しいことも忘れられる。」

ディーテ「ここは、[太字]生き場を無くした子供たちが、その悲しみを忘れ救われる楽園[/太字]であるべきなのです。」

母さんが、私たちの信仰するディーテ教は、
美しさと秀麗さ、救いの女神を敬い、強く穢れた存在である男ではなく、
儚く美しい女性を中心に生き、美しい世界と
命の源となる女性を生み出した神に感謝する宗教…とか言ってたな。

…バカバカしい。

黄夏視点

ディーテ「あなたたちも、[太字]映しの絵画[/太字]をご覧になられたでしょう?」
ソプラノ「映しの絵画、…まさかさっきの道にあった…」
ディーテ「…認めたくない、醜い自分の現実を叩きつけられて、心が辛いでしょう?」

神威「…まさか…」

ディーテ「私のところへいらっしゃい。…辛いココロを忘れ、幸せになりましょう。」

ソプラノ「……「認めたくない自分」を絵画で見せ、ココロを壊したところに付け入る…そういうことか」
ディーテ「まぁ、人聞きが悪い。…私はただ、人間たちを救いたいだけ。」

レイル「……」

レイル「…本当に、あの私を忘れられるの…?」
シエル「!?お姉ちゃん!?」

レイルせんぱい…?

レイル「もう、苦しくないの?」

レイル「辛くないの?」

レイル「私も…[太字]シエルみたいな、ありのままの完成形になれるの?[/太字]」

シエル「お姉ちゃん、どうしたの…!!」

ディーテ「ふふ、正直な子は大好き。おまけに綺麗な女の子ね。…さぁ、こちらに」

レイル「…」

先輩が虚ろな、救いを求める目で歩き出す。

誰にも止められない…

と思ったときだった。

アルト「…[大文字]違う!!![/大文字]」

ディーテ「?!」
ソプラノ「アルト…?」

アルト「[大文字]過去の醜い自分を忘れて、綺麗なだけで生きるなんて…[/大文字]」

アルト「[大文字]そんなのちっとも救われちゃいない!![/大文字]」

アルトさん…。

ディーテ「!!…でも、忘れられるのよ!なかったことになるの!
過去の苦しみも、醜い汚い己も…!」

アルト「…[大文字]過去の苦しみも!醜い汚い自分も!!![/大文字]」

アルト「[大文字][太字]全部受け止めて、向き合った先に…本当の幸せがあるんだよ!![/太字][/大文字]」

ディーテ「……」

アルト「オレだってそうだ!」

アルト「過去を忘れたら、マカロンとの思い出まで忘れちまう!」

アルト「最期にマカロンに応援された、あの日までなかったことになる!!」

アルト「そんなのは嫌だ!!」

ディーテ「……[太字]物わかりの悪い人間だこと。[/太字]」

ディーテ「アカツキ・メトロサンダー。」
シエル「!?」
アカツキ、って…

ディーテ「暴いてしまいなさい、こやつのすべてを。」

アカツキ「…了解。」

作者メッセージ

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2024/12/11 23:38

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