ウォースパイト分遣隊[祝、閲覧1200達成!]
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サンダーランド島 領主館
外出を終えた翌日、メリダ島から通信が届いた。
(メリダ島近海の敵艦隊撤退、帰還可能と判断する)
とのことだ、そのため、鷹達上陸組は荷物を纏めている。
「明日の早朝に出発だっけ?」
鷹は隼也に尋ねる。
「そうだね、荷物を纏めたら暇になるね...」
「...」
鷹は片付けられた客室を見る。
この島に来て、いろんなことが有った。
クララを助けて、往人さんやラスティ、いろんな人と知り合った。
そんな島を離れたくなかったのかもしれない。
でも鷹達は兵士だ、上からの命令に逆らってはならない。
(いっそのこと、除隊するか...)
除隊して島に残りたいと真剣に考えるが、そんなことをしたら、みんなに迷惑がかかってしまう。
「鷹、皆の所に行ってきて。」
「え...?」
「午後は自由だし、さよならを言わないと。」
多分、気を使ってくれているのだろう。
(確かに、なにも言わずに居なくなるのは良くない...)
「うん、行ってくる。」
鷹は一番先に、クルツの執務室に向かって歩き出した。
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サンダーランド島 領主館 執務室
執務室に入ると、クルツとクララが居た。
クララは泣いていたのか、クルツに慰められている。
クララがこちらに気づいて、喋り出した。
「鷹さん、帰るって本当ですか...?」
クララとしては帰って欲しくないのだろう。
「...ごめん、上からの命令なんだ。」
「そんな...」
(ごめんなさい...)
鷹は心のなかで謝る。
だが、このままではクララが可哀想だ。
「そうだ、午後は往人さん達に会いに行くから、一緒に来る?」
「...行きます、一秒でも長く、一緒に居られるなら。」
「分かった、クルツ、良いよね?」
一応、保護者のクルツに確認する。
「ああ、頼む。」
「分かった、護衛は任せて。」
クララの手を引いて、二番目にラスティの古本屋に向かった。
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サンダーランド島 表通り 古本屋
クララと古本屋の前までやって来た、店は開いているので、店内に入る。
「いらっしゃい...なんだ、クララ達じゃあないか。」
「...」
「...?」
黙るクララに、ラスティは困っている。
「その...島を離れることになったんだ。」
「そうなのか?」
「うん...」
「ちょっと待っててくれ。」
ラスティは店の倉庫に入っていって、一冊の本を渡してきた。
本の表紙を見てみる。
[公国軍生物大百科]
「特殊なルートで一冊入荷したんだけど...あげるよ。」
「いいの? 価値は高そうだけど。」
「いいんだ、生物の識別に役に立つだろ?」
「ありがとう、大切にする。」
鷹はラスティに感謝して、店を後にした。
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サンダーランド島 ラーメン屋前
ドレッドノートの前で往人さんは敷地の掃除をしていた。
「鷹さん達か、こんにちは。」
「どうも、面接大丈夫だったの?」
「あぁ、主に掃除を手伝ってる。」
「なるほど...今回は、さよならを言いに来たんだ。」
「そうか、いつ出るんだ?」
「明日の早朝だね。」
「そうか、港で見送るよ。」
「かなり早いよ?」
「これでも早起きは得意なんだ、大丈夫だよ。」
「うん、ありがとう。」
「...じゃあな。」
鷹とクララはラーメン屋を離れて、領主館に戻った。
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翌日、サンダーランド島 桟橋
翌日の早朝、鷹達は桟橋に集まっていた。
「来たぞ、内火艇だ。」
まいかぜの内火艇が桟橋に到着する。
鷹達は桟橋をはなれて、まいかぜに到着した。
「出航用意! 錨を上げッ」
艦首の錨が海中から引き揚げられる。
既にボイラーは温まっていて、すぐに出航できる。
「機関始動、前進微速、取り舵一杯。」
「了解、前進微速、取り舵一杯。」
船が動き出す。
まいかぜが先行して、その後方を損傷したあまつかぜが続く。
「前進強速、舵中央。」
「航海長操艦、前進強速、赤黒なし、舵中央」
「了解しました。」
まいかぜとあまつかぜはサンダーランド島を離れて、メリダ島へ向かう。
水平線から顔を出す太陽の中、二隻は島を離れる。
鷹達は、三日後にメリダ島に帰還したのだった。 第二十話終わり
サンダーランド島 領主館
外出を終えた翌日、メリダ島から通信が届いた。
(メリダ島近海の敵艦隊撤退、帰還可能と判断する)
とのことだ、そのため、鷹達上陸組は荷物を纏めている。
「明日の早朝に出発だっけ?」
鷹は隼也に尋ねる。
「そうだね、荷物を纏めたら暇になるね...」
「...」
鷹は片付けられた客室を見る。
この島に来て、いろんなことが有った。
クララを助けて、往人さんやラスティ、いろんな人と知り合った。
そんな島を離れたくなかったのかもしれない。
でも鷹達は兵士だ、上からの命令に逆らってはならない。
(いっそのこと、除隊するか...)
除隊して島に残りたいと真剣に考えるが、そんなことをしたら、みんなに迷惑がかかってしまう。
「鷹、皆の所に行ってきて。」
「え...?」
「午後は自由だし、さよならを言わないと。」
多分、気を使ってくれているのだろう。
(確かに、なにも言わずに居なくなるのは良くない...)
「うん、行ってくる。」
鷹は一番先に、クルツの執務室に向かって歩き出した。
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サンダーランド島 領主館 執務室
執務室に入ると、クルツとクララが居た。
クララは泣いていたのか、クルツに慰められている。
クララがこちらに気づいて、喋り出した。
「鷹さん、帰るって本当ですか...?」
クララとしては帰って欲しくないのだろう。
「...ごめん、上からの命令なんだ。」
「そんな...」
(ごめんなさい...)
鷹は心のなかで謝る。
だが、このままではクララが可哀想だ。
「そうだ、午後は往人さん達に会いに行くから、一緒に来る?」
「...行きます、一秒でも長く、一緒に居られるなら。」
「分かった、クルツ、良いよね?」
一応、保護者のクルツに確認する。
「ああ、頼む。」
「分かった、護衛は任せて。」
クララの手を引いて、二番目にラスティの古本屋に向かった。
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サンダーランド島 表通り 古本屋
クララと古本屋の前までやって来た、店は開いているので、店内に入る。
「いらっしゃい...なんだ、クララ達じゃあないか。」
「...」
「...?」
黙るクララに、ラスティは困っている。
「その...島を離れることになったんだ。」
「そうなのか?」
「うん...」
「ちょっと待っててくれ。」
ラスティは店の倉庫に入っていって、一冊の本を渡してきた。
本の表紙を見てみる。
[公国軍生物大百科]
「特殊なルートで一冊入荷したんだけど...あげるよ。」
「いいの? 価値は高そうだけど。」
「いいんだ、生物の識別に役に立つだろ?」
「ありがとう、大切にする。」
鷹はラスティに感謝して、店を後にした。
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サンダーランド島 ラーメン屋前
ドレッドノートの前で往人さんは敷地の掃除をしていた。
「鷹さん達か、こんにちは。」
「どうも、面接大丈夫だったの?」
「あぁ、主に掃除を手伝ってる。」
「なるほど...今回は、さよならを言いに来たんだ。」
「そうか、いつ出るんだ?」
「明日の早朝だね。」
「そうか、港で見送るよ。」
「かなり早いよ?」
「これでも早起きは得意なんだ、大丈夫だよ。」
「うん、ありがとう。」
「...じゃあな。」
鷹とクララはラーメン屋を離れて、領主館に戻った。
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翌日、サンダーランド島 桟橋
翌日の早朝、鷹達は桟橋に集まっていた。
「来たぞ、内火艇だ。」
まいかぜの内火艇が桟橋に到着する。
鷹達は桟橋をはなれて、まいかぜに到着した。
「出航用意! 錨を上げッ」
艦首の錨が海中から引き揚げられる。
既にボイラーは温まっていて、すぐに出航できる。
「機関始動、前進微速、取り舵一杯。」
「了解、前進微速、取り舵一杯。」
船が動き出す。
まいかぜが先行して、その後方を損傷したあまつかぜが続く。
「前進強速、舵中央。」
「航海長操艦、前進強速、赤黒なし、舵中央」
「了解しました。」
まいかぜとあまつかぜはサンダーランド島を離れて、メリダ島へ向かう。
水平線から顔を出す太陽の中、二隻は島を離れる。
鷹達は、三日後にメリダ島に帰還したのだった。 第二十話終わり