サマータイム・ブルーシグナル
そうすると、彼女の頭からはさらに赤いものが出てきて
「人の体ってこんなに『ち』がでるんだ」
と驚いた。
まさかこと切れてから数時間たった人体から血液が流れだすなんて誰が思うだろうか。小学四年生の私にとっては、すごい発見であった。
そのあと、また掘り出したつちを上からかけて、彼女の体は完全に見えなくなった。
そしてその上から、学校から持ち帰った青い花の種をまく。
花の名前は知らないけれど、確か数個種をまいておけばいつかは青い花の花畑になるのだそうだ。
「沢山咲くといいね。」
土の中から返事は帰ってこなかった。
そうして全部埋め終わったころにはもう夕方だったので、私はそのまま家に帰った。
そのあと、「友人」である彼女が家に帰ることはなかったという。
母にも電話が行ったが、母は「知らない」と言った。
母は本当に何も知らなかった。
友人がそのあと掘り出されることはなく、有名になったのはとある丘の木の下に青い花の花畑ができたという事だけだった。
そうして、彼女は私の完全犯罪の生贄となった。
じっとりとにじみ出てきた汗は、額にも届いて、頬を伝って顎からぽたりと地面に落ちた。
足元に広がる青い花畑は、私の靴に踏まれて痛そうだ。
知らないふりをして、私は木にとまっていたセミを叩き落とした。
汗が止まらない夏。
暑さか、不安か、焦りか。
全くわからないけれど、背中の筋を幾多の汗が伝っていることだけはわかる。
それは赤くない、透明な液体。
久々に触れた、透明な液体だった。
そんなことを思っていると、丘に人が近づいてくる。
誰だろう?
そう思ったつかの間。
知っている顔だった。
「…!久しぶり!!」
彼女は感激したように顔をほころばせてそう叫ぶ。
叫んで、彼女が声を届けた先は私だった。
「本当に久しぶりだね!」
そして、彼女―――真冬は私の名前を呼んだ。
「ね、永夏」
第一話に続く。
「人の体ってこんなに『ち』がでるんだ」
と驚いた。
まさかこと切れてから数時間たった人体から血液が流れだすなんて誰が思うだろうか。小学四年生の私にとっては、すごい発見であった。
そのあと、また掘り出したつちを上からかけて、彼女の体は完全に見えなくなった。
そしてその上から、学校から持ち帰った青い花の種をまく。
花の名前は知らないけれど、確か数個種をまいておけばいつかは青い花の花畑になるのだそうだ。
「沢山咲くといいね。」
土の中から返事は帰ってこなかった。
そうして全部埋め終わったころにはもう夕方だったので、私はそのまま家に帰った。
そのあと、「友人」である彼女が家に帰ることはなかったという。
母にも電話が行ったが、母は「知らない」と言った。
母は本当に何も知らなかった。
友人がそのあと掘り出されることはなく、有名になったのはとある丘の木の下に青い花の花畑ができたという事だけだった。
そうして、彼女は私の完全犯罪の生贄となった。
じっとりとにじみ出てきた汗は、額にも届いて、頬を伝って顎からぽたりと地面に落ちた。
足元に広がる青い花畑は、私の靴に踏まれて痛そうだ。
知らないふりをして、私は木にとまっていたセミを叩き落とした。
汗が止まらない夏。
暑さか、不安か、焦りか。
全くわからないけれど、背中の筋を幾多の汗が伝っていることだけはわかる。
それは赤くない、透明な液体。
久々に触れた、透明な液体だった。
そんなことを思っていると、丘に人が近づいてくる。
誰だろう?
そう思ったつかの間。
知っている顔だった。
「…!久しぶり!!」
彼女は感激したように顔をほころばせてそう叫ぶ。
叫んで、彼女が声を届けた先は私だった。
「本当に久しぶりだね!」
そして、彼女―――真冬は私の名前を呼んだ。
「ね、永夏」
第一話に続く。
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