二次創作
虐げられる日々を送っていたら、異世界で戦争を食い止める事になり帝王に鍾愛されました。
side 無呂
1日目。
今日は試しに、○○を異世界に連れて行ってみることにした。
.........一旦全部捨てたから、今の○○は僕だけのもの。
翔ちゃんも一応居るけど....別に護衛だし、気にすることはない。
「す、すごいですっ........!見たことないお店がたくさん........!」
すると隣から、僕の大好きなかわいい声が聞こえた。
その声色から、○○は楽しんでくれているんだなと思う。
○○は、はしゃぎたい気持ちを抑えるかのようにして目をきらきらと輝かせている。
...........はあかわいい。
異世界には、地球にはないようなものがたくさん揃えられている。
真珠の中に海の水を閉じ込めたネックレスに、ドラゴンの皮を使った食べ物。その他にも、能力そのものを売っているところだってある。
...............そして「人間」を売る店だってごろごろ存在している。
ふと○○に目をやると、何かをじっと見ている。それも、今まで見たどんな○○の瞳よりも綺麗な目で。
............何を見てるんだろう。
僕は、流れで○○の見ている方角に目をやる。
そこにうつったのは、数々の花たちだった。
.........花を、見てるの.....?
確かに、何度見ても○○の視線の先には花がうつっている。
............ほんと、○○らしいな...
せっかくの異世界に来れる貴重な機会。花じゃなくて他の珍しいものや、高価なものを見ようと思うのが一般的な意見な気はする。
でも多分、○○には世間一般的な普通を知らないんだと思う。
だから、前に僕が○○に「自分で物事を決めても良い」って言った時に初めて知ったような驚き方をしていたんだと思う。辻褄も合うしね。
「花が好きなの?」
僕はそう聞いて、アネモネを手に取った。
「えっ、あ....ご、ごめんなさいっ...ずっと見ていて......」
相変わらず、○○が謝ることのすべては○○が悪くない。
○○の置かれた環境下に大きな問題がある。
「すみません、これください」
僕はそう言って、アネモネ代を店の人に預けた。
「え....!?な、なろ屋さん、いいですよ......!わたしは大丈夫です.......!」
そう謙遜した○○は、アネモネを元の位置に返そうとする。
断ってしまうことなんてもうこっちの予想範囲内。というか絶対断る。断言する。
「..........じゃあ、プレゼントとして受け取ってくれないかな?」
「..................え?」
お店の人はおまけをしてくれたのか、一輪だったアネモネが花束になっている。
「アネモネってね.........花言葉で、『君を愛する』っていう意味なんだ.....」
「.............あ....」
そういえば、と思い出したように○○は顔を赤らめた。
知ってたんだ........さすが。
「だからこれは、僕から○○へのプレゼント。君を、愛してるからね。」
そう言った瞬間、○○はぼっと顔を勢いよく赤らめて顔を手で覆う。
ふは.......そんなに赤らまなくても。
でも、そんなところも....○○の全部...全部をひっくるめて、僕は心の底から愛している。
それは、今まで人間不信だった僕が恋した相手に発する言葉。
途端、翔ちゃんが僕と○○を仲介するようにして間に割って入ってきた。
................なに邪魔してくれちゃってんの、いいところだったのに.....
「お取り込み中失礼するけど......なろっち、ここには何をするために来たんや??」
そこまで言われてはっとする。まずい、本題を忘れていた。
さすがは翔ちゃんだなあ........
多分翔ちゃんは、誰も見ていないタイミングで何か賭けを張って勝ちを掴むような性格な気がする。
長年連れ添ってきた僕が言うのだから、間違いはないはずだ。
どうりで勝ちを掴むための"逸材探し"が頭から抜けないはずである。
「逸材探し...だね.......」
でも、ここは数少ない神聖な貿易都市・アメドロイダ州。
逸材を探したいとは思っているけど、さすがに人が多すぎる。
今にも人々に押しつぶされてしまいそうだ。
「でも俺.......その辺の商人とか貴族から人材を引っ張るの、嫌やねん。」
するっと自然と翔ちゃんの口からこぼれ落ちた言葉。
.............まあ、わからなくもない。
僕に忠誠誓ってる翔ちゃんが僕の事見下したりするやつを家臣にしたいだなんて考えが選択肢にあることがおかしいとでも思ってるんだろうな。
「散々なろっちの事を軽蔑したり差別しやがったやつばっかやからな......てことで考えたわけ、俺。」
..........なんだ。
いやまさかだと思うけど________
[大文字]「奴隷とか孤児達から引っ張ろう!」[/大文字]
やっぱそうなるよね、うん..........
すると、遠くのほうで怒鳴り散らす声が聞こえた。
「おい!!そこの水色髪の坊主を逃がすな!!!」
...............え?
その怒鳴り散らす声はどんどんこちらに近づいていることは確かだった。
.......やけに近いな。
「逃がすな!!!盗みを働いたただの孤児だ!!!!」
...............こ、じ......?
盗み............
見えた。
こちら側に、逃げるように走ってくる怒号の声の持ち主の商人と、
「.......奪ったもん勝ちだから.......」
水色髪の、男の子が_____________
side ???
「まあ.....なんて汚いのかしら。」
「ここがアメドロイダ州だとわかっていないようね......」
「総督に排除するよう頼み込むか。」
僕がいつも盗みを働いている店へと足を運んでいる最中だった。
僕を見るたび、すれ違う人たちは僕を貶す物言いを吐く。
慣れてるし、言われ飽きた。散々。
「うわー、孤児だ!」
そう言ったのは、僕とすれ違ったまだ幼い子どもだった。
そして隣には、僕を見下し軽蔑するような目を向けるその子どもの家族.....そいつらは貴族だった。
............はっ、孤児ってなんだよ。僕らのことをなんだと思っている。
僕だって、こうなりたくてこう生まれたわけじゃない。
こいつだって......僕と同じ立場に立ってみろ、心底イライラするぞ。
ああ、うるさいうるさい...........
さっさと盗み働いて家....なんてないから路地裏に戻りたい。
........こんな、明日食べるものにも困るような生活をあと何回繰り返せば良いんだろう。
僕はバレないようにすっと果物を盗み、走り去る。
それに気づいたであろう商人が、顔を真っ赤に染めて怒号を投げつけた。
「逃がすな!!!盗みを働いたただの孤児だ!!!!」
僕は走って、走って、走って........遠くまで逃げるだけ。ただ、それだけ。
ここで立ち止まるのは、弱いやつがすることだ。
僕は強いから、ここで降参するわけになんていかない。
でも運動神経には全くと言っていいほど自信がない。
はあ.......疲れた。
僕はこう吐き捨てるだけで精一杯だった。
「.......奪ったもん勝ちだから.......」
___________これまでの行動がすべて腑に落ちる出来事が起こるとも知らずに....
1日目。
今日は試しに、○○を異世界に連れて行ってみることにした。
.........一旦全部捨てたから、今の○○は僕だけのもの。
翔ちゃんも一応居るけど....別に護衛だし、気にすることはない。
「す、すごいですっ........!見たことないお店がたくさん........!」
すると隣から、僕の大好きなかわいい声が聞こえた。
その声色から、○○は楽しんでくれているんだなと思う。
○○は、はしゃぎたい気持ちを抑えるかのようにして目をきらきらと輝かせている。
...........はあかわいい。
異世界には、地球にはないようなものがたくさん揃えられている。
真珠の中に海の水を閉じ込めたネックレスに、ドラゴンの皮を使った食べ物。その他にも、能力そのものを売っているところだってある。
...............そして「人間」を売る店だってごろごろ存在している。
ふと○○に目をやると、何かをじっと見ている。それも、今まで見たどんな○○の瞳よりも綺麗な目で。
............何を見てるんだろう。
僕は、流れで○○の見ている方角に目をやる。
そこにうつったのは、数々の花たちだった。
.........花を、見てるの.....?
確かに、何度見ても○○の視線の先には花がうつっている。
............ほんと、○○らしいな...
せっかくの異世界に来れる貴重な機会。花じゃなくて他の珍しいものや、高価なものを見ようと思うのが一般的な意見な気はする。
でも多分、○○には世間一般的な普通を知らないんだと思う。
だから、前に僕が○○に「自分で物事を決めても良い」って言った時に初めて知ったような驚き方をしていたんだと思う。辻褄も合うしね。
「花が好きなの?」
僕はそう聞いて、アネモネを手に取った。
「えっ、あ....ご、ごめんなさいっ...ずっと見ていて......」
相変わらず、○○が謝ることのすべては○○が悪くない。
○○の置かれた環境下に大きな問題がある。
「すみません、これください」
僕はそう言って、アネモネ代を店の人に預けた。
「え....!?な、なろ屋さん、いいですよ......!わたしは大丈夫です.......!」
そう謙遜した○○は、アネモネを元の位置に返そうとする。
断ってしまうことなんてもうこっちの予想範囲内。というか絶対断る。断言する。
「..........じゃあ、プレゼントとして受け取ってくれないかな?」
「..................え?」
お店の人はおまけをしてくれたのか、一輪だったアネモネが花束になっている。
「アネモネってね.........花言葉で、『君を愛する』っていう意味なんだ.....」
「.............あ....」
そういえば、と思い出したように○○は顔を赤らめた。
知ってたんだ........さすが。
「だからこれは、僕から○○へのプレゼント。君を、愛してるからね。」
そう言った瞬間、○○はぼっと顔を勢いよく赤らめて顔を手で覆う。
ふは.......そんなに赤らまなくても。
でも、そんなところも....○○の全部...全部をひっくるめて、僕は心の底から愛している。
それは、今まで人間不信だった僕が恋した相手に発する言葉。
途端、翔ちゃんが僕と○○を仲介するようにして間に割って入ってきた。
................なに邪魔してくれちゃってんの、いいところだったのに.....
「お取り込み中失礼するけど......なろっち、ここには何をするために来たんや??」
そこまで言われてはっとする。まずい、本題を忘れていた。
さすがは翔ちゃんだなあ........
多分翔ちゃんは、誰も見ていないタイミングで何か賭けを張って勝ちを掴むような性格な気がする。
長年連れ添ってきた僕が言うのだから、間違いはないはずだ。
どうりで勝ちを掴むための"逸材探し"が頭から抜けないはずである。
「逸材探し...だね.......」
でも、ここは数少ない神聖な貿易都市・アメドロイダ州。
逸材を探したいとは思っているけど、さすがに人が多すぎる。
今にも人々に押しつぶされてしまいそうだ。
「でも俺.......その辺の商人とか貴族から人材を引っ張るの、嫌やねん。」
するっと自然と翔ちゃんの口からこぼれ落ちた言葉。
.............まあ、わからなくもない。
僕に忠誠誓ってる翔ちゃんが僕の事見下したりするやつを家臣にしたいだなんて考えが選択肢にあることがおかしいとでも思ってるんだろうな。
「散々なろっちの事を軽蔑したり差別しやがったやつばっかやからな......てことで考えたわけ、俺。」
..........なんだ。
いやまさかだと思うけど________
[大文字]「奴隷とか孤児達から引っ張ろう!」[/大文字]
やっぱそうなるよね、うん..........
すると、遠くのほうで怒鳴り散らす声が聞こえた。
「おい!!そこの水色髪の坊主を逃がすな!!!」
...............え?
その怒鳴り散らす声はどんどんこちらに近づいていることは確かだった。
.......やけに近いな。
「逃がすな!!!盗みを働いたただの孤児だ!!!!」
...............こ、じ......?
盗み............
見えた。
こちら側に、逃げるように走ってくる怒号の声の持ち主の商人と、
「.......奪ったもん勝ちだから.......」
水色髪の、男の子が_____________
side ???
「まあ.....なんて汚いのかしら。」
「ここがアメドロイダ州だとわかっていないようね......」
「総督に排除するよう頼み込むか。」
僕がいつも盗みを働いている店へと足を運んでいる最中だった。
僕を見るたび、すれ違う人たちは僕を貶す物言いを吐く。
慣れてるし、言われ飽きた。散々。
「うわー、孤児だ!」
そう言ったのは、僕とすれ違ったまだ幼い子どもだった。
そして隣には、僕を見下し軽蔑するような目を向けるその子どもの家族.....そいつらは貴族だった。
............はっ、孤児ってなんだよ。僕らのことをなんだと思っている。
僕だって、こうなりたくてこう生まれたわけじゃない。
こいつだって......僕と同じ立場に立ってみろ、心底イライラするぞ。
ああ、うるさいうるさい...........
さっさと盗み働いて家....なんてないから路地裏に戻りたい。
........こんな、明日食べるものにも困るような生活をあと何回繰り返せば良いんだろう。
僕はバレないようにすっと果物を盗み、走り去る。
それに気づいたであろう商人が、顔を真っ赤に染めて怒号を投げつけた。
「逃がすな!!!盗みを働いたただの孤児だ!!!!」
僕は走って、走って、走って........遠くまで逃げるだけ。ただ、それだけ。
ここで立ち止まるのは、弱いやつがすることだ。
僕は強いから、ここで降参するわけになんていかない。
でも運動神経には全くと言っていいほど自信がない。
はあ.......疲れた。
僕はこう吐き捨てるだけで精一杯だった。
「.......奪ったもん勝ちだから.......」
___________これまでの行動がすべて腑に落ちる出来事が起こるとも知らずに....