二次創作
虐げられる日々を送っていたら、異世界で戦争を食い止める事になり帝王に鍾愛されました。
side 無呂
「これからは....持久戦や。」
○○が泣き止んですぐ、新たな嵐を吹かせるかのように翔ちゃんはそう言った。
.........持久戦?一体、なんの....
僕が「何の持久戦?」と聞こうとした直後、またすぐに翔ちゃんは口を開いた。
「........○○には言ってなかったけど...俺となろっちは、『異世界』って所からこの世界に降りてきてんねん。」
まるで物語を言い聞かせるようにして、翔ちゃんは昔語りを始めた。
「簡単に言うと、この世界とは別に存在してる....せやな、パラレルワールドみたいな。時も日付も、全部こっちの世界と同時進行している。でも一つ違うのが.....俺らの住んでいる異世界では『魔法』って概念が存在している。」
翔ちゃんの言う通り、僕らの住んでいる異世界は、わからない事が多い。
実際、どんな異世界の研究家でも現状わかってる異世界の歴史は150年前まで。これまでこの世界がどのようにして、どのような進化を成してここまで成長してきたのかが全くわからない。
『魔法』という概念がどのようにして生まれてきたのかもまだわかっていないのが現状だ。
だから、僕らの住む異世界は単純明快な世界なんかではない。
続けて翔ちゃんの読み聞かせるような声はまだまだ続いた。
「話は変わるけど.......最近、俺らの住む『ロベルト国』ってとこで内戦が起きそうになっててな........で、実はなろっちは『人間とライオンのハーフ』って言って、異世界では最も身分が低い種族って言われてる。俺は、なろっちに忠誠を誓ってる。だから、なろっちの身分を少しでも良いものにしてやりたい。で俺が考えた末..この内戦でなろっちを誰よりも活躍させてあげたくて!!」
翔ちゃんはそこまで話しきったあと、後半息継ぎをしていなかったのか苦しそうに顔を歪めた。
すると、さっきまで反応を示さなかった○○が口を開いた。
「な、なるほどっ......つまり、なろ屋さんの立場をより良いものにしようと、近々起こる戦で名を挙げたいという事ですね.....!......あ.....だから、あの時『逸材探し』や『スカウト』という単語が出たのですか.....?」
.......あの時とは.....多分、僕が○○に婚約を申し出た時。
_________
「翔ちゃん。僕、この子の事スカウトしてもいい?」
「........あ、語弊があったね。逸材探しの意味でのスカウトじゃなくて、『未来の婚約者』って意味でのスカウト。」
「こここここ...婚約者ぁあぁ!!??」
__________
そういえば、そんな会話をしていた事を思い出す。
そんな細かい会話まで覚えていてくれたなんて、さすが僕のかわいいかわいい婚約者。最高。
「多分そうやと思う.......ってなわけで、俺となろっちはこれから逸材を求めてこっちの世界でもあっちの世界でもスカウトしまくらなあかんわけ.......だから、これが最初に言った『持久戦』。」
「..........つまり?」
僕は、重い口を開いてそう言った。
「なろっちと○○が、逸材を探し終えるまで離れる覚悟。または.....逸材を探し終えるまで結婚をできない事の覚悟。」
僕は、すべてを理解する。
なるほどね.........
○○の環境が普通ではない事は、僕も翔ちゃんもよくわかっている。だから、1秒でも○○をごみのようなこの環境下に置きたくない。
では仮に、僕と○○が逸材探しを終えるまで○○をこの環境下においておくとする。だがそれは本人にとって何にも変えられないほどの苦痛だし、何より僕が耐えられない。○○が苦しんでいるのに逸材をまともに探し続けることなんてできないと断言する。
次に、○○を僕と翔ちゃんの住む家に住まわせるという仮説。
多分これがいちばん最善だと思うけど......逸材探しで家をあける僕らに、急に住む事になった異世界での生活を強いられるのはいくら優しい○○でも多少の困惑はするだろう。
でもだからと言って........○○を連れて逸材探しをする事はできない。
異世界は魔獣や魔法使い、魔神族も住んでいる世界だ。世界一かわいい○○の事を狙わない魔族なんて居ないだろう。
だからどちらにせよ............持久戦という結論に行き着いてしまう。
「............○○は、僕らが逸材探しをしている間どうしてたい?」
やっぱり1番大切にしたいのは、○○の思い。
そう考えた僕は、○○にそう尋ねた。
「.....わ、わたしは........なろ屋さんと..離れたく、ないです.......逸材探しも、....お供させてくださいっ.......」
思いもよらぬ回答に一瞬驚いて目を見開いてしまった。
.........え、ちょっと待って、逸材探しを一緒にするっていうの...?
とんでもない形相をした翔ちゃんと目が合う。
「....ご、ごめんなさいっ.....わたしなんかが....なろ屋さんの近くに居ても迷惑....ですよねっ.......今のは忘れてください.....!」
すると○○は、悲しげに眉を下げてそう言った。それは、久しぶりに見た○○のつくり笑顔と共に発された。
その瞬間、僕と翔ちゃんは○○の気持ちを否定してしまっていた事に気づく。
............ち、違う.....○○を否定したかったんじゃない......
ただ.......○○を危険にさらしたくなかっただけ...........
明らかにひきつっている笑みを無理に浮かべて、また○○は口を開いた。
「わたしは、ここに待機して_______
「.........っ、違う.....」
喉の奥からようやく振り絞ったような声が出てくる。
.........ほんと、情けない。
「○○は........どうしたい.....?」
多分今日、3回目。
「これは僕らが決めることじゃない......○○が決めることだよっ......○○は、僕と一緒に逸材探しをしてくれる....?それとも、ここで離れて待機している....?」
○○は、自分で物事を決めるということを知らない。
.......いや正確には、周りに合わせてしまうのに慣れていて...多分、そもそも自分で物事を決めさえさせてもらえない地位の立場に居たのだろう。
でなければ、こんなに謙虚な性格にはなれない。
「..........なろ屋さんと.....一緒に...逸材探しを、させてください........!」
せっかく泣き止んでくれたのに、また泣かせてしまった。
○○の、さっきと全く同じ綺麗な雫をつーっと頬がつたる。
その姿ですら、目を奪われてしまうほどの美しさだった。
かわいくて、またぎゅっと○○を抱きしめてしまう。
「........うん...わかった.......本当に、それでいい?」
驚かさないように、落ち着いた声色を保ちそう言う。
腕の中から、小さなか弱い声が聞こえてきた。
「......はいっ....もちろんです.......わ、我儘かもしれませんが......一緒に...最後まで、居させてくださいっ...........」
..........我儘?どこにそんなのあっただろうか。
でも、○○をこんなふうにさせた周りの環境を排除することを心に決めた今は、何もできなかったあの頃よりも気は楽だった。
「離すわけないよ」と言って、またさらに力を込めて○○を抱きしめる。
それに反応してくれようとしたのか、○○が抱きしめ返してくれた。力自体は弱いけど、そんなところでさえも愛おしくなる。
かわいくてかわいくて、手放すことが怖くなるくらい。
心の底から、一生の愛を誓う。
「........お取り込み中失礼するけど.....○○、俺となろっちの逸材探しを手伝ってくれるのはかまへんけど...俺らは四六時中活動するから学校はどうする?それに、遠い場所まで移動すると思うけど、家はどうする?」
翔ちゃんに声に驚いたのか、○○が顔を真っ赤に染めて僕から体を離した。
..........そんな姿ですらかわいいと思ってしまう。なにをしてもかわいいな、○○は。
そして、真っ赤だった○○の顔が少しずつ元に戻ってきた。
side ●●
「........お取り込み中失礼するけど.....○○、俺となろっちの逸材探しを手伝ってくれるのはかまへんけど...俺らは四六時中活動するから学校はどうする?それに、遠い場所まで移動すると思うけど、家はどうする?」
翔さんのその声に驚いて、思わずなろ屋さんから体を思い切り引き離してしまう。
び、びっくりしたっ..........!
そして、翔さんから「学校」や「家」という単語が出てきたことに少しだけ肩がびくんとはねた。
少し俯いてしまったせいか、翔さんが声をかけてくれた。
「.........じゃあ一旦、全部捨ててみよっか!!」
「................え?」
捨てるという言葉に驚いて後ろにつまづきそうになったわたしを、なろ屋さんが支えてくれた。
なろ屋さんに「.....あっ、ご、ごめんなさいっ.....!」と言って、軽く会釈をする。
「大丈夫、そんな驚かんといて........まあつまり、一旦..まあ3日間くらい、学校も家の事も捨てて一緒に逸材探しをおためしでしてみよ?...ってこと!」
翔さんは、満面の笑みでそう言った。
.........た、確かに.....3日くらいなら...お母さんに家を空けると言っても、文句は言われないだろう。........というか、多分気にしてもらえない、だろうから.......
そこまで考えて、泣きそうになったから考える事をすぐに辞めた。
だめ......お母さんや萌音の事を考えるとすぐに涙が溢れてくる............こんなにたくさんの人に嫌われているわたしを好きだなんて言ってくれるなろ屋さんだからこそ、わたしは初めて自分から事柄を決めたり、選択を間違えたりしないのかもしれない。
.......改めて、好きだなと再確認する。
そんなだいすきな人の追っている夢に、わたしもお手伝いさせてくれるなんて、夢のようだ。
返事はもちろん_______
「...............わかりました....3日間..よろしくお願いしますっ.......!」
「.......ありがとう.......一緒に居てくれるからには、絶対幸せにするから........だいすき.......」
なろ屋さんはそう言って、再びわたしを軽く抱きしめた。
[水平線]
side ???
「まったく.........お前はいつまで外で遊んでいるんだ!将来、忠誠を誓っていメルサ様の率いる軍の軍師としての自覚はあるのか!!」
「トビリオ州の軍師だなんて、そこまで誇らしい役職があるわけないわ!もっと勉学に励みなさい!!」
俺の父親と母親は、俺が日比野メルサ総督の率いる軍のある『トビリオ州』の軍師に就く事が決定してから、ずっとこの調子だ。
........正直、頭も悪くて政治力なんてまったくない自分が軍師だなんて無理に決まっている。
でも反対に、俺は弓を使うのが小さい頃から得意だった。それに...人を率いることも好きだった。
自分の言葉で戦の勝敗が決まる.....?なにそれ、絶対におもしろい。
....いわゆる、統率者というのだろうか。軍師よりも、弓兵や統率者として名を挙げたい。
「あっ、おいまたどこへいくんだ!!!」
父親の声を無視して、俺は行きつけの弓兵団のアジトへと早々に足を進めた。
「これからは....持久戦や。」
○○が泣き止んですぐ、新たな嵐を吹かせるかのように翔ちゃんはそう言った。
.........持久戦?一体、なんの....
僕が「何の持久戦?」と聞こうとした直後、またすぐに翔ちゃんは口を開いた。
「........○○には言ってなかったけど...俺となろっちは、『異世界』って所からこの世界に降りてきてんねん。」
まるで物語を言い聞かせるようにして、翔ちゃんは昔語りを始めた。
「簡単に言うと、この世界とは別に存在してる....せやな、パラレルワールドみたいな。時も日付も、全部こっちの世界と同時進行している。でも一つ違うのが.....俺らの住んでいる異世界では『魔法』って概念が存在している。」
翔ちゃんの言う通り、僕らの住んでいる異世界は、わからない事が多い。
実際、どんな異世界の研究家でも現状わかってる異世界の歴史は150年前まで。これまでこの世界がどのようにして、どのような進化を成してここまで成長してきたのかが全くわからない。
『魔法』という概念がどのようにして生まれてきたのかもまだわかっていないのが現状だ。
だから、僕らの住む異世界は単純明快な世界なんかではない。
続けて翔ちゃんの読み聞かせるような声はまだまだ続いた。
「話は変わるけど.......最近、俺らの住む『ロベルト国』ってとこで内戦が起きそうになっててな........で、実はなろっちは『人間とライオンのハーフ』って言って、異世界では最も身分が低い種族って言われてる。俺は、なろっちに忠誠を誓ってる。だから、なろっちの身分を少しでも良いものにしてやりたい。で俺が考えた末..この内戦でなろっちを誰よりも活躍させてあげたくて!!」
翔ちゃんはそこまで話しきったあと、後半息継ぎをしていなかったのか苦しそうに顔を歪めた。
すると、さっきまで反応を示さなかった○○が口を開いた。
「な、なるほどっ......つまり、なろ屋さんの立場をより良いものにしようと、近々起こる戦で名を挙げたいという事ですね.....!......あ.....だから、あの時『逸材探し』や『スカウト』という単語が出たのですか.....?」
.......あの時とは.....多分、僕が○○に婚約を申し出た時。
_________
「翔ちゃん。僕、この子の事スカウトしてもいい?」
「........あ、語弊があったね。逸材探しの意味でのスカウトじゃなくて、『未来の婚約者』って意味でのスカウト。」
「こここここ...婚約者ぁあぁ!!??」
__________
そういえば、そんな会話をしていた事を思い出す。
そんな細かい会話まで覚えていてくれたなんて、さすが僕のかわいいかわいい婚約者。最高。
「多分そうやと思う.......ってなわけで、俺となろっちはこれから逸材を求めてこっちの世界でもあっちの世界でもスカウトしまくらなあかんわけ.......だから、これが最初に言った『持久戦』。」
「..........つまり?」
僕は、重い口を開いてそう言った。
「なろっちと○○が、逸材を探し終えるまで離れる覚悟。または.....逸材を探し終えるまで結婚をできない事の覚悟。」
僕は、すべてを理解する。
なるほどね.........
○○の環境が普通ではない事は、僕も翔ちゃんもよくわかっている。だから、1秒でも○○をごみのようなこの環境下に置きたくない。
では仮に、僕と○○が逸材探しを終えるまで○○をこの環境下においておくとする。だがそれは本人にとって何にも変えられないほどの苦痛だし、何より僕が耐えられない。○○が苦しんでいるのに逸材をまともに探し続けることなんてできないと断言する。
次に、○○を僕と翔ちゃんの住む家に住まわせるという仮説。
多分これがいちばん最善だと思うけど......逸材探しで家をあける僕らに、急に住む事になった異世界での生活を強いられるのはいくら優しい○○でも多少の困惑はするだろう。
でもだからと言って........○○を連れて逸材探しをする事はできない。
異世界は魔獣や魔法使い、魔神族も住んでいる世界だ。世界一かわいい○○の事を狙わない魔族なんて居ないだろう。
だからどちらにせよ............持久戦という結論に行き着いてしまう。
「............○○は、僕らが逸材探しをしている間どうしてたい?」
やっぱり1番大切にしたいのは、○○の思い。
そう考えた僕は、○○にそう尋ねた。
「.....わ、わたしは........なろ屋さんと..離れたく、ないです.......逸材探しも、....お供させてくださいっ.......」
思いもよらぬ回答に一瞬驚いて目を見開いてしまった。
.........え、ちょっと待って、逸材探しを一緒にするっていうの...?
とんでもない形相をした翔ちゃんと目が合う。
「....ご、ごめんなさいっ.....わたしなんかが....なろ屋さんの近くに居ても迷惑....ですよねっ.......今のは忘れてください.....!」
すると○○は、悲しげに眉を下げてそう言った。それは、久しぶりに見た○○のつくり笑顔と共に発された。
その瞬間、僕と翔ちゃんは○○の気持ちを否定してしまっていた事に気づく。
............ち、違う.....○○を否定したかったんじゃない......
ただ.......○○を危険にさらしたくなかっただけ...........
明らかにひきつっている笑みを無理に浮かべて、また○○は口を開いた。
「わたしは、ここに待機して_______
「.........っ、違う.....」
喉の奥からようやく振り絞ったような声が出てくる。
.........ほんと、情けない。
「○○は........どうしたい.....?」
多分今日、3回目。
「これは僕らが決めることじゃない......○○が決めることだよっ......○○は、僕と一緒に逸材探しをしてくれる....?それとも、ここで離れて待機している....?」
○○は、自分で物事を決めるということを知らない。
.......いや正確には、周りに合わせてしまうのに慣れていて...多分、そもそも自分で物事を決めさえさせてもらえない地位の立場に居たのだろう。
でなければ、こんなに謙虚な性格にはなれない。
「..........なろ屋さんと.....一緒に...逸材探しを、させてください........!」
せっかく泣き止んでくれたのに、また泣かせてしまった。
○○の、さっきと全く同じ綺麗な雫をつーっと頬がつたる。
その姿ですら、目を奪われてしまうほどの美しさだった。
かわいくて、またぎゅっと○○を抱きしめてしまう。
「........うん...わかった.......本当に、それでいい?」
驚かさないように、落ち着いた声色を保ちそう言う。
腕の中から、小さなか弱い声が聞こえてきた。
「......はいっ....もちろんです.......わ、我儘かもしれませんが......一緒に...最後まで、居させてくださいっ...........」
..........我儘?どこにそんなのあっただろうか。
でも、○○をこんなふうにさせた周りの環境を排除することを心に決めた今は、何もできなかったあの頃よりも気は楽だった。
「離すわけないよ」と言って、またさらに力を込めて○○を抱きしめる。
それに反応してくれようとしたのか、○○が抱きしめ返してくれた。力自体は弱いけど、そんなところでさえも愛おしくなる。
かわいくてかわいくて、手放すことが怖くなるくらい。
心の底から、一生の愛を誓う。
「........お取り込み中失礼するけど.....○○、俺となろっちの逸材探しを手伝ってくれるのはかまへんけど...俺らは四六時中活動するから学校はどうする?それに、遠い場所まで移動すると思うけど、家はどうする?」
翔ちゃんに声に驚いたのか、○○が顔を真っ赤に染めて僕から体を離した。
..........そんな姿ですらかわいいと思ってしまう。なにをしてもかわいいな、○○は。
そして、真っ赤だった○○の顔が少しずつ元に戻ってきた。
side ●●
「........お取り込み中失礼するけど.....○○、俺となろっちの逸材探しを手伝ってくれるのはかまへんけど...俺らは四六時中活動するから学校はどうする?それに、遠い場所まで移動すると思うけど、家はどうする?」
翔さんのその声に驚いて、思わずなろ屋さんから体を思い切り引き離してしまう。
び、びっくりしたっ..........!
そして、翔さんから「学校」や「家」という単語が出てきたことに少しだけ肩がびくんとはねた。
少し俯いてしまったせいか、翔さんが声をかけてくれた。
「.........じゃあ一旦、全部捨ててみよっか!!」
「................え?」
捨てるという言葉に驚いて後ろにつまづきそうになったわたしを、なろ屋さんが支えてくれた。
なろ屋さんに「.....あっ、ご、ごめんなさいっ.....!」と言って、軽く会釈をする。
「大丈夫、そんな驚かんといて........まあつまり、一旦..まあ3日間くらい、学校も家の事も捨てて一緒に逸材探しをおためしでしてみよ?...ってこと!」
翔さんは、満面の笑みでそう言った。
.........た、確かに.....3日くらいなら...お母さんに家を空けると言っても、文句は言われないだろう。........というか、多分気にしてもらえない、だろうから.......
そこまで考えて、泣きそうになったから考える事をすぐに辞めた。
だめ......お母さんや萌音の事を考えるとすぐに涙が溢れてくる............こんなにたくさんの人に嫌われているわたしを好きだなんて言ってくれるなろ屋さんだからこそ、わたしは初めて自分から事柄を決めたり、選択を間違えたりしないのかもしれない。
.......改めて、好きだなと再確認する。
そんなだいすきな人の追っている夢に、わたしもお手伝いさせてくれるなんて、夢のようだ。
返事はもちろん_______
「...............わかりました....3日間..よろしくお願いしますっ.......!」
「.......ありがとう.......一緒に居てくれるからには、絶対幸せにするから........だいすき.......」
なろ屋さんはそう言って、再びわたしを軽く抱きしめた。
[水平線]
side ???
「まったく.........お前はいつまで外で遊んでいるんだ!将来、忠誠を誓っていメルサ様の率いる軍の軍師としての自覚はあるのか!!」
「トビリオ州の軍師だなんて、そこまで誇らしい役職があるわけないわ!もっと勉学に励みなさい!!」
俺の父親と母親は、俺が日比野メルサ総督の率いる軍のある『トビリオ州』の軍師に就く事が決定してから、ずっとこの調子だ。
........正直、頭も悪くて政治力なんてまったくない自分が軍師だなんて無理に決まっている。
でも反対に、俺は弓を使うのが小さい頃から得意だった。それに...人を率いることも好きだった。
自分の言葉で戦の勝敗が決まる.....?なにそれ、絶対におもしろい。
....いわゆる、統率者というのだろうか。軍師よりも、弓兵や統率者として名を挙げたい。
「あっ、おいまたどこへいくんだ!!!」
父親の声を無視して、俺は行きつけの弓兵団のアジトへと早々に足を進めた。
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