虐げられる日々を送っていたら、異世界で戦争を食い止める事になり帝王に鍾愛されました。
「.........ごめん取り乱した....なろっち、それ本気で言ってる?.....この子にも、家族が居て..友達だって居るねんで?.....それを無理に引き込むのは....」
青髪の人がおろおろとした表情でわたしと男の子の事を交互に見つめる。
正直.......すごく、びっくりしたし、まさかわたしの事を婚約者として迎え入れて欲しいだなんて言ってくれる人が現れたことが、今は奇跡みたいに嬉しい。
でも......お母さんや萌音にとって、わたしみたいな『いらない子』が2人の事を見捨ててのうのうと結婚するなんてできない。
男の子は、黙り込んだまま下へと視線をやった。
「...........あ、まず名前聞いても良い?.....俺は、[漢字]青城[/漢字][ふりがな]あおしろ[/ふりがな][漢字]翔[/漢字][ふりがな]しょう[/ふりがな]。君は?」
ふいに名前を聞かれてびくりと肩が跳ねる。
失礼にならないように、わたしはすぐに返事をした。
「....せ、聖花●●と言いますっ........」
それにすぐに反応したグレー髪の男の子は、顔をぱっと明るくさせて返事をした。
「●●......名前までかわいいね....やっぱり僕は君以外考えられない........僕の事を、少しでも考えてくれたりはしないかな.....」
それは......と思い、少し返事に戸惑ってしまう。
まず..初対面のわたしなんて、第一印象は最悪だと思う。愛想もないし、かわいくもない。ましてや、自分のクラスメイトから叩かれそうになっているところを見られたんだから、すぐにわたしに幻滅してもおかしくはないはず。
そんなわたしなんかを、婚約者にする..?なにか、裏でもありそうなくらい良い話すぎた。
「......なろっち、今日は一旦帰ろう。明日またこっちに来たらいいから....」
返答に迷っていたわたしをカバーするようにそう言った翔さん。
その途端、グレー髪の男の子はむっと口を膨らませた。
「.....わかった、けど.....ひとつだけ、今聞かせて。」
グレー髪さんはわたしに向かってそう言う。
な、なんだろう........
どんなことでも、わたしを助けてくれた人の質問だもん....
ちゃんと聞き入れて、今度こそはきちんと返事をしたい。
「僕の事、嫌い....?」
................えっ?
急に投げかけられたその質問に、耳を疑ってしまう。
あっけにとられてしまい、わたしは硬直するばかりだった。
「.........や、なんでもない。....ごめんね、じゃあ..明日また、絶対●●に会いに来るね。」
______だめだ、また選択肢を間違える。
驚いたけれど......驚いた、ただそれだけ。この人に....もしかしたら....未来の婚約者になるかもしれない人に....こんな悲しい顔、させていいの....?
今度こそは、絶対に間違えない。
「じゃあ明日また絶対ね」と言って、その場を去ろうとする男の子。
だめ、引き止めなきゃ......
ちらりと見えたその男の子の表情は、やはり曇りが残っているまま。
わたしは、意を決して大きく口を開ける。
「嫌いなわけがありませんっ.....むしろ...優しくいただいたのも、婚約してと言われたのも全部..全部_____
わたしが言葉を続けようとした時、おっとりとした、優しい声が遮った。
「.........ふは...いいよ、ありがとう......明日、絶対君に会いに来るから。絶対絶対、僕は君のことを手に入れるから...覚悟しててね。」
萌音の事や、お母さんの事があるから、今は素直に喜ぶことができない。
だけど、遠い未来...きっと、わたしはこの人の隣に居るような気がした。
[水平線]
「ねえ.....お姉ちゃん。」
急にわたしの部屋に姿を表した萌音。
何事かと思い、今日わたしがやらなければならなかったことをすべて頭の中で整理した。
大丈夫、朝洗濯物もたたんだし、萌音の分の宿題もしたし間違いもなかったはず。頼まれてい新しいキーホルダーも買ってきたし、今日も順調に脇役を演じていた。
それなのに、やっぱり萌音を前にするとどこか怖気づいてしまう自分が居る。
「今日裏庭にいたでしょ?」
びくりと少し体が震えたのがわかった。
ど、どうして萌音が知っているんだろう......
もちろんわたしは誰にも裏庭に行ったことを言っていないし、ましてや萌音に嫌われたくない萌音のお友達も、わたしを裏庭に呼び出して叩いただなんて事言わないだろうから...
「男といたんだってね?....たまたま見たとかいうやつから聞いたわ。」
そう言って、さらりと綺麗な髪を揺らす萌音。
「あんたがわたしよりも早く男をつくるなんて...わたしが許すとでも思った?」
...............な、なにが言いたいんだろう....
嫌な予感しかしない。
「お母さんも黙ってるわけないわよね〜?」
今までの話の流れを聞いていたのだろうか。お母さんが、わたしの部屋にやってきた。
わたしの部屋はあまり広くないから、わたしと萌音とお母さんが入るだけで精一杯。
萌音は、颯爽とわたしの部屋を後にした。今は、お母さんとわたしの二人きり。
この状況は、なにがなんでも避けたかった。
「.......やっぱり、あんたには『お仕置き』が必要みたいね。自分の妹に気さえも使えないなんて!!!」
お母さんは、毎回起こったときは最初にわたしの髪をひっぱる。
そのたびに、わたしの頭皮がそろそろ限界だと訴えているかのような痛みが頭だけでなく全身に走った。
すると、何を思ったのか萌音がわたしの部屋に顔を出した。
「お姉ちゃん、これあんたの?」
そう言って萌音が差し出してきたのは、わたしの唯一の『宝物』だった。
萌音の性格上、これは自分のものにするときの言葉だ。
いつもなら、萌音が欲しがるものはなんでもあげたし与えたいと思っていた。
けど.........これは、いくら萌音の頼みでも応えられない。
「っ、え..そ、それはだめっ.......!」
"それ"を取り返すために必死になったわたしは、お母さんの事を気に留める由もなく萌音からそれを返してもらおうとした。
でも、萌音がそれを持っていた手から反対の手へと移し替え、その速さに反応できなかったわたしは、結局萌音のなにも持ってない手を勢い余って軽く叩いてしまった。
思わず、「あ」と声を漏らす。
「うっ.......うああああん!お姉ちゃんが叩いた〜!!」
............ど、どうしようっ.....
萌音の事、叩いちゃった..........
「............自分の妹に手をあげるなんて、やっぱり出来損ないね!!!」
お母さんは、わたしを部屋の奥へと突き飛ばした。
______最高だった昼の裏庭と、最悪な殴られ蹴られの夜を、わたしは過ごし通した。
side ???
「国王様がいなくなった!!」
「くそっ.....国王様!!!どこですか!!!」
「返事なさってください、国王様!!!」
私は絶対......
[大文字]あの城....『国王』という座に座らない事を誓って、屋敷を飛び出した。[/大文字]
青髪の人がおろおろとした表情でわたしと男の子の事を交互に見つめる。
正直.......すごく、びっくりしたし、まさかわたしの事を婚約者として迎え入れて欲しいだなんて言ってくれる人が現れたことが、今は奇跡みたいに嬉しい。
でも......お母さんや萌音にとって、わたしみたいな『いらない子』が2人の事を見捨ててのうのうと結婚するなんてできない。
男の子は、黙り込んだまま下へと視線をやった。
「...........あ、まず名前聞いても良い?.....俺は、[漢字]青城[/漢字][ふりがな]あおしろ[/ふりがな][漢字]翔[/漢字][ふりがな]しょう[/ふりがな]。君は?」
ふいに名前を聞かれてびくりと肩が跳ねる。
失礼にならないように、わたしはすぐに返事をした。
「....せ、聖花●●と言いますっ........」
それにすぐに反応したグレー髪の男の子は、顔をぱっと明るくさせて返事をした。
「●●......名前までかわいいね....やっぱり僕は君以外考えられない........僕の事を、少しでも考えてくれたりはしないかな.....」
それは......と思い、少し返事に戸惑ってしまう。
まず..初対面のわたしなんて、第一印象は最悪だと思う。愛想もないし、かわいくもない。ましてや、自分のクラスメイトから叩かれそうになっているところを見られたんだから、すぐにわたしに幻滅してもおかしくはないはず。
そんなわたしなんかを、婚約者にする..?なにか、裏でもありそうなくらい良い話すぎた。
「......なろっち、今日は一旦帰ろう。明日またこっちに来たらいいから....」
返答に迷っていたわたしをカバーするようにそう言った翔さん。
その途端、グレー髪の男の子はむっと口を膨らませた。
「.....わかった、けど.....ひとつだけ、今聞かせて。」
グレー髪さんはわたしに向かってそう言う。
な、なんだろう........
どんなことでも、わたしを助けてくれた人の質問だもん....
ちゃんと聞き入れて、今度こそはきちんと返事をしたい。
「僕の事、嫌い....?」
................えっ?
急に投げかけられたその質問に、耳を疑ってしまう。
あっけにとられてしまい、わたしは硬直するばかりだった。
「.........や、なんでもない。....ごめんね、じゃあ..明日また、絶対●●に会いに来るね。」
______だめだ、また選択肢を間違える。
驚いたけれど......驚いた、ただそれだけ。この人に....もしかしたら....未来の婚約者になるかもしれない人に....こんな悲しい顔、させていいの....?
今度こそは、絶対に間違えない。
「じゃあ明日また絶対ね」と言って、その場を去ろうとする男の子。
だめ、引き止めなきゃ......
ちらりと見えたその男の子の表情は、やはり曇りが残っているまま。
わたしは、意を決して大きく口を開ける。
「嫌いなわけがありませんっ.....むしろ...優しくいただいたのも、婚約してと言われたのも全部..全部_____
わたしが言葉を続けようとした時、おっとりとした、優しい声が遮った。
「.........ふは...いいよ、ありがとう......明日、絶対君に会いに来るから。絶対絶対、僕は君のことを手に入れるから...覚悟しててね。」
萌音の事や、お母さんの事があるから、今は素直に喜ぶことができない。
だけど、遠い未来...きっと、わたしはこの人の隣に居るような気がした。
[水平線]
「ねえ.....お姉ちゃん。」
急にわたしの部屋に姿を表した萌音。
何事かと思い、今日わたしがやらなければならなかったことをすべて頭の中で整理した。
大丈夫、朝洗濯物もたたんだし、萌音の分の宿題もしたし間違いもなかったはず。頼まれてい新しいキーホルダーも買ってきたし、今日も順調に脇役を演じていた。
それなのに、やっぱり萌音を前にするとどこか怖気づいてしまう自分が居る。
「今日裏庭にいたでしょ?」
びくりと少し体が震えたのがわかった。
ど、どうして萌音が知っているんだろう......
もちろんわたしは誰にも裏庭に行ったことを言っていないし、ましてや萌音に嫌われたくない萌音のお友達も、わたしを裏庭に呼び出して叩いただなんて事言わないだろうから...
「男といたんだってね?....たまたま見たとかいうやつから聞いたわ。」
そう言って、さらりと綺麗な髪を揺らす萌音。
「あんたがわたしよりも早く男をつくるなんて...わたしが許すとでも思った?」
...............な、なにが言いたいんだろう....
嫌な予感しかしない。
「お母さんも黙ってるわけないわよね〜?」
今までの話の流れを聞いていたのだろうか。お母さんが、わたしの部屋にやってきた。
わたしの部屋はあまり広くないから、わたしと萌音とお母さんが入るだけで精一杯。
萌音は、颯爽とわたしの部屋を後にした。今は、お母さんとわたしの二人きり。
この状況は、なにがなんでも避けたかった。
「.......やっぱり、あんたには『お仕置き』が必要みたいね。自分の妹に気さえも使えないなんて!!!」
お母さんは、毎回起こったときは最初にわたしの髪をひっぱる。
そのたびに、わたしの頭皮がそろそろ限界だと訴えているかのような痛みが頭だけでなく全身に走った。
すると、何を思ったのか萌音がわたしの部屋に顔を出した。
「お姉ちゃん、これあんたの?」
そう言って萌音が差し出してきたのは、わたしの唯一の『宝物』だった。
萌音の性格上、これは自分のものにするときの言葉だ。
いつもなら、萌音が欲しがるものはなんでもあげたし与えたいと思っていた。
けど.........これは、いくら萌音の頼みでも応えられない。
「っ、え..そ、それはだめっ.......!」
"それ"を取り返すために必死になったわたしは、お母さんの事を気に留める由もなく萌音からそれを返してもらおうとした。
でも、萌音がそれを持っていた手から反対の手へと移し替え、その速さに反応できなかったわたしは、結局萌音のなにも持ってない手を勢い余って軽く叩いてしまった。
思わず、「あ」と声を漏らす。
「うっ.......うああああん!お姉ちゃんが叩いた〜!!」
............ど、どうしようっ.....
萌音の事、叩いちゃった..........
「............自分の妹に手をあげるなんて、やっぱり出来損ないね!!!」
お母さんは、わたしを部屋の奥へと突き飛ばした。
______最高だった昼の裏庭と、最悪な殴られ蹴られの夜を、わたしは過ごし通した。
side ???
「国王様がいなくなった!!」
「くそっ.....国王様!!!どこですか!!!」
「返事なさってください、国王様!!!」
私は絶対......
[大文字]あの城....『国王』という座に座らない事を誓って、屋敷を飛び出した。[/大文字]
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