虐げられる日々を送っていたら、異世界で戦争を食い止める事になり帝王に鍾愛されました。
side 無呂
「あの子.....人間とライオンのハーフなんだってね。」
「嘘...近づかないでほしいわ。」
「なんで神聖な貿易都市の『アメドロイダ州』に人間とライオンのハーフなんて居るんだ。」
どいつもこいつも、僕を見下すようにしてそう言葉を吐き捨てる。
「..........なろっちを侮辱するなんて....許さない.......」
隣に居た翔ちゃんが、そう言って目をギンギンにしながら忍ばせていたナイフをすっと懐から取り出す。
......翔ちゃんが今何をしようとしているかは、もう検討がついている。
「..........翔ちゃん、いいって。言いたいやつには言わせておけって感じだから。」
「いや、けど...........」
翔ちゃんは、僕のことを心から慕ってくれている。だから、僕の嫌がることは絶対にしない。
僕が物事を拒否ればそれ相応に対応してくれるし、逆に賛同するようなことがあれば翔ちゃんも賛同する。
それくらい、僕と翔ちゃんの関係性はずいぶん深くまで築かれている。
「.............それより....もう、いつ戦が始まってもおかしくないね。」
僕は話をそらすようにそう言って、貿易都市として最も有名な『アメドロイダ州』のあたり一面をぐるりと見渡す。
翔ちゃんは僕のその言葉に一瞬驚いたけれど、すぐにいつもの落ち着いた表情に戻った。
「......せやな........なあ、なろっち。」
珍しい、翔ちゃんからなにか話題を持ち出してくるなんて。
最近は翔ちゃんももうすぐ始まる戦のことで頭がいっぱいだったもんな......
そして、翔ちゃんは僕にこう言った。
__________これが、すべての始まりだったのかもしれない。
「俺らも....戦に参戦しよう。」
.......................はあ?
「いや...驚くのもわかる....けど、なろっちは今『人間とライオンのハーフ』っていうレッテルが貼り付けられてるやん..それを剥がすためには....この戦をうまいこと利用して、もはや腐敗状態のこの国を...建て替えられるほどの権力を手にして、誰に何も文句を言わせないようにするのが、俺は最善やと思って.....」
やたら最後の方の言葉が小さく聞こえたのは気の所為だろうか。
それはまあ置いといて....
確かに....僕らの居る『ロベルト国』の国王が現在行方不明になっていて、その「国王」という座を狙っている者は星の数ほど居る事はもう国内中に知れ渡っている。
..........でも、だからといって、何もない僕と翔ちゃんが戦に参戦したところで、なにか出世のチャンスをもらえるとか、ましてや僕なんかが国王なんて座に居座ることなんてできるはずがない。
その事を了承した上で、僕はしぶしぶ口を開いた。
「すごくいい話だとは思うけど......僕なんかを雇ってくれる軍なんてないだろうし、僕戦いなんてしたことない......それに、軍に加入できなかったら、戦に参加することそのものが不可能じゃない....?」
僕は、てっきり翔ちゃんも「ああそうか...」と言って諦めるんだと思っていた。
_______でも、それは大間違い。
[大文字]「何言ってんの?俺は、あの『アルメ国』の元歩兵団所属の兵士。戦いの道具なんて揃ってるし、軍服なんて作れば良い。それに、仮に軍に加入する事ができなくても俺ら独自が『歩兵団』を立ち上げれば良い。」[/大文字]
いつもは「なろっちなろっち」と言ってぐだぐだしている翔ちゃんだけど、今は.......立派な『兵士』に見えた。
...........だめだ、ここで翔ちゃんの考えを否定してはいけない。
もちろん、僕は何もできないし特別得意な何かがあるわけではない。
でも......せっかく、翔ちゃんが考えてくれたこの案。
「.............あ、いや....ごめん忘れて...戦に参戦するなんて、すごい勇気いる事やもんな....俺となろっち2人はアメドロイダに待機で........」
「ううん、やるよ。」
「そうやんな.......って、え?」
翔ちゃんはさっき以上に目を丸く見開いて僕を見つめた。
「......翔ちゃんがせっかく考えてくれたんだもん.....否定してる場合じゃないよ、僕だって、ちゃんと頭があるんだからね.......でも、僕と翔ちゃん2人だけじゃ、歩兵団を立ち上げるにも立ち上げられない...........じゃあ、今そんな僕らができることは?」
普段お互いの思考があまり交わらない僕ら。
でも、このときはっきり僕と翔ちゃんの声が重なったことを鮮明に覚えている。
「「逸材探しだ!!!」」
[水平線]
ばくばくと、心臓の音が加速していっているのが自分でもよくわかる。
わたしは、クラスメイトの数人の女の子に裏庭に呼び出された。
「ねえあんた、そろそろ萌音ちゃんの事いじめるのやめてくれない?」
「そうだよ、萌音ちゃんが傷ついてるのが見えないの?」
「人の気持も考えられないなんて、哀れな人。」
まるで空から槍が振りかざさってくるかのように投げられたその言葉。
...........いつもいつもお母さんや萌音に言われている言葉でも、さすがにクラスメイトから言われると慣れているわたしでも少し傷ついてしまう。
でも、ここはわたしも萌音と同じで演じ通さなきゃいけない。
.....それが、わたしにできる唯一萌音の役にたてる、シンデレラの手助けをする脇役という役目だから。
だから、今わたしはここで口を開いてはいけない。
わたしはよく選択を間違える。昨日みたいに......選ぶものを間違えて、結局萌音の事を傷つけてしまった。
そんな思いを....クラスメイトにまで、させたくない。
わたしが何も言わないことに逆上したのか、クラスメイトの子が顔を真っ赤にしてわたしの頬を強く叩いた。
鈍い音が、裏庭を覆う。
「だから!萌音ちゃんの嫌がってるんだから今すぐにやめなさいって言ってんの!!」
叩かれた頬が、じんじんする。
でも、これももうなれっこ........お母さんに、たくさん殴られたことはあるから.....
「.............な、なにか言いなさいよ!!!」
再び、クラスメイトの子はわたしに手をあげようとした。
............これは、仕方がないことだから。
わたしが、萌音の役に立てる唯一の方法だと、自分でもきちんとわかっているから。
大丈夫、わかってる、わかってる。最後の最後まで...演じ通すから.....
[大文字]だけど.....一度でいいから...わたしを....好きに、なってほしい......[/大文字]
それが、生涯脇役のわたしの最後の願い。
____________『シンデレラは、最後の最後で逆転勝ちをする』
「...............なにしてんの......?」
ここからわたしとなろ屋さん2人の、鍾愛物語が始まる______
「あの子.....人間とライオンのハーフなんだってね。」
「嘘...近づかないでほしいわ。」
「なんで神聖な貿易都市の『アメドロイダ州』に人間とライオンのハーフなんて居るんだ。」
どいつもこいつも、僕を見下すようにしてそう言葉を吐き捨てる。
「..........なろっちを侮辱するなんて....許さない.......」
隣に居た翔ちゃんが、そう言って目をギンギンにしながら忍ばせていたナイフをすっと懐から取り出す。
......翔ちゃんが今何をしようとしているかは、もう検討がついている。
「..........翔ちゃん、いいって。言いたいやつには言わせておけって感じだから。」
「いや、けど...........」
翔ちゃんは、僕のことを心から慕ってくれている。だから、僕の嫌がることは絶対にしない。
僕が物事を拒否ればそれ相応に対応してくれるし、逆に賛同するようなことがあれば翔ちゃんも賛同する。
それくらい、僕と翔ちゃんの関係性はずいぶん深くまで築かれている。
「.............それより....もう、いつ戦が始まってもおかしくないね。」
僕は話をそらすようにそう言って、貿易都市として最も有名な『アメドロイダ州』のあたり一面をぐるりと見渡す。
翔ちゃんは僕のその言葉に一瞬驚いたけれど、すぐにいつもの落ち着いた表情に戻った。
「......せやな........なあ、なろっち。」
珍しい、翔ちゃんからなにか話題を持ち出してくるなんて。
最近は翔ちゃんももうすぐ始まる戦のことで頭がいっぱいだったもんな......
そして、翔ちゃんは僕にこう言った。
__________これが、すべての始まりだったのかもしれない。
「俺らも....戦に参戦しよう。」
.......................はあ?
「いや...驚くのもわかる....けど、なろっちは今『人間とライオンのハーフ』っていうレッテルが貼り付けられてるやん..それを剥がすためには....この戦をうまいこと利用して、もはや腐敗状態のこの国を...建て替えられるほどの権力を手にして、誰に何も文句を言わせないようにするのが、俺は最善やと思って.....」
やたら最後の方の言葉が小さく聞こえたのは気の所為だろうか。
それはまあ置いといて....
確かに....僕らの居る『ロベルト国』の国王が現在行方不明になっていて、その「国王」という座を狙っている者は星の数ほど居る事はもう国内中に知れ渡っている。
..........でも、だからといって、何もない僕と翔ちゃんが戦に参戦したところで、なにか出世のチャンスをもらえるとか、ましてや僕なんかが国王なんて座に居座ることなんてできるはずがない。
その事を了承した上で、僕はしぶしぶ口を開いた。
「すごくいい話だとは思うけど......僕なんかを雇ってくれる軍なんてないだろうし、僕戦いなんてしたことない......それに、軍に加入できなかったら、戦に参加することそのものが不可能じゃない....?」
僕は、てっきり翔ちゃんも「ああそうか...」と言って諦めるんだと思っていた。
_______でも、それは大間違い。
[大文字]「何言ってんの?俺は、あの『アルメ国』の元歩兵団所属の兵士。戦いの道具なんて揃ってるし、軍服なんて作れば良い。それに、仮に軍に加入する事ができなくても俺ら独自が『歩兵団』を立ち上げれば良い。」[/大文字]
いつもは「なろっちなろっち」と言ってぐだぐだしている翔ちゃんだけど、今は.......立派な『兵士』に見えた。
...........だめだ、ここで翔ちゃんの考えを否定してはいけない。
もちろん、僕は何もできないし特別得意な何かがあるわけではない。
でも......せっかく、翔ちゃんが考えてくれたこの案。
「.............あ、いや....ごめん忘れて...戦に参戦するなんて、すごい勇気いる事やもんな....俺となろっち2人はアメドロイダに待機で........」
「ううん、やるよ。」
「そうやんな.......って、え?」
翔ちゃんはさっき以上に目を丸く見開いて僕を見つめた。
「......翔ちゃんがせっかく考えてくれたんだもん.....否定してる場合じゃないよ、僕だって、ちゃんと頭があるんだからね.......でも、僕と翔ちゃん2人だけじゃ、歩兵団を立ち上げるにも立ち上げられない...........じゃあ、今そんな僕らができることは?」
普段お互いの思考があまり交わらない僕ら。
でも、このときはっきり僕と翔ちゃんの声が重なったことを鮮明に覚えている。
「「逸材探しだ!!!」」
[水平線]
ばくばくと、心臓の音が加速していっているのが自分でもよくわかる。
わたしは、クラスメイトの数人の女の子に裏庭に呼び出された。
「ねえあんた、そろそろ萌音ちゃんの事いじめるのやめてくれない?」
「そうだよ、萌音ちゃんが傷ついてるのが見えないの?」
「人の気持も考えられないなんて、哀れな人。」
まるで空から槍が振りかざさってくるかのように投げられたその言葉。
...........いつもいつもお母さんや萌音に言われている言葉でも、さすがにクラスメイトから言われると慣れているわたしでも少し傷ついてしまう。
でも、ここはわたしも萌音と同じで演じ通さなきゃいけない。
.....それが、わたしにできる唯一萌音の役にたてる、シンデレラの手助けをする脇役という役目だから。
だから、今わたしはここで口を開いてはいけない。
わたしはよく選択を間違える。昨日みたいに......選ぶものを間違えて、結局萌音の事を傷つけてしまった。
そんな思いを....クラスメイトにまで、させたくない。
わたしが何も言わないことに逆上したのか、クラスメイトの子が顔を真っ赤にしてわたしの頬を強く叩いた。
鈍い音が、裏庭を覆う。
「だから!萌音ちゃんの嫌がってるんだから今すぐにやめなさいって言ってんの!!」
叩かれた頬が、じんじんする。
でも、これももうなれっこ........お母さんに、たくさん殴られたことはあるから.....
「.............な、なにか言いなさいよ!!!」
再び、クラスメイトの子はわたしに手をあげようとした。
............これは、仕方がないことだから。
わたしが、萌音の役に立てる唯一の方法だと、自分でもきちんとわかっているから。
大丈夫、わかってる、わかってる。最後の最後まで...演じ通すから.....
[大文字]だけど.....一度でいいから...わたしを....好きに、なってほしい......[/大文字]
それが、生涯脇役のわたしの最後の願い。
____________『シンデレラは、最後の最後で逆転勝ちをする』
「...............なにしてんの......?」
ここからわたしとなろ屋さん2人の、鍾愛物語が始まる______
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