虐げられる日々を送っていたら、異世界で戦争を食い止める事になり帝王に鍾愛されました。
教室に入ると同時に、冷たい視線と独り歩きする噂だけがわたしを覆った。
でもその空間は、わたしにとっての「普通」。
「......また●●ちゃんが[漢字]萌音[/漢字][ふりがな]もね[/ふりがな]ちゃんの事虐げてるんだって、ほんとこりないよね。」
「.......あんな姉を持っているのに...いつも笑顔な萌音ちゃんが聖女に見えるよ。」
「うん、わたしだったら耐えられない。」
心のないクラスメイトたちの声。
耳を塞ぎたくなるけど....これは、仕方がない事なんだ。
わたしの席は、教室の扉からいちばん離れていて日当たりの良い席。自分でもこの席は気に入っていて、読書に最適だと思っている。
朝早くに学校に着いたら必ず本を読んでいるくらい、わたしはとてもこの席を気に入っていた。
そのお気に入りの席へと早く向かいたいわたしは、その席を目指して足を淡々と進める。
途中、クラスメイトの子が「何あの態度」と言って椅子を思い切りガンッと蹴ったのがわかった。
その音に思わず、肩が震える感覚を覚えてしまう。
.....だめだめ、もっとちゃんとしなきゃ.......
わたしは頬を軽く叩き、日当たりの良いあの席を目指す。
....まるで、周りの謙遜にはひと目もくれてないと言わんばかりに....
足を進めている最中、どこからかかわいらしくて甘い声が教室全体に響いた。
少しだけ、どくんと心臓が高鳴ったのがわかる。
「みんな、おはようっ...!」
この可愛い声の持ち主は...わたしの義理の妹、萌音。
「萌音ちゃん、おはよう!」
「あれっ、新しいキーホルダーついてる?」
「かわいい!どこで買ったの!!?」
教室に居た半数以上のクラスメイトは、萌音の元へすぐに駆け寄る。
本当はわたしも萌音とおしゃべりしたいけど.....
それは、できない。
だって...........
萌音は、少し目に涙をうかべながらこう言った。
「.......このキーホルダーは、前につけていたものをお姉ちゃんに取られちゃって.....お姉ちゃんにがんばってお願いしたら、いらないって言われたものをもらっちゃったものなんだ....あれ、小さころから大事にしてたのに.........」
そう言って、萌音はわたしのスクールバッグに目をやった。
...............あ、そういうことだったんだ....
今朝、わたしは萌音からキーホルダーをもらった。
_________
『ねえお姉ちゃん。これ、"今日だけ"学校につけていってもいいわ。』
『えっ...!?萌音、いいの...?』
『うん。でも家に帰ってきたらわたしに返しなさい。』
『嬉しい...!これ、萌音がすごく大事にしてるものだよね..?ありがとうっ...!』
_________
確かに.....わたしが今バッグにつけているのは、萌音のもの。
わたしは萌音がこのキーホルダーをずっと大事にしていることを知っていて、本当にいいのかなってずっと思っていたけど.....
そういうことだったんだ.....
萌音は、瞳をダイヤモンドのようにうるうると輝かせながら、わたしを悲しそうに見つめていた。
それに混ざるように、クラスメイトから、軽蔑するような目も向けられる。
その目に向かって、わたしは思わず訴えたくなってしまう。
............違う、これは萌音がくれた.....
思わず口から滑り落ちてしまいそうだったその言葉を、わたしは漏らさないよう必死にこらえる。
ううん.......だめ、これは萌音の為にわたしができる事だから........
わたしは、もう間近にあったお気に入りの席へガタンと腰をおろした。
[水平線]
「お姉ちゃんっ!今日...一緒に帰らない?......こんなわたしなんかと、嫌かもしれないけど.......」
いつもなら、クラスのもっとかわいい女の子たちと集団になって帰っている萌音。
そんな楽しそうな姿が、わたしは正直少し羨ましかった。
萌音とあんなふうに笑いあえる日がくるといいのにな......ずっと、そう思っていた。
もしかしたら、萌音も同じ気持ちで居てくれてるのかも...!
わたしは、そんな小さな希望を胸に抱き、もちろんと返事をしようとする。
___________でも、そんなにうまくいくわけがなかった。
萌音とわたしには、とある「約束」がある。
それは.......
「だめかな.....?おねえちゃん。」
わたしのことを、わたしにしか聞こえないくらいの声量で「おねえちゃん」と呼んだときは、必ずしなければならないことがある。
わたしは、意を決して口を開いた。
[大文字]「........わたしじゃなくて別の子と帰ってあげれば.....?」[/大文字]
そんな捨て台詞を吐いて、わたしはさっそうと教室をあとにした。
でもその空間は、わたしにとっての「普通」。
「......また●●ちゃんが[漢字]萌音[/漢字][ふりがな]もね[/ふりがな]ちゃんの事虐げてるんだって、ほんとこりないよね。」
「.......あんな姉を持っているのに...いつも笑顔な萌音ちゃんが聖女に見えるよ。」
「うん、わたしだったら耐えられない。」
心のないクラスメイトたちの声。
耳を塞ぎたくなるけど....これは、仕方がない事なんだ。
わたしの席は、教室の扉からいちばん離れていて日当たりの良い席。自分でもこの席は気に入っていて、読書に最適だと思っている。
朝早くに学校に着いたら必ず本を読んでいるくらい、わたしはとてもこの席を気に入っていた。
そのお気に入りの席へと早く向かいたいわたしは、その席を目指して足を淡々と進める。
途中、クラスメイトの子が「何あの態度」と言って椅子を思い切りガンッと蹴ったのがわかった。
その音に思わず、肩が震える感覚を覚えてしまう。
.....だめだめ、もっとちゃんとしなきゃ.......
わたしは頬を軽く叩き、日当たりの良いあの席を目指す。
....まるで、周りの謙遜にはひと目もくれてないと言わんばかりに....
足を進めている最中、どこからかかわいらしくて甘い声が教室全体に響いた。
少しだけ、どくんと心臓が高鳴ったのがわかる。
「みんな、おはようっ...!」
この可愛い声の持ち主は...わたしの義理の妹、萌音。
「萌音ちゃん、おはよう!」
「あれっ、新しいキーホルダーついてる?」
「かわいい!どこで買ったの!!?」
教室に居た半数以上のクラスメイトは、萌音の元へすぐに駆け寄る。
本当はわたしも萌音とおしゃべりしたいけど.....
それは、できない。
だって...........
萌音は、少し目に涙をうかべながらこう言った。
「.......このキーホルダーは、前につけていたものをお姉ちゃんに取られちゃって.....お姉ちゃんにがんばってお願いしたら、いらないって言われたものをもらっちゃったものなんだ....あれ、小さころから大事にしてたのに.........」
そう言って、萌音はわたしのスクールバッグに目をやった。
...............あ、そういうことだったんだ....
今朝、わたしは萌音からキーホルダーをもらった。
_________
『ねえお姉ちゃん。これ、"今日だけ"学校につけていってもいいわ。』
『えっ...!?萌音、いいの...?』
『うん。でも家に帰ってきたらわたしに返しなさい。』
『嬉しい...!これ、萌音がすごく大事にしてるものだよね..?ありがとうっ...!』
_________
確かに.....わたしが今バッグにつけているのは、萌音のもの。
わたしは萌音がこのキーホルダーをずっと大事にしていることを知っていて、本当にいいのかなってずっと思っていたけど.....
そういうことだったんだ.....
萌音は、瞳をダイヤモンドのようにうるうると輝かせながら、わたしを悲しそうに見つめていた。
それに混ざるように、クラスメイトから、軽蔑するような目も向けられる。
その目に向かって、わたしは思わず訴えたくなってしまう。
............違う、これは萌音がくれた.....
思わず口から滑り落ちてしまいそうだったその言葉を、わたしは漏らさないよう必死にこらえる。
ううん.......だめ、これは萌音の為にわたしができる事だから........
わたしは、もう間近にあったお気に入りの席へガタンと腰をおろした。
[水平線]
「お姉ちゃんっ!今日...一緒に帰らない?......こんなわたしなんかと、嫌かもしれないけど.......」
いつもなら、クラスのもっとかわいい女の子たちと集団になって帰っている萌音。
そんな楽しそうな姿が、わたしは正直少し羨ましかった。
萌音とあんなふうに笑いあえる日がくるといいのにな......ずっと、そう思っていた。
もしかしたら、萌音も同じ気持ちで居てくれてるのかも...!
わたしは、そんな小さな希望を胸に抱き、もちろんと返事をしようとする。
___________でも、そんなにうまくいくわけがなかった。
萌音とわたしには、とある「約束」がある。
それは.......
「だめかな.....?おねえちゃん。」
わたしのことを、わたしにしか聞こえないくらいの声量で「おねえちゃん」と呼んだときは、必ずしなければならないことがある。
わたしは、意を決して口を開いた。
[大文字]「........わたしじゃなくて別の子と帰ってあげれば.....?」[/大文字]
そんな捨て台詞を吐いて、わたしはさっそうと教室をあとにした。
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