初めてバイトの人々と出会ったあの時。
それからは疲れさせてはいけないからと宇白に言われ、早めに帰った。

そして今日はバイトの初日だ。[小文字]まあ前の僕を入れたら全然初日じゃ無いのだけれど、言ってしまえば初日だ。うん。[/小文字]

初日に気を緩めて何かを起こしてしまってはいけない。
そうしてしまうと最悪の場合、パートナーをお願いすることができなくなる。

そう思った僕は気を引き締めて、前の日は早く眠りにつくようにした。


そのおかげで僕は早く起きることができた。
しかもかなり時間があまるほどに。

ゆっくりだが顔を洗い、歯を磨き、服を着替えて朝ごはんを食べた。

それでも時間があまるため、のんびり育成ゲームでもして暇を潰していた。
そんなこんなをしていると出発時間。僕は再び気を引き締めて向かった。


家から夜凪カフェまでは徒歩とバスで４０分らしい。

が、しかし僕の徒歩はかなり遅いため、１時間前に出るようにした。


カフェまでの道のりをゆっくりと過ごす。
つい最近まで病院にいたからかどこか胸の高鳴りを感じる。


今日は何ができるのだろうか。何をするのだろうか。

期待と不安が入り混じった心情のまま、僕は夜凪カフェへ足を再び踏み入れた。



「[漢字]早上好[/漢字][ふりがな]おはよう[/ふりがな]。今日はよろしくナ。」

ちりん、となった鈴の音に反応した宇白が出迎えてくれた。

宇白に挨拶をすると彼は温かな目で見てくれる。


僕はその後、宇白に連れられカフェのスタッフルームへ連れてかれた。

そこには案の定、涼夜の姿も。


「やほ。おは。今日もよろしく。」

何かの資料を手にし、寝転がっている涼夜。
本当にこの人が店長なのかと少し疑う。そんな気持ちのまま僕は涼夜に会釈をした。


「阿、小 朱雨。今日は仕込みの日だから、皆の手伝いをお願いすル。呼ばれたらゆっくりでいいからやッてほしイ。」


仕込みの日。
それは嘘だ。僕はネットで今日が営業か確認したから知っている。
通常だったら開けている日なのに今日は休みになっていた。こんな言葉をつけて。


『本日は休みとさせていただきます。なんか仕込み追いつかなかったので。（＾ω＾）　by店長』


ちゃんと絵文字もつけていた。
ちょっとウザいようなそんな感じの絵文字だ。

こんなことしたら評判が下がるのでは無いかとほんの少し思ったが、全然そんなことなかった。

なんなら、「おもろ」と言うことでバズっていた。
何それって感じだ。


そんな書き方でも考えたら僕でもわかる。
おそらく僕の練習日として休みにしてくれたんだろう。

宇白が提案してくれたのだろうか。かなり嬉しい。



それには答えなくてはいけないだろう。

俺はそう確信して、宇白の頼みに大きく頷いた。