「いらっしゃいませ！！って、わぁぁ！！！朱雨くんだ！！！」

店員の一人の男の子が話しかける。


僕は頑張ってこの人が誰なのか思い出そうとしたが無理だった。

元気いっぱいの性格に伴っているのか髪も元気いっぱい。体育系男子というような人だ。おそらくだが運動するのは好きだろう。


「えっと、、すみません、名前が思い出せなくて、、」
僕が申し訳ないというようにそう述べる。

「あっ、ごめんね！思い出せないよねっ、あっ全然大丈夫だからね？！えっと、僕は[漢字]塁瀬　楽奇[/漢字][ふりがな]るいせ　らき[/ふりがな]！　17歳の高校生でーす！！」

ピースを作って上記を述べる彼は想像していた通り年下の子だった。


楽奇の声で気づいた二人の店員はこちらへ寄ってきた。

「ようやく帰ってきたんや。となりの人は看護師さんか？」

ケモ耳フードを着た男の人が看護師をじっと見る。


看護師は内装に感動して、帰るのを忘れていたらしい。

ケモ耳フードの男の人に言われてから「お願いします」と言ってから僕に手を振るとそそくさと病院に帰っていった。


「あ、自己紹介遅れたわ。妾は[漢字]狐陽[/漢字][ふりがな]こよう[/ふりがな]やで。妾は料理作る担当や。」

看護師が帰って少しした時、先ほどのケモ耳フードの男の人が自己紹介をした。
さっきも思ったが関西弁を使っている気がする。


僕が狐陽に一礼した時、狐陽の隣で僕にノートを見せている男の子を見つけた。


礼を終えてその子を見てみる。その子はへにゃ、と笑って、ノートを僕にみせた。ノートにはこう書かれている。

『おかえり。待っとったよ。僕は[漢字]七宮　星界[/漢字][ふりがな]ななみや　せいか[/ふりがな]や。担当はお菓子を作ることや。』

星界も方言を使うらしい。なんとなく金沢弁だと思う。
黒いウルフ髪に肌は白い。そして瞳は黒い。そのためか白黒のような人だ。
しかし悪いことではなく、星界の容姿は人を惹きつけそうなほど綺麗だ。


その人に少しの間見惚れていたら後ろからつんつん、と突かれた。


慌てて後ろを向くとそこには髪をハーフアップにくくっている男の人。
背の高さは同じぐらいなのだが、僕より男前でかっこいい。


「[漢字]歡迎回來[/漢字][ふりがな]おかえり[/ふりがな]。帰ッてきてくれて嬉しイ。」

中国語。何を言っていたのかは僕はわからないが、温かい言葉だと言うことだけはわかった。


「我は[漢字]李　宇白[/漢字][ふりがな]リ　ユーハク[/ふりがな]。またよろしくネ。阿、我はここの副店長。」

少しぎこちない気もするが日本語が上手い。


ってこの人が副店長？！
僕はかなり驚いた。店長だと思ってしまっていたからだ。恥ず、。


驚いている僕を宇白は「こっち。」と言って裏へ連れて行く。




裏に連れてかれた僕は絶句した。
ヤグザ。ヤグザがそこにいるのだ。

大きいソファを一人で使い、手には煙草。頬には傷跡。そして腕にはおそらく最近できた傷を治すための包帯。

いやいや、え？この人誰、？まさかこの人も店員なのだろうか。

と嫌なことを想像するも、この人は僕の想像をはるかに超えていった。


「あ、やほ。俺、店長の[漢字]桜坂　涼夜[/漢字][ふりがな]さくらざか　りょうや[/ふりがな]。よろ。」


横向いていた体を正面に向けるとタバコを持った手でひらひらと手を振ってみせた。

て、て、店長？！この人が、、というのは顔にも出ていたらしく、涼夜はこう続ける。


「初めてきた時と同じ反応するじゃん。おもろ。」


おもろ、と言うものの笑っていない。不思議な人だ。




僕が店長を気まずそうに見つめていると狐陽がこちらへきた。

「涼夜？結衣斗起きたで。」

その言葉をきいて涼夜はこちらへ来るようにと指示した。結衣斗、まだ他にも店員がいるのだろうか。


しかし、涼夜が指示をして数十分。

まだ誰も来ない。え？と驚いていると更に奥の部屋から一人の男の子がふらふらな足取りでこちらへきた。


「おはよ。結衣斗。」

「うんー。おはよー。りょーや。」


出てきたその人の声はまだまだ眠そうだ。全体的に真っ暗で、肌は少し青白い。少し心配になる容姿をしている。彼はまだ眠いというようにふわぁ、と欠伸する。

そんな彼も僕を認識すると目を丸くした。そしてゆっくりな声で彼もまた、方言で話した。


「え、いづ帰ってぎぢゃー？、、あ、今？それは[漢字]おべねなあ[/漢字][ふりがな]知らないや[/ふりがな]ー。
えっと、記憶喪失であったっけ？
俺、[漢字]明野　結衣斗[/漢字][ふりがな]あきの　ゆいと[/ふりがな]。ネットどがそったの担当すてら。よろすくね。」


本当だったら何言ってるだろうと困惑するのだが、感覚が覚えているのか彼の言う言葉は理解できた。
おそらく青森。津軽弁だ。




と、いうか、、個性的な人多すぎないか。なんて思って苦笑する。

これからここでやっていけるのだろうか、、、