このカフェは普通じゃない。
それから僕は朝になると自分の名前や年齢を呟き、覚える様にしていった。
いわゆるリハビリに近い何かだろう。
覚えが悪い僕は自分のことを覚えるのに1ヶ月ぐらいはかかった。
1ヶ月でもすらすら、と言えるわけではない。でも先生はそろそろ外にも出てみようと言ってくれ、僕は外に出ることにした。
さぁぁ、と吹く心地よい風はまるで僕をこの世界に歓迎している様だった。
病院付近の道を歩く。
木々が並ぶ道路に綺麗な空。そこに浮かぶ飛行機雲に、あたたかい日差し。
なんて輝かしいのだろう。僕はすぐに散歩をすることを気に入った。
↺
記憶喪失だと伝えられてはや3ヶ月。
僕はとうとう退院することができた。自分の家に帰っていいらしい。
しかし僕は困ったことに頼れる人がいない。僕のことを覚える時に医者に告げられたのだ。
[中央寄せ][太字]僕には両親がいない。[/太字][/中央寄せ]
捨て子らしい。いわゆる、施設育ちなのだ。
記憶喪失者にはパートナーが必要だ。
しかし施設育ちの僕には身内に頼れる人が全くいない。
どうしたものか。そう考えていた時、医者にこういう提案をされた。
「そうですね、、バイト先の方を頼るのも一つかと。」
そうだった。僕には正式社員になりたいぐらい気に入っていたバイト先があるんだった。
身内にも施設にもお願いできない僕からしたら希望の光だった。
「そこで、パートナーを見つけても、、いいんですか?」
「ええ。勿論ですよ。」
僕はそこに希望をかけることにし、看護師と共にそこへ向かった。
↺
「病院をでて、まず真っ直ぐにーー。」
看護師からバイト先の行き先を教えてもらった。
ちなみにバイト先は夜凪カフェというカフェらしい。
少し入り組んだところにあるのだがメニューのおしゃれさや店員の接客態度や個性に惹かれ、わざわざ他府県から来る人も多いのだとか。
病院からバイト先までは30分。
僕の体力は全然ない。そのため10分経って休憩、10分経って休憩、というようにして向かった。
そのため行くだけで1時間ぐらいは経ってしまっていた。
「すみません、、」
僕が謝ると看護師は綺麗に微笑んでこう答える。
「何をおっしゃいますか。無理をして行く方が体に毒です。行こうとしているその姿勢があればどんなにゆっくりでも嬉しいですよ。」
僕は看護師に礼を言った。
そしてようやくついたカフェを見つめる。
看板は上は紺色で、下に行くほど明るくなっていく、そんなグラデーションの看板だ。
みるからに夜空を描いている。
建物は全体的に白い。しかし、窓枠や扉、花壇などが綺麗な夜空色だ。
「おしゃれ、、、」
そう呟くほかなかった。
「いきましょうか?」
看護師にそう言われて僕は頷いた。
そして、僕のバイト先、夜凪カフェに足を入れた。
いわゆるリハビリに近い何かだろう。
覚えが悪い僕は自分のことを覚えるのに1ヶ月ぐらいはかかった。
1ヶ月でもすらすら、と言えるわけではない。でも先生はそろそろ外にも出てみようと言ってくれ、僕は外に出ることにした。
さぁぁ、と吹く心地よい風はまるで僕をこの世界に歓迎している様だった。
病院付近の道を歩く。
木々が並ぶ道路に綺麗な空。そこに浮かぶ飛行機雲に、あたたかい日差し。
なんて輝かしいのだろう。僕はすぐに散歩をすることを気に入った。
↺
記憶喪失だと伝えられてはや3ヶ月。
僕はとうとう退院することができた。自分の家に帰っていいらしい。
しかし僕は困ったことに頼れる人がいない。僕のことを覚える時に医者に告げられたのだ。
[中央寄せ][太字]僕には両親がいない。[/太字][/中央寄せ]
捨て子らしい。いわゆる、施設育ちなのだ。
記憶喪失者にはパートナーが必要だ。
しかし施設育ちの僕には身内に頼れる人が全くいない。
どうしたものか。そう考えていた時、医者にこういう提案をされた。
「そうですね、、バイト先の方を頼るのも一つかと。」
そうだった。僕には正式社員になりたいぐらい気に入っていたバイト先があるんだった。
身内にも施設にもお願いできない僕からしたら希望の光だった。
「そこで、パートナーを見つけても、、いいんですか?」
「ええ。勿論ですよ。」
僕はそこに希望をかけることにし、看護師と共にそこへ向かった。
↺
「病院をでて、まず真っ直ぐにーー。」
看護師からバイト先の行き先を教えてもらった。
ちなみにバイト先は夜凪カフェというカフェらしい。
少し入り組んだところにあるのだがメニューのおしゃれさや店員の接客態度や個性に惹かれ、わざわざ他府県から来る人も多いのだとか。
病院からバイト先までは30分。
僕の体力は全然ない。そのため10分経って休憩、10分経って休憩、というようにして向かった。
そのため行くだけで1時間ぐらいは経ってしまっていた。
「すみません、、」
僕が謝ると看護師は綺麗に微笑んでこう答える。
「何をおっしゃいますか。無理をして行く方が体に毒です。行こうとしているその姿勢があればどんなにゆっくりでも嬉しいですよ。」
僕は看護師に礼を言った。
そしてようやくついたカフェを見つめる。
看板は上は紺色で、下に行くほど明るくなっていく、そんなグラデーションの看板だ。
みるからに夜空を描いている。
建物は全体的に白い。しかし、窓枠や扉、花壇などが綺麗な夜空色だ。
「おしゃれ、、、」
そう呟くほかなかった。
「いきましょうか?」
看護師にそう言われて僕は頷いた。
そして、僕のバイト先、夜凪カフェに足を入れた。
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