二次創作
ヒカリと裏
「久しぶりだね――――――織田作」
私――○○●●は友人の墓地に来ていた。
すでにあの銀行強盗事件から始まったこの騒動は収まっており、銀行強盗事件に関してはきちんと表向きの情報もつけて無事解決した、と報道陣には伝えた。
フウカとアヤセ―――私のお母さんとお父さんは異能特務課らに連行され、今は刑務所に入っている、とのことだった。
後日裁判が行われ、裁きを受けるだろう。
お母さんは異能力犯罪を多く行っていたのできっとムルソー…欧州にある、限られた人しか知らない、異能犯罪を犯した危険異能犯罪者のための刑務所行きにほぼ決定。
お父さんも異能力を持ってないこそすれど、お母さんの異能をよく使っていた…借りていたので重い罪に裁かれるだろう。
あと二人は私を育児放棄したのできっとその罪にも問われるだろう。
裁かれるだけマシな方だなと私は思った。
「いつもは[漢字]治[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]と[漢字]安吾[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]が来ているみたいだし、昨日も治が[漢字]織田君[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]に会いに行っていたみたいだから行かなくてもいいかなって思ったけど……、どうしても織田作に云いたいことがあったから来たよ。………あ、私からも 花、置いておくね」
私は[太字]黄色のデンファレ[/太字]を墓前に置き、墓石を少し撫でた。
「私ね、やっと自分の思いに蹴りをつけることができたんだ」
「……本当はお母さんとお父さんを殺したくなかったんだ、私は。」
―――気付いてたけど、気付きたくなかった本音。
「四年前の時は殺気を剥き出していたし、あれからも殺したいと本気で思っていた。」
「…けれど、出来ないんだ。私が凡人……一般人?としての常識を持っていたから」
今思えばお母さんたちは私を、ある日突然置いていく、という最悪な突き放し方だったが、あれはお母さんたちが生きている世界に私が足を突っ込まないようにしていたのだと思う。
しかし、そうはならなかった。
誘われて、だったが、自分から足を突っ込んだと云っても過言ではない。
「これもそれも、全部四年前に再会してから気付いていた。気付いていたのに………っ!」
何故私は、感謝の言葉を、親に「ありがとう」というたった五文字の言葉をそのまま云えないのだろう。
涙が溢れ出た。
その涙は止まらなかった。
「っっっ。…………、[明朝体][太字]"涙 溢れるな"[/太字][/明朝体]って思ってるのに」
苦笑しながらここに誰も居ない筈なのに[明朝体][太字]"誰にも気付かれないように 静かに息を吐き出して 堪えて飲み込んだ"[/太字][/明朝体]。
[中央寄せ] ヒュゥッ [/中央寄せ]
風が吹きやすいこの街で風が吹いた。
強くも弱くもない、暖かい風が。
葉が揺れた。
小鳥のさえずりが聴こえた。
遠くに見える海から細波が聴こえた。
彼が答えてくれているみたいに。
―――本当の想いに気付けたならそれだけでも充分善いことではないのか?
「………!」
彼の声が聞こえた気がした。
…後ろを振り返ってみたが、誰もいない。
「――織田作のお陰でもう一度ヒカリの世界に戻れたよ。ありがとう。…………[小文字][小文字]織田作には云えるのになぁ[/小文字][/小文字]…………」
「私ってば、ずっとヒカリと裏の世界、ずっとその狭間を駆け抜けていたけど、もう一度、しっかりとヒカリの世界に居ることが出来そうだよ。……仕事が仕事だけど」
「あとは……父さんにも、か。あの人、優しいのかよく判らないけど………ま、いっか。[漢字]家族[/漢字][ふりがな]プライベート[/ふりがな]問題を解決出来たのだから、少しぐらい感謝の言葉云っとくか。…………………[小文字]他は許してません、ハイ[/小文字]」
私は立ち上がった。
「それじゃあ、私は行くね、織田作。勝手に一人でべらべらと喋ってごめん。それでも_______私の話を聞いてくれていたら嬉しいな」
―――[明朝体][太字]"私のまんまで走れているかな"[/太字][/明朝体]
友人に訊こうと思ったが、[明朝体][太字]"私のまんまで走れるように 振り向かない 今は"[/太字][/明朝体]。
私は親という巣から巣立った今、本当の意味で一人前の大人になった。
これからもきっと様々な困難に立ち向かうと思う。
それでも――――――、
「(それでも、私は進み続ける)」
[明朝体][太字]"私には何があり 何ができるのか"。
"答えを探して 踏み出す"。
"未来へ"と。[/太字][/明朝体]
[中央寄せ]「ヒカリと裏」 マイマイ作
―完―
[/中央寄せ]
黄色のデンファレ
……10月26日の誕生日花。織田作之助の誕生日花の一つ。
……花言葉は「愛の暖かさ」「友情」
引用させてもらった曲(歌詞)
……『Lily』 ラックライフ
TVアニメ「文豪ストレイドッグス」第三期ED曲
私――○○●●は友人の墓地に来ていた。
すでにあの銀行強盗事件から始まったこの騒動は収まっており、銀行強盗事件に関してはきちんと表向きの情報もつけて無事解決した、と報道陣には伝えた。
フウカとアヤセ―――私のお母さんとお父さんは異能特務課らに連行され、今は刑務所に入っている、とのことだった。
後日裁判が行われ、裁きを受けるだろう。
お母さんは異能力犯罪を多く行っていたのできっとムルソー…欧州にある、限られた人しか知らない、異能犯罪を犯した危険異能犯罪者のための刑務所行きにほぼ決定。
お父さんも異能力を持ってないこそすれど、お母さんの異能をよく使っていた…借りていたので重い罪に裁かれるだろう。
あと二人は私を育児放棄したのできっとその罪にも問われるだろう。
裁かれるだけマシな方だなと私は思った。
「いつもは[漢字]治[/漢字][ふりがな]・[/ふりがな]と[漢字]安吾[/漢字][ふりがな]・・[/ふりがな]が来ているみたいだし、昨日も治が[漢字]織田君[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]に会いに行っていたみたいだから行かなくてもいいかなって思ったけど……、どうしても織田作に云いたいことがあったから来たよ。………あ、私からも 花、置いておくね」
私は[太字]黄色のデンファレ[/太字]を墓前に置き、墓石を少し撫でた。
「私ね、やっと自分の思いに蹴りをつけることができたんだ」
「……本当はお母さんとお父さんを殺したくなかったんだ、私は。」
―――気付いてたけど、気付きたくなかった本音。
「四年前の時は殺気を剥き出していたし、あれからも殺したいと本気で思っていた。」
「…けれど、出来ないんだ。私が凡人……一般人?としての常識を持っていたから」
今思えばお母さんたちは私を、ある日突然置いていく、という最悪な突き放し方だったが、あれはお母さんたちが生きている世界に私が足を突っ込まないようにしていたのだと思う。
しかし、そうはならなかった。
誘われて、だったが、自分から足を突っ込んだと云っても過言ではない。
「これもそれも、全部四年前に再会してから気付いていた。気付いていたのに………っ!」
何故私は、感謝の言葉を、親に「ありがとう」というたった五文字の言葉をそのまま云えないのだろう。
涙が溢れ出た。
その涙は止まらなかった。
「っっっ。…………、[明朝体][太字]"涙 溢れるな"[/太字][/明朝体]って思ってるのに」
苦笑しながらここに誰も居ない筈なのに[明朝体][太字]"誰にも気付かれないように 静かに息を吐き出して 堪えて飲み込んだ"[/太字][/明朝体]。
[中央寄せ] ヒュゥッ [/中央寄せ]
風が吹きやすいこの街で風が吹いた。
強くも弱くもない、暖かい風が。
葉が揺れた。
小鳥のさえずりが聴こえた。
遠くに見える海から細波が聴こえた。
彼が答えてくれているみたいに。
―――本当の想いに気付けたならそれだけでも充分善いことではないのか?
「………!」
彼の声が聞こえた気がした。
…後ろを振り返ってみたが、誰もいない。
「――織田作のお陰でもう一度ヒカリの世界に戻れたよ。ありがとう。…………[小文字][小文字]織田作には云えるのになぁ[/小文字][/小文字]…………」
「私ってば、ずっとヒカリと裏の世界、ずっとその狭間を駆け抜けていたけど、もう一度、しっかりとヒカリの世界に居ることが出来そうだよ。……仕事が仕事だけど」
「あとは……父さんにも、か。あの人、優しいのかよく判らないけど………ま、いっか。[漢字]家族[/漢字][ふりがな]プライベート[/ふりがな]問題を解決出来たのだから、少しぐらい感謝の言葉云っとくか。…………………[小文字]他は許してません、ハイ[/小文字]」
私は立ち上がった。
「それじゃあ、私は行くね、織田作。勝手に一人でべらべらと喋ってごめん。それでも_______私の話を聞いてくれていたら嬉しいな」
―――[明朝体][太字]"私のまんまで走れているかな"[/太字][/明朝体]
友人に訊こうと思ったが、[明朝体][太字]"私のまんまで走れるように 振り向かない 今は"[/太字][/明朝体]。
私は親という巣から巣立った今、本当の意味で一人前の大人になった。
これからもきっと様々な困難に立ち向かうと思う。
それでも――――――、
「(それでも、私は進み続ける)」
[明朝体][太字]"私には何があり 何ができるのか"。
"答えを探して 踏み出す"。
"未来へ"と。[/太字][/明朝体]
[中央寄せ]「ヒカリと裏」 マイマイ作
―完―
[/中央寄せ]
黄色のデンファレ
……10月26日の誕生日花。織田作之助の誕生日花の一つ。
……花言葉は「愛の暖かさ」「友情」
引用させてもらった曲(歌詞)
……『Lily』 ラックライフ
TVアニメ「文豪ストレイドッグス」第三期ED曲