【敦視点】






数十分前。

●●を追うことが出来なかったのは●●の殺気に気圧されただけではない。



――●●にあることを云われたからである。



「……本当は殺す[漢字]心算[/漢字][ふりがな]つもり[/ふりがな]はありません」

「え」

「その代わりに、ある事を頼みたいのですが…」

「――いいよ。云ってみたまえ」

「ありがとうございます。――――――」

そこで敦と太宰はこの後の作戦を聞いたのだ。

その作戦を順にまとめていくと、





1．●●があいつら(2人)を追い詰める。
2．その間、敦と太宰は軍警、中でも異能特務課と関わりが深い支部へ連絡。
3．軍警が此方へ来たら、●●の合図が出るまで見つからないよう待機。





敦達が来るまで●●が時間稼ぎする、というのがこの作戦の要なのだが、

敦には一つ気がかりが。

「じゃあ、何故、殺す、と…？矛盾しているように感じます」

先程はあんなに殺す、と云っていたのに、本当のことを聞くと捕らえて軍警に引き渡す、と云うのだ。

何故こんなにも[漢字]差[/漢字][ふりがな]ギャップ[/ふりがな]が？






「……それは軍警に引き渡す時に判りますよ、きっと」