俺は麦茶の入ったコップを２つ持って席に戻った｡
｢｢いただきまーす｣｣
しょうが焼きを一口食べる｡
美味しい、美味しすぎる｡今死んでも構わないぐらい幸せだ｡
明は...（チラッ）
あ、めっちゃ顔が緩んでる...!さぞ美味しいだろうに｡

しかし突然、さっきの黒神の発言が、俺の頭をよぎった｡
『お前みたいな陰キャが明ちゃんの彼氏になれると思うなよ？』
あの言葉の真意はなんなんだろうか｡ああ、俺に恋心さえ分かれば...!
しかし、黒神が明に何か気があるのは確かだろう。
明はそれに気づいているのか...?
俺は思い切って話題を振った。
｢なあ、明｡｣
｢ん?｣（もぐもぐ）
｢あ、飲み込むまで待つわ｡｣


（ごくり）｢...で、さっき言おうとしてたのは?｣
｢ああ｡あの、......明って、黒神とどういう関係なんだ?｣
さすがにストレートに聞きすぎたか｡やばし｡
しかし、次の瞬間、予想外の答えが返ってくる｡
｢ああ、進?進とは幼馴染みだよ?｣
｢え???｣
｢ちっちゃい頃から、ご近所さんで、家族ぐるみで仲が良かったの｡今はもう引っ越しちゃって、中学生の時以来全然喋ってないけど。｣
え～と、黒神視点は、幼馴染みの女の子が他の男子と外を歩いてるところを見て、彼氏になるんだと勘違いし、あの発言をしたということか...｡
なんで?ぜんっぜん分かんないんだけど｡分からないのは俺だけなのか?他の人ならすぐ気づくのか?
結局発言の真意は分からないままだった｡それにしても、黒神、明と幼馴染みだったっんだな...｡
｢影道くん?｣
｢ああ、ちょっと考え事してて｡教えてくれてありがとう｡｣
明が不思議そうな顔をしてこちらを見つめる｡
俺は不安とモヤモヤをかき消すために、しょうが焼きを食べ進めた｡