「朝だって言ってるだろっ！！起きろ！！」

どんっと私の体が壁に強くあたった。

しかし痛さよりも、ゆきがそばにいない現実への絶望の方が大きかった。

仕方なく小さく返事をすると、私はずるヾと鉛のような足を動かして学校へ向かった。

そしてまた一人、椅子に座り、無視されるだけの日々、とまた考え事をしていた。

しばらくしてあることに気がついた。冷たい。冷たい何かが私を濡らしている。冷水だ。

私はいつのまにか冷水を浴びていた。クラスメイトに目を向けるとけらヾと笑っている。
あーあ、やられた。

「こんな世界なんて█████。」

ぼそ、と呟いても誰も助けてはくれない。
そして私はまた憂鬱な放課後を迎えた。



どこか風が気持ちいい。あれ、私はどこにいるんだろうか。
ついさっきまでは教室にいた。風？

疑問に思って辺りを見渡すと本来、行けないはずの屋上。

自然と体が動いてここにいたようだ。体はまだ動いている。
私の意思関係なく。柵を越えた。飛び降りてしまうかもしれない。

「やっ、、やだっっ！！」

そう叫ぶと、体はぴたりと止まった。
体は飛び降りることを望んでいたようだが、まだ死ぬのは怖い。

あまりの怖さに過呼吸になってしまい、私は屋上のドアを開け、階段に座り込んだ。

そして手首を自分に向けると、長い袖をくいっと捲った。傷跡だらけの手首。そこに私はまた傷を付けた。

「はぁ、、帰りたくない、生きたくない、ゆき、、ねぇ、、誰かぁっ、、助け、、てっ、、」

誰もいない階段で一人涙を溢した。ふと気がつく。

私は何に怖がっているのだろう。『死』なんて、自分自身を傷つけている私が怖がるものなのだろうか。何怖がってんだ。私。

そんな事を改めて思ってしまい、私はまた屋上のドアを開き、てくヾと夕日が見える屋上を歩いていった。

そしてゆっくり柵を越えた。先ほどの怖さはなく、なぜか私の心には開放感があった。


[中央寄せ]「　これで全て終わり。今から行くね。
　　　　ゆき。　　　　　　　　　　　　　　」[/中央寄せ]


そう呟くと後ろを向き、目を閉じて、両手を広げ、そして後ろへ倒れた。

これで、全てが終わる。