私のリーパー
ふと目が覚めた。
いや、正確には僕は幽霊離脱しているかのように。
ぷかぷかと浮かぶ僕。僕が見下ろす先にはベットに横たわっている僕の姿。
点滴が3つもつけられ、口にはリザーバーマスク、隣には心電図が映る器械。包帯でぐるぐる巻きにされた体。
何人ものナースと1人の医者。そして養護施設の人。
彼らは僕のことが見えていないようで、目の前へ降り立っても無反応で、ただただ涙を流しているだけだった。
「一生目を覚さない可能性もある、のですか?」
震えた声でそう話す養護施設の人。
「、、ええ。ただ可能性の話であって、、現に心臓は止まっていないので、また起き上がる可能性もあります」
どこか申し訳なさそうに、どこか悲しそうに話す医者。
そんな2人の会話が聞こえる。会話を聞く限り僕は死と生の狭間にいるらしい。
ただ、僕は幽霊離脱をしている僕を信じきれず、これは夢だと思った。
ならば覚めた時には僕はどうなっているのだろうか。
もしかしたら覚めたと思えば真っ暗の世界に行かされるのではないか。
そう考えるとゾッとする。こんなことを考えるのはもうやめにしよう。考えたら不安になるだけだ。
それならばこの夢が覚めるまで遊び尽くしてやろう。そう思ったのだ。
幽霊離脱した体は思った以上に楽しかった。
映画といわれているものを無料で体験できたり、人とぶつかることを気にしなくていいので大通りをくるくると走り回った。車にぶつかることもない。
自由の体とはこのことだろうか。空腹にもならないらしく、ご飯はいらない。無料でつまみ食いすることもできるが、僕の善意が許さなかったのであきらめる。
寝ることはできた。起きてもまだこの体のままで、この夢はよくできているなと感じる。
何にも囚われない生活をしているようで、少し楽しかった。
しかし、こんな生活もすぐに辛く感じるようになる。話し相手がいないのだ。
あられがいないこの世はやはりつまらない。誰も僕を見えないから、僕は橋の塀を登り、座り込んだ。
誰かここから落としてくれたらいいのになんて思っても誰も押してくれない。見つけてもくれない。
[小文字]「寂しいよ、」[/小文字]
なんて呟く。まあ、誰からも返事なんて__
[中央寄せ][太字]「寂しいかい?」[/太字][/中央寄せ]
僕はハッと前を見た。僕の声を聞いた人が目の前にいる。
しかし目の前はゆらゆらと流れる川。
なんだ、幻聴か。とうとう僕は寂しさのあまり幻聴を聞くようになってしまったのか。
なんて思った時、上から揶揄いの声が聞こえた。
「ふっ。幻聴じゃないさ。」
上を見上げるとそこには黒い羽に白い輪っかを、そして大きな鎌を持った女が1人いた。
これが物語に出てくる死神というものなのか。僕にも迎えがきたのか。
なんて思う。
死神をじっと見つめてると、僕に向かってこう言った。
[中央寄せ][太字]「暇なら死神になるかい?」[/太字][/中央寄せ]
意味がわからなかった。何を言ってるんだ。なんて思うが、その容姿で言われるとどこかしっくりとくる。
「死神、?僕が?」
「ああそうさ。死神。死に際のやつには出会えるぞ?」
「僕やっぱり死んでるの?」
「さあ。それは私は知らないね。でもその体だと死神はできる。それだけは知っているね。」
「そう。」
死神と対話しているうちに僕はここは夢でないのだと思い始めた。
そらそうか。こんなに詳しく、細かく、そしてとても長い夢なんかあるか。自己解決をしながら僕は死神に向かって頷いた。
こんな体になったんだ。もう何でもやってやる。
頷いた僕を見ると死神は、にやっと笑う。
そして僕の額にデコピンをした。
その反動か、驚きか。僕は目の前の川に落ちた。
今まで水さえも僕を反応してくれなかった。が、しかし今度は違うようで大きく音を立てて水が跳ねた。
橋にいる人々はどよめく。僕は軽く動きやすい体で水の中を泳ぐと、橋の下の岸へと向かった。
「ぷはぁ、、終わりかと思った、、」
なんて僕が呟くと死神はへらっと笑う。
「終わらないさ。その体の間はね。」
死神のせいで落ちたのだろう、なんて思い睨むが、死神は表情を変えなかった。
ずぶ濡れの僕に死神はタオルを投げる。そして黒いパーカーに鎌も。
僕はもらったタオルで髪や顔を拭いた。髪や顔を拭くと何の魔法か、服も自然と乾いていた。
白いTシャツの上から黒いパーカーを羽織り、前を締める。鎌をひょいっと持ち上げると、死神は、にっと笑う。
「いいね。様になってるよ。私は黒瀬。よろしくな。新人くん。」
「新人くんじゃない。白羽。」
「白羽かぁ、それだと天使じゃないか。じゃあ今度から黒羽と名乗れ。」
「死神だから?まあいいけど。僕もこの名気に入ってなかったからさ。」
「ふっ。偉そうな新人だな。まあいいさ。今から先輩の黒瀬様が死神のやることとできることを話してやるよ。」
そうはなそう話す黒瀬はどこか楽しそうだった。
いや、正確には僕は幽霊離脱しているかのように。
ぷかぷかと浮かぶ僕。僕が見下ろす先にはベットに横たわっている僕の姿。
点滴が3つもつけられ、口にはリザーバーマスク、隣には心電図が映る器械。包帯でぐるぐる巻きにされた体。
何人ものナースと1人の医者。そして養護施設の人。
彼らは僕のことが見えていないようで、目の前へ降り立っても無反応で、ただただ涙を流しているだけだった。
「一生目を覚さない可能性もある、のですか?」
震えた声でそう話す養護施設の人。
「、、ええ。ただ可能性の話であって、、現に心臓は止まっていないので、また起き上がる可能性もあります」
どこか申し訳なさそうに、どこか悲しそうに話す医者。
そんな2人の会話が聞こえる。会話を聞く限り僕は死と生の狭間にいるらしい。
ただ、僕は幽霊離脱をしている僕を信じきれず、これは夢だと思った。
ならば覚めた時には僕はどうなっているのだろうか。
もしかしたら覚めたと思えば真っ暗の世界に行かされるのではないか。
そう考えるとゾッとする。こんなことを考えるのはもうやめにしよう。考えたら不安になるだけだ。
それならばこの夢が覚めるまで遊び尽くしてやろう。そう思ったのだ。
幽霊離脱した体は思った以上に楽しかった。
映画といわれているものを無料で体験できたり、人とぶつかることを気にしなくていいので大通りをくるくると走り回った。車にぶつかることもない。
自由の体とはこのことだろうか。空腹にもならないらしく、ご飯はいらない。無料でつまみ食いすることもできるが、僕の善意が許さなかったのであきらめる。
寝ることはできた。起きてもまだこの体のままで、この夢はよくできているなと感じる。
何にも囚われない生活をしているようで、少し楽しかった。
しかし、こんな生活もすぐに辛く感じるようになる。話し相手がいないのだ。
あられがいないこの世はやはりつまらない。誰も僕を見えないから、僕は橋の塀を登り、座り込んだ。
誰かここから落としてくれたらいいのになんて思っても誰も押してくれない。見つけてもくれない。
[小文字]「寂しいよ、」[/小文字]
なんて呟く。まあ、誰からも返事なんて__
[中央寄せ][太字]「寂しいかい?」[/太字][/中央寄せ]
僕はハッと前を見た。僕の声を聞いた人が目の前にいる。
しかし目の前はゆらゆらと流れる川。
なんだ、幻聴か。とうとう僕は寂しさのあまり幻聴を聞くようになってしまったのか。
なんて思った時、上から揶揄いの声が聞こえた。
「ふっ。幻聴じゃないさ。」
上を見上げるとそこには黒い羽に白い輪っかを、そして大きな鎌を持った女が1人いた。
これが物語に出てくる死神というものなのか。僕にも迎えがきたのか。
なんて思う。
死神をじっと見つめてると、僕に向かってこう言った。
[中央寄せ][太字]「暇なら死神になるかい?」[/太字][/中央寄せ]
意味がわからなかった。何を言ってるんだ。なんて思うが、その容姿で言われるとどこかしっくりとくる。
「死神、?僕が?」
「ああそうさ。死神。死に際のやつには出会えるぞ?」
「僕やっぱり死んでるの?」
「さあ。それは私は知らないね。でもその体だと死神はできる。それだけは知っているね。」
「そう。」
死神と対話しているうちに僕はここは夢でないのだと思い始めた。
そらそうか。こんなに詳しく、細かく、そしてとても長い夢なんかあるか。自己解決をしながら僕は死神に向かって頷いた。
こんな体になったんだ。もう何でもやってやる。
頷いた僕を見ると死神は、にやっと笑う。
そして僕の額にデコピンをした。
その反動か、驚きか。僕は目の前の川に落ちた。
今まで水さえも僕を反応してくれなかった。が、しかし今度は違うようで大きく音を立てて水が跳ねた。
橋にいる人々はどよめく。僕は軽く動きやすい体で水の中を泳ぐと、橋の下の岸へと向かった。
「ぷはぁ、、終わりかと思った、、」
なんて僕が呟くと死神はへらっと笑う。
「終わらないさ。その体の間はね。」
死神のせいで落ちたのだろう、なんて思い睨むが、死神は表情を変えなかった。
ずぶ濡れの僕に死神はタオルを投げる。そして黒いパーカーに鎌も。
僕はもらったタオルで髪や顔を拭いた。髪や顔を拭くと何の魔法か、服も自然と乾いていた。
白いTシャツの上から黒いパーカーを羽織り、前を締める。鎌をひょいっと持ち上げると、死神は、にっと笑う。
「いいね。様になってるよ。私は黒瀬。よろしくな。新人くん。」
「新人くんじゃない。白羽。」
「白羽かぁ、それだと天使じゃないか。じゃあ今度から黒羽と名乗れ。」
「死神だから?まあいいけど。僕もこの名気に入ってなかったからさ。」
「ふっ。偉そうな新人だな。まあいいさ。今から先輩の黒瀬様が死神のやることとできることを話してやるよ。」
そうはなそう話す黒瀬はどこか楽しそうだった。