「そちらの机に置いてある薬、朝昼夜と一錠を毎日飲んでください。しゃがんで立ち上がった時にふらふら、とならなかったり気分が悪くならなくなっていたら飲むのをやめてくださいね。薬が足りなくなったら理科室にきてください。」

そう述べると一桜は保健室の扉に手を置いた。
そして扉を優しく開けると廊下へ帰ろうとしていた。

が、彼は行く足を止めて向こうを向いたままこう続けた。


「あ、そうだ。サボりたくなったり心が辛くなったら理科室にきてもいいですよ。他のクラスが理科室で授業がある場合はおそらく保健室にいると思います。ではお大事に。」



その後は一日中、休憩をしていた。

まだ３限目だから元気だったら教室へ帰ると言う事を会議から帰ってきた保健室の先生に伝えている。

でも体調はすぐれず、「あ、元気になったかも」と思い教室へ向かおうと立ち上がると恐怖のあまりか足が震え吐き気がする。


「無理しなくていいのよ？今日は家に帰る？」


私を心配した先生がそう言ってくれる。
が、私からしたら家に帰る方が苦痛だ。

何を言われるかわからない。
怒鳴られ、蹴られるかもしれない。

私は先生に向かって軽く首を振る。


その日はそんな感じで終わった。
ずっと保健室でうずくまっていた。

親に電話をすると言われるたびに自分で言うからと拒否をした。

でも先生も職だ。
伝えなければいけないと言われ、最終的に担任が私の父に電話をしにいった。


数分して担任が保健室へ帰ってきた。


「よかったな。椿。お父さんかなり心配してくれていたぞ。」


そう言われ私の全身の血が抜けた。

心配なんて嘘だ。
おそらく担任に迷惑かけるんじゃねぇよとか階段で転ぶなとか、怒られる。

いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ、、、



黒羽に助けを求めようにも黒羽はここにいない。

黒羽が保健室へ来ないまま時はすぎ、とうとう会いたくもない父がやってきた。

「椿！！階段から落ちたって本当か？！」

荒い息を吐きながら見たこともない表情をする父を私は目のあたりにした。

「ぁっ、、だ、大丈夫」

困惑と焦りの中、口に出たのはこの声のみ。


父の表情は心配に見えた[太字]怒り[/太字]だった。

私の呼吸は少し荒くなる。

怖いのだ。恐怖があるのだ。




あぁ、辛い。