「僕にはないものを君は持ってる。」

「僕がほしいものも君は持ってる。」

「僕は君の＿を見ることしかできない。」

「せいぜい僕を、楽しませておくれよ。」





にゃ。猫の鳴き声が聞こえた。そう思えば私、[漢字]神楽坂　椿[/漢字][ふりがな]かぐらざか　つばき[/ふりがな]の顔にふにっとした何かがあたった。

重く眠い瞼をゆっくり開け、上をみると、そこには愛猫の『ゆき』の姿が。
真冬の雪のような毛を持っているから『ゆき』。そう私が名付けたのだ。

「ゆき、どーしたの？、、朝？」

と話も通じない猫に話しかけ、すっと起き上がる。
ふと時計を見つめると８時。青ざめそうになるがぐっと堪える。学校に遅刻してしまうかもしれない。

急いで着替え、静かに、でもできるだけ早く階段を駆け下りた。
そして昨日買っておいたパンを手にして、急いで家を出る。
自転車で１５分ぐらいで着く高校は意外と近い。今日は何の授業だったか、今日こそは早く帰ろう、などと考えている間に高校の門の前まで来ることができるぐらいには近いのだ。

自転車を止め、時間を確認すると、８時２０分。学校は８時３０分までに着かなくてはいけない。間に合った。

少し荒い息を整える。そして私は自分のクラス、２年４組の教室へと入った。騒がしい一軍の人たち。すみの方でこそこそと楽しそうに話している人たち。いろんな人がわいわいと賑やかに過ごしている。私はそのどこでもない。
いわゆるボッチというものだ。なぜって？そんなの聞かないでおくれ。


椅子に座って色々と準備をしているとチャイムと共にみんなが席に着いた。
授業が始まる。今日の一限は数学だ。私の得意分野である。
一限目から数学とは、私にとって最高であった。

あれだけは除いて。


授業終わり、私は数学係なのでクラスメイトから今日の分のプリントを回収しなければならない。

「あっ、あの〜、プリント、、回収なんだけど、、」

そう言ってすみっこでこそこそと話していた４人に話しかけた。
その４人何も聞こえていないのか、話し続けている。この人らは後回しにして他の人を。と思いまた違う人に話しかけても同じようにみんな話し続けている。

「のっ、プリント！！回収っなの！！」

声が小さいから返事がないのか、と思い大きめの声で思い切って一軍の男女に話しかけた。
大きく言ったからかこの人たちからは返事が返ってきた。でも、

「何ここぉ〜？？幽霊でもいるの？？なんか変な声聞こえるわぁ〜こーわっ」

としか言われない。
けらけら笑って。そう。これが私のいつも通り。
いつも無視されて、ずーっとクラスから無い物扱いされる。こんなのいつ終わるのかな。なんてね、。

そんなことを考えつつ授業を受けていたら、いつのまにか放課後になっていた。


憂鬱な学校を終え、部活にも入っていない私は重い足をゆっくり動かし、いつも通り“びしょ濡れの”靴を履き、自転車にまたがり、家へと向かった。

どうして無視されるのだろう。
私がいつも一人だから？私の家が貧乏だから？私だけ浮いているから？どう考えても答えはわからない。
誰に聞いても教えてはくれない。

知りたい。そしたら自分を変えれるから。
教えてほしい。無視をしないで。
私はどうしたらいいの？どうしたら許してくれる？
どうしたら、、、