二次創作
感覚共有ディルド景♂晴
#1
「へえ……こんなものが……」
「っ、う……♡」
部屋の明かりでてらてらと光るそれは、一見可愛らしい薄紅色をしていた。先程まで男の菊座に収まっていた作り物の陰茎を眺め回しながら思わず呟く。単に「こんなものが存在するのか」「これが晴信の尻に入るものなのか」という興味深さから出た言葉で、しかし晴信はなぜか粗相を叱られた子供のように肩を竦めた。表情には後ろめたさと高揚。前者の理由は解らないけれど、後者の理由はきっと私と同じだろう。
ここ最近、見えないなにかに夜毎陰茎を食われるという事象に見舞われている。初めは流石に驚いたけれど、そのなにかは温くて柔らかくて、決してこちらに危害を与えるものではなかった。ただ、戦の最中――時には後にまで引きずる高揚と似た感覚がじりじりとこの霊基を焦がすのだ。
元より生前とは違う性での現界だ、すわ霊基異常かと槍兵仲間やマスターたる少女に訊いてみたものの、槍兵たちは揃って「欲求不満ではないか」と軽い口調で言うし、少女は「これ言っていいのかな……」とやや苦笑いしたのち「川中島が……足りないんじゃない?」と言った。
戦に似た高揚、欲求不満、川中島。つまりこの妙な事象は単なる個人的な問題で、これらを解消すれば落ち着くはずだということだろう。そうと決まればやることはひとつだった。
辿り着いた居室の扉をノックする。もちろん晴信の部屋だ。今夜も例の事象が発生したので、彼には夜が明けるまでシミュレーターに付き合ってもらう。きっと晴信も喜ぶでしょうと笑みを浮かべながら、返事を待たずに部屋に乗り込んだ。ロックがかかっていたかもしれないけれど、霊体化したので定かではない。
「晴信!私と夜通し!川中島しま……しょう……?」
意気揚々と呼び掛けた声が尻すぼみの疑問系になった。ぱちぱちと瞬きしても目の前の光景は変わらない。
「おまっ、きゅうに、ぁ、――~~ッ♡♡」
「……ひにゃ……っ!?♡」
下肢を丸出しにした晴信が大股開きで寝台に横たわり、その菊座になにかを挿入していた。目が合った瞬間晴信は大きく身を震わせ、その瞬間立派な陰茎が白濁を噴き出して襯衣を汚す。同時にこちらの陰茎を食む力が今までにないほど強くなり、生き物のようにうねった。尿道を熱いものが駆け上がって堪える間もなく弾けてしまう。
この感覚は知っている。戦の興奮に呼応するように昂ったものを鎮めるときの感覚。けれど、このタイミングでは、これは。
「……晴信」
「……っ、あ、まて、いま――っあァ!♡」
つかつかと寝台に近寄って、咄嗟に尻を隠そうとする男の手を払いのけてそれを掴む。ずるりと引き出すと晴信は背を浮かせて目を見開き、そしてやはり陰茎に擦れるような刺激が走った。欲求不満、そして川中島――すなわち晴信絡み。なるほど、槍兵たちやマスターの回答はここに繋がっていたらしい。実践の経験はないが、これでも召喚されてから長く、様々な話を聞く機会はあったのだ。
一人納得して頷きながら濡れたそれを改めて観察する。男根を模したそれは太さといい長さといい、どこかでみたような造形で――
「――これ、私ですね?」
――そして冒頭に至る。
まさか、人――サーヴァントだが――の陰茎を模倣して、感覚まで共有させるような道具があるとは。つん、と指でつついてみると、確かに触られた感触がある。ちょっと楽しい。
「……すまなかった」
「なにがです?」
襯衣の裾を引っ張って股を隠しながら、寝台の上で正座する晴信に首を傾げる。特に謝られるような心当たりはないんですが。頬を上気させた晴信は目を逸らしながら小さな声で言葉を紡ぐ。
「おまえに……迷惑をかけるつもりは、なかった。感覚があるとは……知らなくて……」
「……?私、それ、晴信に言いましたっけ」
相談したのは一部の槍兵たちとマスターにだけだ。この部屋に来た原因はたしかにその事象だが、彼にはまだ説明していない。晴信は一瞬ぽかんとして、それからさっと顔を青ざめさせた。少し考えて合点がいく。
「レイシフト中……はあり得ませんから、食堂ですね?」
「そ、れは、」
「私の声が聞こえていたなら、マスターの答えも聞こえていましたよね?」
沈黙が解りやすいほどの答えだった。晴信の心境が手に取るように解って嬉しい。
だって、晴信があの返答を聞いたのなら、例の事象がおきれば私が晴信の元へ行くことくらい想像できるはずだ。その上であの事象を起こしたのだから、それはつまり。
「あなた、私に見つかりたかったんですね」
濡れた唇がはくりと動いて、きゅっと引き結ばれる。頬にはじわじわと赤みが戻り、表情の後ろめたさを高揚が覆い隠していった。彼が感じているのはきっと私と同じ――性的な昂りだ。
寝台に膝を乗り上げる。小さく軋む音がして、晴信はまるで生娘のように怯えた素振りで身を引いた。それを許さず、膝立ちで男を見下ろして手にした偽の陰茎を唇に触れさせる。ふに、と柔らかい感触が心地よい。こわごわと見上げる晴信へ、にっこりと微笑みかける。
ねえ晴信、こう言われたら嬉しいでしょう?
「上手にできたら本物をあげますよ」
「……なるほど、あれが入るわけですね」
「んぶっ、ん、ン♡ぉ、ご……っ♡」
なにしろ指が四本も飲み込まれてしまう。両手の人差し指と中指を引っかけて広げてみると、赤い粘膜がひくひくと蠢いていた。四つん這いになった晴信は懸命に例の道具を頬張っていて、指で胎を掻き回すたびに動きがぎこちなくなるものの、決して離そうとはしない。それが愉快でもっと乱したいような、健気に思えて優しくしたいような、妙な心地だ。
どちらにするか決めかねたまま中を探る。陰茎の裏側にある凝りを二本の指で挟み、もう二本でぐっと押し込んで揺らす。くぐもった悲鳴を上げた晴信の腕が崩れて、ぺしゃりと胸から敷布に落ちた。弾みで道具が口から抜けてしまったが、それでも舌を伸ばして竿を舐めているのが分かる。感覚を共有しているとはいえ、偽物にばかり夢中になっているようでなんだか腹が立った。
菊座から指を抜き、下衣をずり下げてそそり立ったものを取り出す。一度吐精した分も中に塗り込めてしまおう、と指で掬って陰茎に絡める。そういえば口淫の刺激がなくなったなと顔を上げると、晴信が振り向いてじっとこちらを――本物の陰茎を見つめていた。なんだ、やっぱり私のほうがいいんじゃないですか。嬉しくなって、偽物のほうにも慈悲をくれてやろうという気持ちになる。
「お口が留守、ですよ、晴信……っ!♡」
「ひぎゅ……っ!♡♡あぅ、ア、ん、んむ……っ♡♡」
掴んだ腰を引き寄せながら押し付けた陰茎を突き入れる。潰れた声を上げた晴信は、それでも道具に唇を寄せた。陰茎に直接絡み付く臓腑の柔らかさと、偽の陰茎に浮き出た凹凸をたどる舌先の擽ったさで、思わず声を立てて笑ってしまう。今私は晴信のはらわたを暴き、晴信は私の急所を食らっているのだ!
「あははっ!♡っふ、ああ、すごい、気持ちいい、ですねぇ、っ晴信……!♡♡」
「ひぎっ、オ゛ッッ♡♡あっ、かぇ゛、ろぁ♡♡」
先程指でいじくった凝りを押し潰すように行き来させると彼はいやいやと首を振り、下ろされた毛先がぱたぱたと敷布を打つ。こちらも律動で落ちてきた髪を耳にかけ、快楽に悶える広い背中をうっとりと見下ろす。単なる性感だけでなく、武田晴信という男がこうして私との間で生まれたものだけに夢中になっている様を見るのが楽しくて仕方ない。たどたどしく道具に舌を這わす晴信もすっかり蕩け、一人でしていたときよりよっぽど佳い顔をしている。
「ぇあ、ア゛ッ!♡♡や、もぉ゛イく、イ゛っ……♡♡」
「はい、っ、いいですよ♡」
「ッヒ――!♡♡あ、ぁああ゛ー……っ♡♡」
偽物を愛撫していた舌を突き出して、極めた晴信が頤を反らす。ぎゅううっと搾り取る動きの粘膜に逆らわず、彼の中に子種を吐き出した。ぴったりと背中に抱きつき、蒔いた種を畑に植え付けるように――魔力の塊が完全に溶け込んで馴染むように、丁寧に胎へ擦り込んでいく。晴信はあえかな声で鳴きながら、時折びくりと腰を震わせていた。
「……はるのぶ、」
「ぅ、あ……?♡かげ、と――っア、んぅっ♡」
囁くと、彼は緩慢に首を巡らせてこちらを振り向いた。その腕を取ってやや強引に体をひっくり返し、そのまま口を吸う。舌を潜り込ませて触れ合わせ、丹念に咥内を舐め回した。彼の手から離れた道具は今は敷布に転がっているが、最後に彼の唇が触れたのが私の偽物だというのは面白くない。しっかり上書きしてから唇を離すと、今度は晴信の舌が追いかけてきて子猫のように何度も私の唇を舐める。驚いて見返した彼の色素の薄い虹彩は血の色を透かして紅色を帯び、まるで――そう、すっかり常春の様相だった。
「景虎、なあ、かげとら、もっと……♡」
常ならば低い音域にある声が吐息交じりに甘く蕩けている。いつもの彼からは考えられぬ催促と媚態に、ぞくりと全身が総毛立った。これは警鐘だ。咄嗟に身を離そうとしたけれど、それより先に晴信の両脚が腰に巻きついて逃げられない。綻んでは吸い付く粘膜は陰茎をしゃぶるかのようで、果てたばかりのそこが再び育てられていく。思わず吐息を上擦らせると、晴信は瞳に淫蕩な色を浮かべて微笑んだ。
「夜通し、川中島……するんだろ?♡」
「……はにゃ……」
もしかして、私は――発情した虎の尾を、まんまと踏まされたのでは?
「っ、う……♡」
部屋の明かりでてらてらと光るそれは、一見可愛らしい薄紅色をしていた。先程まで男の菊座に収まっていた作り物の陰茎を眺め回しながら思わず呟く。単に「こんなものが存在するのか」「これが晴信の尻に入るものなのか」という興味深さから出た言葉で、しかし晴信はなぜか粗相を叱られた子供のように肩を竦めた。表情には後ろめたさと高揚。前者の理由は解らないけれど、後者の理由はきっと私と同じだろう。
ここ最近、見えないなにかに夜毎陰茎を食われるという事象に見舞われている。初めは流石に驚いたけれど、そのなにかは温くて柔らかくて、決してこちらに危害を与えるものではなかった。ただ、戦の最中――時には後にまで引きずる高揚と似た感覚がじりじりとこの霊基を焦がすのだ。
元より生前とは違う性での現界だ、すわ霊基異常かと槍兵仲間やマスターたる少女に訊いてみたものの、槍兵たちは揃って「欲求不満ではないか」と軽い口調で言うし、少女は「これ言っていいのかな……」とやや苦笑いしたのち「川中島が……足りないんじゃない?」と言った。
戦に似た高揚、欲求不満、川中島。つまりこの妙な事象は単なる個人的な問題で、これらを解消すれば落ち着くはずだということだろう。そうと決まればやることはひとつだった。
辿り着いた居室の扉をノックする。もちろん晴信の部屋だ。今夜も例の事象が発生したので、彼には夜が明けるまでシミュレーターに付き合ってもらう。きっと晴信も喜ぶでしょうと笑みを浮かべながら、返事を待たずに部屋に乗り込んだ。ロックがかかっていたかもしれないけれど、霊体化したので定かではない。
「晴信!私と夜通し!川中島しま……しょう……?」
意気揚々と呼び掛けた声が尻すぼみの疑問系になった。ぱちぱちと瞬きしても目の前の光景は変わらない。
「おまっ、きゅうに、ぁ、――~~ッ♡♡」
「……ひにゃ……っ!?♡」
下肢を丸出しにした晴信が大股開きで寝台に横たわり、その菊座になにかを挿入していた。目が合った瞬間晴信は大きく身を震わせ、その瞬間立派な陰茎が白濁を噴き出して襯衣を汚す。同時にこちらの陰茎を食む力が今までにないほど強くなり、生き物のようにうねった。尿道を熱いものが駆け上がって堪える間もなく弾けてしまう。
この感覚は知っている。戦の興奮に呼応するように昂ったものを鎮めるときの感覚。けれど、このタイミングでは、これは。
「……晴信」
「……っ、あ、まて、いま――っあァ!♡」
つかつかと寝台に近寄って、咄嗟に尻を隠そうとする男の手を払いのけてそれを掴む。ずるりと引き出すと晴信は背を浮かせて目を見開き、そしてやはり陰茎に擦れるような刺激が走った。欲求不満、そして川中島――すなわち晴信絡み。なるほど、槍兵たちやマスターの回答はここに繋がっていたらしい。実践の経験はないが、これでも召喚されてから長く、様々な話を聞く機会はあったのだ。
一人納得して頷きながら濡れたそれを改めて観察する。男根を模したそれは太さといい長さといい、どこかでみたような造形で――
「――これ、私ですね?」
――そして冒頭に至る。
まさか、人――サーヴァントだが――の陰茎を模倣して、感覚まで共有させるような道具があるとは。つん、と指でつついてみると、確かに触られた感触がある。ちょっと楽しい。
「……すまなかった」
「なにがです?」
襯衣の裾を引っ張って股を隠しながら、寝台の上で正座する晴信に首を傾げる。特に謝られるような心当たりはないんですが。頬を上気させた晴信は目を逸らしながら小さな声で言葉を紡ぐ。
「おまえに……迷惑をかけるつもりは、なかった。感覚があるとは……知らなくて……」
「……?私、それ、晴信に言いましたっけ」
相談したのは一部の槍兵たちとマスターにだけだ。この部屋に来た原因はたしかにその事象だが、彼にはまだ説明していない。晴信は一瞬ぽかんとして、それからさっと顔を青ざめさせた。少し考えて合点がいく。
「レイシフト中……はあり得ませんから、食堂ですね?」
「そ、れは、」
「私の声が聞こえていたなら、マスターの答えも聞こえていましたよね?」
沈黙が解りやすいほどの答えだった。晴信の心境が手に取るように解って嬉しい。
だって、晴信があの返答を聞いたのなら、例の事象がおきれば私が晴信の元へ行くことくらい想像できるはずだ。その上であの事象を起こしたのだから、それはつまり。
「あなた、私に見つかりたかったんですね」
濡れた唇がはくりと動いて、きゅっと引き結ばれる。頬にはじわじわと赤みが戻り、表情の後ろめたさを高揚が覆い隠していった。彼が感じているのはきっと私と同じ――性的な昂りだ。
寝台に膝を乗り上げる。小さく軋む音がして、晴信はまるで生娘のように怯えた素振りで身を引いた。それを許さず、膝立ちで男を見下ろして手にした偽の陰茎を唇に触れさせる。ふに、と柔らかい感触が心地よい。こわごわと見上げる晴信へ、にっこりと微笑みかける。
ねえ晴信、こう言われたら嬉しいでしょう?
「上手にできたら本物をあげますよ」
「……なるほど、あれが入るわけですね」
「んぶっ、ん、ン♡ぉ、ご……っ♡」
なにしろ指が四本も飲み込まれてしまう。両手の人差し指と中指を引っかけて広げてみると、赤い粘膜がひくひくと蠢いていた。四つん這いになった晴信は懸命に例の道具を頬張っていて、指で胎を掻き回すたびに動きがぎこちなくなるものの、決して離そうとはしない。それが愉快でもっと乱したいような、健気に思えて優しくしたいような、妙な心地だ。
どちらにするか決めかねたまま中を探る。陰茎の裏側にある凝りを二本の指で挟み、もう二本でぐっと押し込んで揺らす。くぐもった悲鳴を上げた晴信の腕が崩れて、ぺしゃりと胸から敷布に落ちた。弾みで道具が口から抜けてしまったが、それでも舌を伸ばして竿を舐めているのが分かる。感覚を共有しているとはいえ、偽物にばかり夢中になっているようでなんだか腹が立った。
菊座から指を抜き、下衣をずり下げてそそり立ったものを取り出す。一度吐精した分も中に塗り込めてしまおう、と指で掬って陰茎に絡める。そういえば口淫の刺激がなくなったなと顔を上げると、晴信が振り向いてじっとこちらを――本物の陰茎を見つめていた。なんだ、やっぱり私のほうがいいんじゃないですか。嬉しくなって、偽物のほうにも慈悲をくれてやろうという気持ちになる。
「お口が留守、ですよ、晴信……っ!♡」
「ひぎゅ……っ!♡♡あぅ、ア、ん、んむ……っ♡♡」
掴んだ腰を引き寄せながら押し付けた陰茎を突き入れる。潰れた声を上げた晴信は、それでも道具に唇を寄せた。陰茎に直接絡み付く臓腑の柔らかさと、偽の陰茎に浮き出た凹凸をたどる舌先の擽ったさで、思わず声を立てて笑ってしまう。今私は晴信のはらわたを暴き、晴信は私の急所を食らっているのだ!
「あははっ!♡っふ、ああ、すごい、気持ちいい、ですねぇ、っ晴信……!♡♡」
「ひぎっ、オ゛ッッ♡♡あっ、かぇ゛、ろぁ♡♡」
先程指でいじくった凝りを押し潰すように行き来させると彼はいやいやと首を振り、下ろされた毛先がぱたぱたと敷布を打つ。こちらも律動で落ちてきた髪を耳にかけ、快楽に悶える広い背中をうっとりと見下ろす。単なる性感だけでなく、武田晴信という男がこうして私との間で生まれたものだけに夢中になっている様を見るのが楽しくて仕方ない。たどたどしく道具に舌を這わす晴信もすっかり蕩け、一人でしていたときよりよっぽど佳い顔をしている。
「ぇあ、ア゛ッ!♡♡や、もぉ゛イく、イ゛っ……♡♡」
「はい、っ、いいですよ♡」
「ッヒ――!♡♡あ、ぁああ゛ー……っ♡♡」
偽物を愛撫していた舌を突き出して、極めた晴信が頤を反らす。ぎゅううっと搾り取る動きの粘膜に逆らわず、彼の中に子種を吐き出した。ぴったりと背中に抱きつき、蒔いた種を畑に植え付けるように――魔力の塊が完全に溶け込んで馴染むように、丁寧に胎へ擦り込んでいく。晴信はあえかな声で鳴きながら、時折びくりと腰を震わせていた。
「……はるのぶ、」
「ぅ、あ……?♡かげ、と――っア、んぅっ♡」
囁くと、彼は緩慢に首を巡らせてこちらを振り向いた。その腕を取ってやや強引に体をひっくり返し、そのまま口を吸う。舌を潜り込ませて触れ合わせ、丹念に咥内を舐め回した。彼の手から離れた道具は今は敷布に転がっているが、最後に彼の唇が触れたのが私の偽物だというのは面白くない。しっかり上書きしてから唇を離すと、今度は晴信の舌が追いかけてきて子猫のように何度も私の唇を舐める。驚いて見返した彼の色素の薄い虹彩は血の色を透かして紅色を帯び、まるで――そう、すっかり常春の様相だった。
「景虎、なあ、かげとら、もっと……♡」
常ならば低い音域にある声が吐息交じりに甘く蕩けている。いつもの彼からは考えられぬ催促と媚態に、ぞくりと全身が総毛立った。これは警鐘だ。咄嗟に身を離そうとしたけれど、それより先に晴信の両脚が腰に巻きついて逃げられない。綻んでは吸い付く粘膜は陰茎をしゃぶるかのようで、果てたばかりのそこが再び育てられていく。思わず吐息を上擦らせると、晴信は瞳に淫蕩な色を浮かべて微笑んだ。
「夜通し、川中島……するんだろ?♡」
「……はにゃ……」
もしかして、私は――発情した虎の尾を、まんまと踏まされたのでは?
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