星野家長女は穏やかな生活がしたい
「パパに優しいのはマリアだけだよ………」
およよよ………っと、涙目で私を抱きしめるパパ。
そんなパパを冷めた目で見つめるアクアとルビー。
早過ぎる子供の反抗期に泣きそうなパパがあまりにも可哀想だったので、ふわふわの金髪を撫でる。
ウンウン……分かるよ、あの二人は推しが幸せならオールオッケー(致命傷)ってタイプだけど、推しに男がいるのに受け入れることに時間が掛かるタイプだから。
前世甥っ子に構いすぎて嫌われた経験を持つ私は小さな子供に嫌われるという痛みを知っている。
しかもパパの場合は実の子供だ。
辛いとかそういう次元じゃないんだろう。しかし、推しに恋人が出来たっていうニュースだけで仕事を三日間休んだ経験もある私はアクアとルビー、パパ、どっちの味方をしたらいいのか分からない。
だからこうやって、可哀想なパパをよしよしするしかできないのだ。
愛され夢主とかだったらなんやかんやあって、パパと子供たちを和解させるんだけど、残念ながら私は愛され夢主ではない。
不出来な娘でごめんねっパパっ!!
あと子供たちの中で優しくしてくれるの私だけだからって何かと絡んでくるのウザいからっ!!
パパことカミキヒカルが仕事に行って数時間。
ミヤコさんが私達三つ子の世話をしてくれてるんだけど、今はちょっとお昼寝中。
第一ミヤコさん二十代だし、子供を育てるって初めてだもんね。
そんなわけで、今は私達三つ子の時間だ。
「お姉ちゃん!!」
「おぉうルビーか、びっくりした。ごめんだけど、今から仕事終わりの一杯飲んでくるから話はその後にしてくれ」
「そんな仕事終わりの一杯って……ただのミルクだろ」
「実際パパの相手は仕事でしょ」
ごくごくぷっはーっと、短い手で哺乳瓶を支えてミルクを飲む。
ふむ、ほのかに甘さを感じるこのお味は明治の粉ミルクの「ほほえみ」ですな。
粉ミルクソムリエを気取りながらルビーの相手をしてアクアにツッコミを受けた。
Nステのステージ後、すっかりアイ推しになった私はアイ推し古参勢の弟と妹に近づいて色々布教してもらった。
そしたら出るわ出るわアイの推しポイント。
一夜でアイ沼にどっぷり漬け込まれた私は自分の知識の足りなさを痛感したが、ルビーにはアイへの熱量を認められてお姉ちゃんの称号をもらった。
やったー、嬉しー
古今東西、顔のいい妹にお姉ちゃんと呼ばれて喜ばない姉はいない。
だからそこそ、自分が認めた相手が憎き推しの恋人に優しくするのが許せないんだろう。なんとなく気持ちは分かるけどミルク飲まして。
「ねえお姉ちゃんはなんでアイツに優しくするの?ママとイチャイチャしててムカつかないの?」
「そりゃムカつくね。結婚年齢制限に阻まれているとはいえカミキヒカルはママの夫。つまり推しの夫。
ムカつかない訳ないけど、ママが幸せならオールオッケー派だから私。あとパパに優しくするのはただの打算」
そう、パパが裏切らないようにする打算。
アイと愛し合った結果である私達を本当に愛しているなら、もしものことがあっても裏切らないんじゃないかっていう下心ありきの打算。
勿論、パパを嫌ってる訳じゃないけど推しの夫という存在は許しがたいからね、今は仕事ぐらいの感覚でちょうどいいんだよ。
それを二人には言うつもりはない。
言ったところで分かんないだろうし、分かったとしても分かるのは「カミキヒカルがママを裏切るかもしれない」って可能性だけ。
ミヤコさんのことを殺そうとした二人だし、いざとなったらパパを殺しなかねない。
本当に裏切り者だったいいんだけど、今見る限りはホワイト神木だし、殺すのはまずい。
だから最低でも二人がカミキヒカルから、パパと認識するまではこれは黙秘するしかないのだ。
あー……前世といい、推しの子というストーリーといい、パパに優しくする理由と言い、色々秘密が増えてくる。
[漢字]A secret makes a woman woman.[/漢字][ふりがな]女は秘密を着飾って美しくなる[/ふりがな]ってベルモットの姐さんが言ってたけど、まだミルク臭い乳幼児にこの秘密は着こなせないよ。
はぁ……なんか疲れた。このミルク飲んだら寝よ。
およよよ………っと、涙目で私を抱きしめるパパ。
そんなパパを冷めた目で見つめるアクアとルビー。
早過ぎる子供の反抗期に泣きそうなパパがあまりにも可哀想だったので、ふわふわの金髪を撫でる。
ウンウン……分かるよ、あの二人は推しが幸せならオールオッケー(致命傷)ってタイプだけど、推しに男がいるのに受け入れることに時間が掛かるタイプだから。
前世甥っ子に構いすぎて嫌われた経験を持つ私は小さな子供に嫌われるという痛みを知っている。
しかもパパの場合は実の子供だ。
辛いとかそういう次元じゃないんだろう。しかし、推しに恋人が出来たっていうニュースだけで仕事を三日間休んだ経験もある私はアクアとルビー、パパ、どっちの味方をしたらいいのか分からない。
だからこうやって、可哀想なパパをよしよしするしかできないのだ。
愛され夢主とかだったらなんやかんやあって、パパと子供たちを和解させるんだけど、残念ながら私は愛され夢主ではない。
不出来な娘でごめんねっパパっ!!
あと子供たちの中で優しくしてくれるの私だけだからって何かと絡んでくるのウザいからっ!!
パパことカミキヒカルが仕事に行って数時間。
ミヤコさんが私達三つ子の世話をしてくれてるんだけど、今はちょっとお昼寝中。
第一ミヤコさん二十代だし、子供を育てるって初めてだもんね。
そんなわけで、今は私達三つ子の時間だ。
「お姉ちゃん!!」
「おぉうルビーか、びっくりした。ごめんだけど、今から仕事終わりの一杯飲んでくるから話はその後にしてくれ」
「そんな仕事終わりの一杯って……ただのミルクだろ」
「実際パパの相手は仕事でしょ」
ごくごくぷっはーっと、短い手で哺乳瓶を支えてミルクを飲む。
ふむ、ほのかに甘さを感じるこのお味は明治の粉ミルクの「ほほえみ」ですな。
粉ミルクソムリエを気取りながらルビーの相手をしてアクアにツッコミを受けた。
Nステのステージ後、すっかりアイ推しになった私はアイ推し古参勢の弟と妹に近づいて色々布教してもらった。
そしたら出るわ出るわアイの推しポイント。
一夜でアイ沼にどっぷり漬け込まれた私は自分の知識の足りなさを痛感したが、ルビーにはアイへの熱量を認められてお姉ちゃんの称号をもらった。
やったー、嬉しー
古今東西、顔のいい妹にお姉ちゃんと呼ばれて喜ばない姉はいない。
だからそこそ、自分が認めた相手が憎き推しの恋人に優しくするのが許せないんだろう。なんとなく気持ちは分かるけどミルク飲まして。
「ねえお姉ちゃんはなんでアイツに優しくするの?ママとイチャイチャしててムカつかないの?」
「そりゃムカつくね。結婚年齢制限に阻まれているとはいえカミキヒカルはママの夫。つまり推しの夫。
ムカつかない訳ないけど、ママが幸せならオールオッケー派だから私。あとパパに優しくするのはただの打算」
そう、パパが裏切らないようにする打算。
アイと愛し合った結果である私達を本当に愛しているなら、もしものことがあっても裏切らないんじゃないかっていう下心ありきの打算。
勿論、パパを嫌ってる訳じゃないけど推しの夫という存在は許しがたいからね、今は仕事ぐらいの感覚でちょうどいいんだよ。
それを二人には言うつもりはない。
言ったところで分かんないだろうし、分かったとしても分かるのは「カミキヒカルがママを裏切るかもしれない」って可能性だけ。
ミヤコさんのことを殺そうとした二人だし、いざとなったらパパを殺しなかねない。
本当に裏切り者だったいいんだけど、今見る限りはホワイト神木だし、殺すのはまずい。
だから最低でも二人がカミキヒカルから、パパと認識するまではこれは黙秘するしかないのだ。
あー……前世といい、推しの子というストーリーといい、パパに優しくする理由と言い、色々秘密が増えてくる。
[漢字]A secret makes a woman woman.[/漢字][ふりがな]女は秘密を着飾って美しくなる[/ふりがな]ってベルモットの姐さんが言ってたけど、まだミルク臭い乳幼児にこの秘密は着こなせないよ。
はぁ……なんか疲れた。このミルク飲んだら寝よ。
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