麗らかな春の日差しを受け、私達三つ子は小学２年生に進級した。

小学生なので学年が上がったくらいで特に変わることはない。そう……特に変わることは………





「友達が出来ないのも変わらなかったね〜」

「グハッ！」

「お姉ちゃん、嘘と演技は得意なのに変なところで人見知りが発動して踏み込んだ友人関係が作れないの不思議だよねー」

「うぅう……」

「ルビー、その辺にしといてやれ」





アイタタタタ

ルビーの鋭い指摘に私の心が痛む。邪気がないから余計に痛い………



そう私はオミオミ(※佐久早くんのあだ名)以外に友達がいないのだ。

いや、前世の経験とママとパパ譲りの才覚を使えば友人の一人か二人を作れるんだけど、幼い少年少女特有の距離感が苦手だ。


近すぎるし、毎日放課後は公園で鬼ごっこ！！という感じの雰囲気が無理。

放課後は仕事で忙しいパパとママに変わって家事をしないといけないし、小説を書いたりバレーボールの練習だってある。



だからあまり踏み込んだ友人関係は作らないように自分から選んだんだけど、友人がいないのは自分でも気にしてる。

ルビーは元来のコミュニケーション能力を発動させて学年の人気者だし、アクアもちょっと大人びている男子と交流があるし、学校で完全に友人がいないのは私だけ…………





「……いいもん、アクアとルビー居るし……なんなら聖臣くんいるし…」

「いやお姉ちゃん、オミオミは友達って感じじゃっ、むぐ「余計なこと言ったらマリアが拗ねるぞ」……はーい。黙っときます





なんて二人が会話しているのは耳に届かず。

完全に凹んでいた。





「み、ミヤえもーん！！私にもお友達が欲しいよぉぉおお！！」

「ミヤコさんは今面接中だぞ」

「えっ誰の？」

「ああ、そういや言ってたねぇ。なんか子役志望の子の面接なんだって」

「えーいいじゃん！せっかくなんだし、お姉ちゃんのお友達になってもらおうよ！その子の名前は？」

「えーっと、確か………黒川。黒川 あかねだ」





黒川 あかね。
自分で声に出して呼んでみて、ふと強い既視感を感じた。


私、この子を知っているような………あっ。







『一緒に殺してあげる』

『正しい正しくないじゃないよ。アクアくんがすっごい悪い子だったとしても、私くらいはありのままの君を認めてあげなきゃって思う』

『てへっ！☆』

『私がアクアくんを止める』






あああああ！！！

黒川 あかねって、アクアの未来の彼女じゃんっ！！！