「おはよ、明久。」
　朝、僕・[漢字]大笠湊[/漢字][ふりがな]おおがさみなと[/ふりがな]は中学校に登校し、友人の[漢字]明久サヨ[/漢字][ふりがな]あけひささよ[/ふりがな]に挨拶をする。
　「はよ。」
　明久は女の子っぽい名前を気にしているらしく、名前じゃなくて苗字で呼んでくれ、と仲良くなったその日に言われた。
　カバンを開けて準備をしている間、クラスメイトの[漢字]暁月葉音[/漢字][ふりがな]あかつきはおん[/ふりがな]さんのことを数回盗み見る。
　暁月さんは、友人の[漢字]瀬戸夕莉[/漢字][ふりがな]せとゆうり[/ふりがな]さんと談笑していた。
　僕は暁月さんのことが好きだ。
　この感情は、いずれ恋になり、そして愛に変化するのだろうか。
　だとしても、きっと僕の片思いだ。
　だから胸の奥にそっとしまって、大切に保管しておく。
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　4限目が終わると、暁月さんは帰る準備を始めた。
　今日は学校を早退して、病院に行くらしい。
　病院に行くのだから体調は心配だが、今日も学校に来ているし元気そうだし、きっと予防接種とかそんななんだろう。
　「じゃあね、夕莉。」
　「うん、また明日、葉音。」
　暁月さんと瀬戸さんは少し寂しげに挨拶を交わしていた。